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調べてみました!ちょっと気になる、本当のこと!2026年4月27日(月)
子どもの不調に薬膳は?家庭でできるやさしい取り入れ方

朝なかなか起きられない、イライラしやすい…。小学校中・高学年からは、心も体もゆらぎやすい時期です。そんなとき、家庭の食事でサポートできることはあるのでしょうか。東洋医学の考え方をもとにした「薬膳」について、薬膳研究家として活動する大坪律子先生に聞きました。
薬膳とは何か。東洋医学の栄養学という視点

栄養学というと、ビタミンやたんぱく質といった西洋医学の視点を思い浮かべる方が多いかもしれません。薬膳は、それとは少し角度が違います。東洋医学に基づいた栄養学、と考えると分かりやすいかもしれません。薬と食べ物は源が同じ。「薬食同源」という思想があります。食事は単なる栄養補給ではなく、薬ほど急激ではないですが緩やかに体調を整え、病気を予防する力があるため、バランスの取れた日々の食生活が重要となります。
日本にも伝統医学があります。中国から伝わり、日本の風土の中で育ってきた医学です。西洋医学が広まる前、人々は体質や季節に合わせて食事を整えてきました。その延長線上にあるのが薬膳です。昔は生薬を使った特別な料理を指すこともありましたが、現代では少し意味合いが広がっています。自身の体のことを考えて食材を選び、組み合わせる。それが薬膳の考え方です。なので、スーパーで手に入る食材だけで十分に実践できます。
食材にはそれぞれ性質があります。たとえばトマトは夏野菜で、体の熱を冷ますと考えられます。冷えやすい体質であれば、それらの食べ方や量を少し工夫するという視点も生まれます。お米は「気」を補う、つまりエネルギーを養う存在とされます。やる気、元気という言葉にある「気」を支える土台です。つまり、特別な料理を覚えたり、難しい食材を使ったりすること=薬膳ではないのです。
思春期のゆらぎを体質から見る

思春期は、ホルモンバランスが大きく変わります。なんとなくだるい、イライラする、急に落ち込む。男女問わず、ニキビが増えることもあります。
東洋医学では、赤いニキビは体に「熱」がこもっているサインと捉えることがあります。そういうときは、体を冷ます性質のある食材を意識する、という考え方があります。トマトやなす、セロリなどは、熱をやわらげる方向に働くとされます。またイライラには、柑橘類や紫蘇など香りのよい食材が気の巡りを整えるとされます。
受験などで集中力を高めたい時期には、「血」を補う視点もあります。赤身の肉や黒ごまなど、赤や黒の食材は血を補うことで、頭も働くと考えられています。ただ、これを食べれば必ず変わる、と単純に言えるものではありません。その子にあわせた体質やその日の状態を見ながら、無理のない範囲で食事を整えていく。その柔らかな考え方が薬膳の特徴です。
旬と土地を知ることが、いちばんの近道

旬を知ること、土地のものを取り入れることも重要です。それだけでも、十分に東洋医学の視点に近づきます。
寒い地域で体を温める食材が親しまれてきたこと、暑い地域で熱を冷ます野菜が食べられてきたこと。そこには風土に合わせた知恵があります。例えば、北海道では体を温める羊肉が食べられ、沖縄では体の熱を取るゴーヤが親しまれてきました。つまり地産地消の考え方です。
現代において、スーパーの棚には季節に関係なく野菜が並びます。冬に夏野菜であるきゅうりやトマトがあるのが当たり前の時代です。だからこそ、親が旬を伝えることに意味があります。今は何が育つ季節なのか。それを知ることは、体のリズムを知ることにもつながります。
迷ったら五色を意識して食卓に色どりを

薬膳のわかりやすい目安として、よく伝えているのが五色です。赤、緑、黄、白、黒。まずは食材の色を意識するだけでも、食卓のバランスは自然と整いやすくなります。
たとえば赤なら、にんじんやトマトを。緑なら、小松菜やほうれん草。黄色は、かぼちゃやじゃがいも。白は山芋や大根。黒なら、海苔やひじきなどです。
全てを一度にそろえようとしなくてかまいません。2、3日の中で色がゆるやかに巡っていけば、それでよいのです。できる範囲で作り置きを上手に使いながら、今日は何色が足りないだろうと少し意識する。そのくらいの距離感でも、薬膳の考え方はしっかりと根づいていきます。もちろん食事だけで、体調の全てが解決するわけではありませんし、必要なときには医療の力を頼りましょう。
思春期は、心も体も大きく揺れ動きます。だからこそ、毎日のごはんが安心できる場所であってほしいと願っています。できれば、ときどき子どもと一緒にキッチンに立ってみてください。旬の野菜に触れ、色を選び、料理をする。その経験が、やがて自分の体を自分で整える力へとつながっていきます。

- 薬膳研究家/豆腐マイスター
大坪律子 - 新潟市出身、広島市在住。学生時代から食に関心を持ち、大手食品メーカーにも勤務。結婚後に難病を経験したことをきっかけに、日々の食事の大切さを実感し、薬膳や豆腐、出汁、麹、スパイスなどを中心に学びを深める。各地で料理教室を主宰し、現在11年目。レシピ制作や監修のほか、広島市内で薬膳講師としても活動している。
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