子育てアドバイス

【よくある相談シリーズ】ピアノは、早いうちに習い始める方が良いですか。

「うちの子、お友達がピアノを習っていると聞き、自分もやりたいと言います。ピアノは、早いうちに習い始める方が良いのですか? また、家での練習用に本格的なピアノを買った方が良いのか、キーボードなどでも良いのかも教えてほしいです」。このようなご相談がよくあります。
●ピアノを習い始める時期について
まず、ピアノを習い始める時期ですが、一般的に、小学生や中学生でピアノを上手に弾けるお子さんは、ピアノのレッスンを受けている傾向にあります。指使いや鍵盤へのタッチの仕方、楽譜の読み方や演奏技術は、自己流ではなく専門家の助けを得た方が良いと思われます。私自身、専門は声楽ですが、ピアノは5歳から個人レッスンを受け始めました。基礎から応用まで無理なく進み、短期大学等でピアノの授業を行うことができたのは、やはりピアノを早くから習っていた影響があるといえます。

ただ、当然のことのようにも思えますが、ピアノの上達には毎日の継続的な練習が不可欠です。ですから、必ずしも早期に習い始めたお子さんが全員上達するとは限りません。毎日のピアノの練習が億劫になってしまうことで、最初は好きだったピアノからだんだん心が離れ、やがて音楽自体が嫌いになる子どもも少なからずいます。特に小学生という年齢を考えると、個人差はあれど、毎日の練習を癖づけることだけでも大変なことだと思います。
●基礎練習の重要性について
もちろん最近では、子どもたちに弾きたい曲を選んでもらうなど、子どもが練習嫌い、音楽嫌いにならないように工夫しているピアノ教室もありますし、そのような先生もたくさんいらっしゃいます。ピアノ教室を選ぶときに、曲や使用テキストを見せてもらい、指導方針をよくお聞きになることをおすすめします。

ただし、やはりピアノを習うことになれば、基礎的な練習もしなくてはいけないことはぜひご承知おきいただきたいところです。ピアノの指使いなどを鍛える基礎練習は、つまらない、退屈だと思われるものが多いのですが、そうした基礎練習の上にピアノの演奏力は成立します。その点、お子さんと良く話し合っておくとよいでしょう。
●レッスン料金について
昨今の物価高などを考慮すると、いわゆるピアノレッスンの料金も気になるところでしょう。ピアノのレッスン料金は、個人レッスンですと時間ごとに決まっている場合が多く、ピアノ教室ですと月謝制になっている場合が多いと思われます。また指導内容も様々で、ピアノ演奏指導だけのところもあれば、弾き歌い、歌、聴音(聴き取った音を楽譜にその場で書き入れる練習)など、様々なトレーニングが付属しているところもあります。いずれにしても、月々に定期的な出費が発生することに変わりはありません。もしピアノを習うのであれば、毎月お金を払っているわけだから、レッスン料の分、ピアノをうまく弾けるようになろうという強い意志を、親子ともに持つ必要があるでしょう。
 

●家庭での練習用のピアノについて
家庭での練習用ピアノとして、グランドピアノやアップライトピアノなどを入れる場合のメリットとして、実際にレッスンで使われるピアノと同様のもので練習できるということが挙げられます。

ただし、マンションなどの集合住宅の場合、本格的なグランドピアノやアップライトピアノを入れるには、様々な困難があります。高層階の場合は釣り上げ搬入となりますし、床の強度がピアノの重量に耐えられるかも事前に検討しなくてはなりません。グランドピアノの場合は、6畳ほどの部屋でしたら1部屋のほとんどのスぺ―スを占めてしまいます。

防音設備も必要となります。防音工事は部屋が独立していないと難しい場合もあり、賃貸物件などでは、そもそも防音工事ができない場合もあります。最近では、様々な防音室が販売・レンタルされていますが、グランドピアノやアップライトピアノを入れるとなると、それなりの広さも必要です。その分、価格も上がります。それに加え、ピアノ本体の値段も、電子ピアノやキーボードに比べると高価です。定期的なピアノの調律を依頼する費用も必要となります。一戸建ての住宅ですと、防音等の条件が多少緩和される可能性もありますが、上記のような問題は、ほとんど同様に生じるでしょう。
 
電子ピアノやキーボードと一言で言っても、多種多様なものが市場には出回っています。グランドピアノの鍵盤数は88鍵ですが、電子ピアノやキーボードの場合は、88、61、48など様々な鍵盤数のものがあります。鍵盤の幅や長さも異なりますし、鍵盤の感触も、グランドピアノとほとんど変わらない重さのものから、非常に軽いものまで様々です。練習用のものから、パソコンと繋いだりUSB端子がついていたりと、機能が付属しているものもあります。それによって、価格も多様になっています。

メリットは、ヘッドホンをつければ、音が外に漏れることはほとんどないため、練習時間帯に制約がほとんどないということでしょうか。また電子ピアノの場合は、定期的な調律は必要ありません。逆にデメリットは、レッスンで使われるピアノと鍵盤数や感触が違いすぎると、違和感があるという点でしょう。電子ピアノやキーボードは、ぜひ楽器店に足を運んでいただき、お子さんと一緒に感触を確かめながら選ぶことをおすすめします。また、実際にレッスンを受ける先生の考え方もあるでしょうから、レッスンを受け始めてから、先生に聞いてみるという方法もあります。
 
●「いつでも練習できる」環境を大切に。
小学生でピアノを習い始める場合には、もちろんピアノの上達が目標となるでしょう。ただ、子どもは気分が乗らない時にはなかなか練習に取り組みません。ですから、子どもが「ピアノを弾いてみようかな」と思った時に、「いつでも練習できる」環境を可能な限り準備する必要があります。もちろん、時間帯の制約などは仕方ありません。しかし、グランドピアノや椅子の上にたくさん物を置いたりしていると、いざ弾きたいと思っても、すぐに鍵盤に触ることができないこともあります。電子ピアノであっても、アダプタを押し入れの奥にしまい込んだりしていれば、ピアノを弾くまでに一苦労しなくてはなりません。 もちろん、練習後の片付けは大切ですが、ピアノを弾くという行為に至るまでのステップをできるだけ少なくし、弾きたいときに気軽に弾けるように工夫することが、ピアノを練習するための環境づくりには必要であると考えられます。
長友洋喜
安田女子大学 講師
東京大学卒業。東京大学大学院修士課程および博士後期課程修了。音楽教育史の分野での論文で博士(教育学)を取得。中学校・高等学校教員職員免許状一種(音楽・英語)取得。東京大学教育学研究員、埼玉県内の私立中学校・高等学校教員、千葉県内の短期大学専任講師を経て、2018年4月より現職。音楽ⅠⅡ、ピアノ演奏法、音楽科教育法、音楽科教育法演習などの授業を担当している。また、大学教員の傍ら、リサイタルやジョイント・コンサートなどへの出演も積極的に行っている。

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