子育てアドバイス

スマホデビューを機に家族で話をしよう!

進級・進学を機に、子どもにスマートフォン(スマホ)を持たせることを検討中のご家庭もあるのでは?連絡を取りやすくなる安心の一方で、犯罪やいじめなどに巻き込まれる不安も生じます。ご家庭でどのようなことを知っておく必要があるのか、気を付けるべきかについて、広島市電子メディア・インストラクターの開地義明さんに聞きました。

自転車に乗る時のように危険性や注意点を教えて
 塾や習い事、部活などで帰宅が遅くなる子どもとの連絡ツールとして携帯電話を持たせることを検討する場合、近年ではスマホが選択肢となります。最近は、大学のオープンスクールの申し込みもインターネット(ネット)でする時代で、IT機器を使いこなす必要性も避けて通れません。スマホの利便性を選択するなら、インターネットやアプリケーション(アプリ)が使えることにどんなリスクがあり、どうしたらそのリスクを回避できるのかを知っておく必要があります。
 ネットで世界中につながるスマホは、使い方によっては人を傷つけたり、自らを危険にさらす凶器にもなり得ます。子どもに初めて包丁の使い方や自転車の乗り方を教える時、安全な使い方を教え、手を切らないか、交差点に飛び出さないか、子どもを見守ると思います。包丁で手を切れば、血が出るのでそのことに気が付きますが、ネットで心が傷ついても外からははっきり見えないために、気付きにくいものです。持たせるのなら、合わせて正しい使い方を教えるのが保護者の務めです。
 現在、ネットのリスクとして挙げられるのは主に以下の7つです。まずは保護者が知っておきましょう。

 ●ネットいじめ
 ●誘い出し
 ●個人情報漏えい
 ●ネット詐欺
 ●チェーンメール
 ●著作権の侵害
 ●肖像権の侵害

 ネットの恐ろしいところは、個人情報などが漏えいすると世界中に拡散し、一生消すことができないことです。一時期、なりすましによって女児の下着姿の画像を送らせるなどの犯罪がありましたが、最近では知っている友達同士でそうした画像をやり取りしていたものが、仲違いを機に拡散されるなどの事件も発生しています。個人情報につながるものの管理は特に注意が必要です。

「10(テン)オフ」など、持たせる前にはルール作りを
 多くの子どもはすぐにスマホを使いこなし、最新情報を得てくるので、持たせた後で使い方を管理することは難しくなります。事前にできるルール作りは、それぞれのご家庭で話し合って決めておきましょう。
 例えば、以下のようなものです。

 ● 契約時にフィルタリングをかける
 ● 充電器はリビングに置き、スマホを自室に持ち込まない
 ● 面と向かって話せないようなことは書き込まない
 ● 食事中や会話中は使わない
 ● 課金はしない
 ● 勝手にアプリをダウンロードしない
 ● ネットで仲良くなっても知らない人とは絶対に会わない
 ● 夜10時以降は使用をやめる
 ● 約束を守れなかった場合の対処を決めておく
広島市では、教育委員会・小学校長会・公立中学校長会・PTA協議会・電子メディア協議会で構成する「電子メディアと子どもたちに関する関係者会議」を設け、情報共有と連携を図っています。「10(テン)オフ運動」の推奨もその一つ。書き込めるサイズのチラシを広島市のホームページからダウンロードできます。

http://www.city.hiroshima.lg.jp/


親子のコミュニケーションが最も有効なフィルタリング
 子どもの閲覧履歴や会話履歴を全てチェックして、管理や制限をすることには限界があります。それより大切なのは、何でも話せる家庭環境をつくり、子どもが興味を持っているものを知って理解をしたり、悩んでいるなどの変化を見逃さないこと。またネットに限らず、礼儀やモラルの大切さを教えることです。
 時には子どもがやっているゲームを一緒にやってみるのもいいと思いますし、SNSなどが原因でなくても悩んでいるようであれば声をかけて話しやすい雰囲気をつくってあげましょう。保護者が日常の挨拶や言葉遣いに配慮している姿を見せていれば、メールやSNSであっても人に失礼な言葉を投げつけてはいけないと自然に感じると思います。
 上記の「10(テン)オフ運動」を始めた翌年には、「親の心得10か条」というものをまとめましたので、 参考にしてみてください。

 ●第1条 ケータイ・スマホ等の管理は与えた親の責任です
 ●第2条 普段から子どもの様子をしっかり見ましょう
 ●第3条 家族で会話のできる時間をつくりましょう
 ●第4条 思いやりの気持ちを教えましょう
 ●第5条 何のために使うのか親子で話し合いをしましょう
 ●第6条 ネットの危険性を親自身がしっかり学び理解しましょう
 ●第7条 子どもに相談してもらえる親になりましょう
 ●第8条 人を傷つける言葉はやめましょう。その言葉を子どもがネットで使います
 ●第9条 子どもと決めたルールを親が守っている姿を見せましょう
 ●第10条 「我が家の1か条」を自由に追加しましょう。

 少し前ですが、アメリカの母親が息子にスマホを持たせる時に与えた18の約束事が、全世界で保護者の共感を呼びました。「うそや人を傷つけるための道具じゃないわ。人が人を傷つけるのを傍観したりそれに参加したりもダメ」「検索の世界だけでなく、鳥がさえずる現実の世界もご覧なさい。歩いて見知らぬ人との会話も、楽しみなさい」など、参考にしたい言葉もたくさんあるのでは。興味がある方は、「スマホ18の約束」で検索してみてください。
 また、広島市電子メディア協議会では、広島市からの委託により、小・中学校やPTA、地域の各種団体などの要望に応じて電子メディア・インストラクターが出向き、子どもが使用する場合のインターネットの危険性、保護者や地域の大人が果たす役割などについて出前講座を行っています。今年は特に、LINEなどでずっとグループチャットを続けるダラダラ通信(「ダラ通」)防止などにも力を入れています。
 スマホデビューを機に家族で話し合いの場をもち、コミュニケーションやモラルの大切さを見直すのはとてもいいことだと思います。いろいろな情報を活用して、それぞれのご家庭で向き合ってみてください。

広島市電子メディア協議会 (問い合わせ先 広島市教育委員会 青少年育成部 育成課 )
TEL. 082-242-2116
ikusei@city.hiroshima.lg.jp



2児の父でもある広島市電子メディア・インストラクターの開地義明さん
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