子育てアドバイス

【よくある相談シリーズ】子ども同士のトラブル、みんなどうしてる?


●「学校でお友達と上手くいっていないのかも…」
 と感じたら。


「子どもが学校から浮かない顔で帰って来た…」そんな様子を見ていると、おうちの人はとても心配ですよね。ましてや「学校に行きたくない」と行き渋りが始まれば尚更です。今回は、「うちの子、最近元気がないなぁ」「うちの子、学校でお友達と上手くいっていないのかも…」と感じた時に、おうちの人はどう対応すればよいか、そのポイントについて考えてみたいと思います。

 

●学校は、子どもたちの「社会性」を育む場。

学校は、子どもたちが「社会性」や「人間関係の作り方」について、体験を通して学んだり練習していく場所です。この学びも、子どもたちの年齢や、子ども一人ひとりの性格やタイプによって変わっていきます。まずは小学生の子どもたちの考え方や物の見方の変化をおさえておきましょう。


【小学校低学年】
低学年の子どもたちにおいて重要なのは、道徳心を育む土台づくり。「優しさ」「思いやり」の体験です。お母さんたちから「優しい子に育てるにはどうしたらよいですか?」と相談を受けることがよくあります。人は、優しくされた経験が少ないと、人とどう接することが「優しい」ことかが分かりません。日々の生活の中での子どもたちとのやり取りを大切にすることが、子どもたちの「優しさ」の育みに繋がっていくのです。また、ここ2年、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策でマスクを着けた生活が続いています。安心してマスクがとれるご家庭では、子どもの顔をしっかり見て微笑む。話を聴く時には子どもの目を見て温かい表情で聴いてあげる。そんな日々の心がけが、子どもたちに安心感を与えて、周囲に優しくできる心の余裕を生み出します。

【小学校中学年】
中学年の子どもたちについて「10歳の壁」という言葉がありますが、この壁を乗り越えた時に獲得できるのは、人の気持ちを想像できるようになること。人と自分の考えや気持ちは同じではなく、違っていることもある(メタ認知)と気づけるチカラ。社会的スキルのベースになるチカラです。学校の道徳の授業でも、物語の主人公の気持ちや他の登場人物の気持ちが想像できるようになっていきます。


【小学校高学年】
高学年になると、もっと広い視野で物事を考えられるようになっていきます。よくない意味で表現されることもありますが、「空気を読む」ことができるようになっていきます。クラスの雰囲気、集団の雰囲気を見て、自分の役割、自分の行動を調整していく。たとえば、高学年だという自覚から、低学年のお手本になろうと心がけるといった気配りができるようになっていきます。広い視野で自分の行動に責任を持って動けるようになっていくのです。

 

●ライフデザイン表を作ってみませんか?

 

たとえば、学校の休憩時間の出来事です。A君と遊びたくてニコニコしながら寄って来たB君が、A君の背中をパシンと叩いた。A君が「よくもやったな~」と笑い、追い掛けっこが始まる。楽しそうにそのまま次の遊びに発展していく。このやり取りができるのは、A君が「B君は自分と遊びたいんだな」とB君の気持ちを想像できるからです。その想像ができないと、「B君に背中を叩かれた!」→「B君の真意が分からない」→「B君に意地悪をされたと悲しくなる」。もしくは、「B君に背中を叩かれた!」→「A君がB君をもっと強い力で叩き返した」→「それが喧嘩に発展」→「先生に2人とも怒られる」→「何で自分も怒られないといけないんだ!と納得がいかないA君」となります。このように人の気持ちを創造できるかどうかで、友達関係も変わってくるのです。


■B君に背中を叩かれて、意地悪をされたと感じているA君への対応は?

A君のおうちの人の基本姿勢としては、まずは疑わず聴いていくこと。声かけは「教えてくれてありがとう。A君の嫌だった気持ちがよく分かったよ。ママと一緒に考えようね」など。まずは、A君が困ったことを大人に伝えられたことを肯定しましょう。

そして、ここは重要なポイントですが、「B君は悪い子だ」「A君はかわいそうに」と伝えないこと。相手の気持ちが分からないまま、「悪い子」「嫌な子」と決めつける考え方になってしまうと、どんどん教室に「嫌いな子」が増えていき、安心して登校できなくなってしまうからです。また、「かわいそう」と伝えることは、一見共感しているように見えますが、子どもによっては「僕はかわいそうなダメな子」と不甲斐ない気持ちになり、自己肯定感を下げ、自信をなくしてしまう子もいるので注意が必要です。B君自身が「悪い子」なのではなく、B君の意地悪(だと感じている)な言動に焦点を当てて考えられるようになるための声かけが大切です。

