2025年12月25日(木)
【よくある相談シリーズ】冬場の感染症が心配です。子どもの免疫力アップのために食で大切なことは?

寒さや乾燥、寒暖差が厳しくなる冬は、子どもが体調を崩しやすい季節です。学校生活の忙しさや行事が重なり、心身ともに負担がかかりやすい時期でもあります。今回は豆腐マイスターの資格を持つ大坪律子先生に、冬に免疫が落ちやすい理由と、日々の食卓でできる対策について話を聞きました。忙しい家庭でも無理なく続けられる、大豆製品を取り入れた冬の食卓のヒントを紹介します。

冬はなぜ免疫が落ちやすいのか

冬は寒さによって体温を保つため、体が多くのエネルギーを使います。暑い季節よりも「体を温める」ことにエネルギーを使う分、免疫に回せる余力が少なくなりがちです。さらに、昼と夜の寒暖差は自律神経にとって大きなストレスとなり、免疫力の低下につながります。
加えて、冬は日照時間が短く、気分が落ち込みやすい季節でもあります。知らず知らずのうちにストレスが重なり、それが体調不良として表れやすくなるのです。乾燥した空気も、ウイルスが活発になる要因の一つ。冬は「ウイルスが元気で、人は弱りやすい」条件がそろう季節だといえるでしょう。

冬の体に必要なのは「量」より「質」

冬は体温を保つために多くのエネルギーを使いますが、だからといって食事量を大幅に増やすことは現実的ではありません。寒さで食欲が落ちやすく、無理に食べさせようとすると、かえって体への負担になることもあります。
そこで意識したいのが、食事の「質」です。特に免疫の材料となるたんぱく質は、量よりも内容が重要になります。たんぱく質には、体に必要なアミノ酸をどれだけバランスよく含んでいるかを示す「アミノ酸スコア」という指標があります。スコアが高い食品ほど、少ない量でも効率よく体づくりに使われます。
冬の食卓では、限られた食事量の中で、こうした良質なたんぱく質をどう取り入れるかが、体調を支える大きなポイントになります。

免疫を支える、大豆製品という選択

良質なたんぱく質を日常的に取り入れる食材として、おすすめするのが大豆製品です。大豆はアミノ酸スコアが高く、体に必要なアミノ酸をバランスよく含んでいます。そのため、無理なく効率よく栄養を摂ることができます。
さらに大豆製品の強みは、たんぱく質だけではありません。食物繊維を含み、腸内環境を整える働きがあります。腸は免疫機能と深く関わる器官であり、腸内環境が乱れると、免疫力も低下しやすくなります。
味噌や納豆といった発酵食品も大豆由来で、腸内の善玉菌を支える存在です。肉や魚だけでは補いにくい要素を、大豆製品は自然な形で補ってくれます。豆腐、納豆、味噌、油揚げ、厚揚げ、豆乳など、形を変えて食卓に取り入れやすい点も、大豆製品が冬に向いている理由の一つです。

子どもも無理なく食べられる工夫を

大豆製品が苦手というお子さんもいるでしょう。しかし、少しの工夫で格段に食べやすくなります。
豆腐は、冷奴でも十分においしいのですが、冬場は温めていただきましょう。豆腐にとろけるチーズをのせ、または、小分け冷凍したネギやキノコをのせてレンジでチンすれば、簡単に温奴の完成です。納豆が苦手な子は、ツナを合わせると抵抗感が少なくなります。これをご飯にのせるだけでも、十分に満足感のある一品になります。
特に取り入れやすいのが味噌汁です。豆腐と野菜を加えることで、たんぱく質と野菜を同時に摂ることができます。豆乳を少量加えると口当たりがまろやかになり、卵を落とすことで栄養面も補えます。ニンニクとバターを加えれば、まるで味噌ラーメンのような味に!アレンジは無限大です。

続けられる食卓が、免疫をつくる

冬の免疫対策で最も大切なのは、無理なく続けることです。忙しい平日は、小分けパックの豆腐を温めて、好みの調味料をかけていただくだけでも十分です。冷凍野菜やきのこを活用すればボリューミーに。完璧を目指す必要はなく、数日単位で食事のバランスが取れていればよいと考えます。
ぜひ意識してほしいのが、子ども自ら、味噌汁を作れるようになることです。味噌汁は工程がシンプルで、野菜やお肉など、栄養を一度に摂ることができます。将来、体調を崩したときや忙しいときに、温かい味噌汁を自分で用意できることは、自分の体を整える力につながります。
あわせて、身近な豆腐店に立ち寄り、豆腐職人が作る豆腐を一度味わってみることも勧めたいと思います。大豆の甘みや香り、食感の違いを知ることで、豆腐への印象が変わります。食への関心を育てることは、日々の食卓を大切にする意識へとつながるはずです。


- 薬膳研究家/豆腐マイスター
大坪律子 - 新潟市出身、広島市在住。学生時代から食に関心を持ち、大手食品メーカーにも勤務。結婚後に難病を経験したことをきっかけに、日々の食事の大切さを実感し、薬膳や豆腐、出汁、麹、スパイスなどを中心に学びを深める。各地で料理教室を主宰し、現在11年目。レシピ制作や監修のほか、広島市内で薬膳講師としても活動している。





























