2026年1月26日(月)
なぜ高学年になると「自分で考える問題」が増えるの?

保護者の方の中には、小学校高学年になってからテストや授業で“考える問題”が増えたと感じている人も多いのではないでしょうか。最近のテストは、正確な答えを書くだけではない場合があります。これはただの難化ではなく、学校教育全体の考え方と、次のステップにつながる力を育てる仕組みが背景にあります。その変化の理由を、教育の制度面から見てみましょう。

教育のゴールが「知っている」から「使える」へ変わった

現在の学校教育は、文部科学省が定める「学習指導要領」をもとに行われています。この中で、近年とくに強調されているのが、知識や技能を“覚える”だけでなく、それを“使える力”として身につけることです。
社会の変化が激しく、正解が一つとは限らない時代において、情報を読み取り、自分なりに考え、理由を説明するなどの力が必要になると考えられています。高学年で「考える問題」が増えるのは、この教育の方向転換を、子どもが無理なく体験できる段階として位置づけられているからです。

高学年は「思考力」を本格的に育てる時期

低・中学年では、まず基礎となる知識や技能を身につけます。一方、高学年では、その知識をどう使うかが問われ始めます。
たとえば算数では、「計算が合っているか」だけでなく、「どんな考え方で解いたか」。国語では、「答えが合っているか」よりも、「文をどう読み取ったか」「その理由をどう説明したか」などが重視されます。これは、中学校の学びにも深く直結しています。高学年は、小学校教育のまとめであると同時に、「中学校の学び方」に慣れていく準備期間でもあるのです。

テストの点が下がった=力が落ちたことにはならない?!

子どもがテストで低い点をとってきた場合、焦る保護者は少なくありません。しかし、点数が低いからといって、必ずしも学力が低下しているとは限らない場合があります。考え方や説明を書く問題では、「書き方が足りない」「説明が途中で終わっている」といった理由で減点されることがあります。これは、考えていないからではなく、考えを言葉や式で表しきれていないケースが少なくないということです。
学校がこうした問題を出すのは、正解かどうかだけを見るためではありません。「どこまで理解できているか」「どの段階で考えが止まっているか」を知り、次の指導につなげるためです。そのため、間違いも単なる失敗ではなく、思考の途中経過を示す大切な手がかりとして扱われます。ノートの書き方や途中までの式などが重視されるのは、結果よりも考えの道筋を見ているからです。
点数だけを見ると不安になることもありますが、評価の視点自体が以前よりも細かく、多面的になっている。それが、今の高学年の学びの特徴です。

保護者ができる「評価との向き合い方」

家庭ではつい、子どものテスト結果に対して「なんでここ間違えたの?」「前より点が下がったね」と言ってしまいがちです。しかし昨今の学びでは、答えを出す速さや正解かどうか以上に、考えた過程が重要視されています。
おすすめなのは、「どう考えたの?」「ここまで分かってるんだね」と、子どもの思考を具体的な言葉にさせる声かけです。考えを整理する時間を一緒につくること、点数や正解にこだわらず、子どもが考えた跡が残っているかを追うこと。そして、その先にある、子ども自身の自発性の育成や知的好奇心の向上-そこに目を向けながら、子どもの成長を見守っていきましょう。

出展
文部科学省『学習指導要領「生きる力」』
文部科学省『平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)』





