次に、また同じような状況になった場合、どうしたら良いかを具体的に一緒に考えていきます。ここでおうちの人が子どもにされるアドバイスで、「困ったら先生に言いなさい」がありますが、このアドバイスには注意が必要です。
先生によっては、A君とB君と話し合いを持ち、喧嘩両成敗でお互いの悪かったところを誤って仲直りをするというやり方を取られることがあります。自分の気持ちをしっかり話せない子どもの場合には、納得いかないことがあっても、「仲直りしたんだから、そんなことを言ってはいけない」と言われてしまうと、先生が信用できなくなり、「困ったら先生に言いなさい」と言うおうちの人にも心を閉ざし、大人が誰も信用できなくなって学校に行けなくなってしまうことがあります。

この対応で大切なのは、先生とおうちの人の連携・対話です。A君には、「先生に〇〇〇〇と伝えておくね。困ったら安心して先生に相談してね」とおうちの人から伝えておきます。先生には、A君の状況をおうちの人が心配していること、どうして欲しいのかをなるべく具体的に伝えましょう。たとえば、子ども同士の話し合いを持たせて欲しいのか、そうではなく個別に話を聞いて欲しいのか、もしくは、休憩時間に少し気にかけて観ていて欲しいなど。そしてまた後日、先生から連絡がない場合には、「どんな様子ですか?」としばらく日にちをおいて尋ねてみましょう。


■A君と遊びたくて、A君の背中を叩いたB君への対応は? 

B君は、人懐っこい子で、よく友達にちょっかいを出します。友達にかまって欲しかったり、遊んで欲しい時に、背中や頭を叩くことがありました。そして、A君に対しても意地悪をしている認識はありませんでした。そんな中、先生から「A君は嫌な想いをしている」とお説教がありました。でも、B君は「A君だって叩いたのに」と納得していませんでした。そして、先生からおうちの人にも電話がありました。

そんなB君のおうちの人の基本姿勢としては、B君の気持ちを言葉で表現できるようにじっくり聴くこと。そして、ここは重要なポイントですが、子どもの話を聴くときに、くれぐれもお説教にならないようにすることです。子どもは、説教だと感じた途端に、話してくれなくなるからです。

B君に必要なことは、遊びたい時に、叩くのではなく、言葉で相手に「遊ぼう」と伝えられるようになることです。B君が話してくれた時には、「B君が話してくれてよくわかったよ。遊びたかったんだね。でも、嫌がられたのは悲しかったね。そんな時にはどうやって誘ったら良いかなぁ?」と一緒に考えていきましょう。

意地悪をした(と思われてしまう)子どもは、「悪い子」「怖い子」とレッテルを貼られがち。そうすると、この悲しい気持ちに寄り添ってもらう経験が少なくなってしまいます。しかし、この悲しさに共感されることが、相手の気持ちを思いやる力を育むことに繫がっていくのです。

 

●子ども同士のトラブルは、人づきあいを学ぶチャンス。

 

低学年・中学年・高学年の子どもたちの変化を書きましたが、これは「目安」です。「できているから良い」とか「わかっていないからダメな子だ」と考えるのではなく、この「目安」を参考にお子さんにどんな声かけやサポートが必要かを考えるきっかけに使ってみてください。子どもたちの発達や成長は凸凹していて、一人ひとり違います。小学生のこの時期、私たち大人が一番心がけておかないといけない点は、「子どもたちはまだ未熟で、人間関係の取り方を間違えることもある」と理解しておくことです。そして「トラブルは、その正しいやり方を学ぶチャンス」と捉えましょう。

わたしたち大人でも難しい人間関係の問題。未熟な子どもたちには尚更です。このトラブルを子どもも大人も成長できるチャンスに☆

※学校でのトラブルについて困ったなぁと思われた時には、担任の先生、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、養護教諭などおうちの人が相談できる窓口が各学校には設置されています。ひとりで悩まず相談を。

 
土居和子 広島県教育委員会 スクールカウンセラー
広島県乳幼児教育支援センター 
保育ソーシャルワーカー
東広島市教育委員会 
スクールソーシャルワーカー
修道大学 非常勤講師
ココロトモニ(オンラインペアトレ講座主宰)代表
その他
ペアレントトレーニング、NPプログラム、BPプログラムなどの保護者向け子育て講座
ティーチャーズトレーニング、事例検討会などの保育士や幼稚園教諭向けの研修会
小中学校教員向けの研修会など

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