子育てアドバイス

学童保育がなくなる4年生、有意義な放課後を過ごすには?

 小学3年生で学童保育が終わり、小学4年生から気になるのは放課後の過ごし方。子どもたちの放課後の居場所や預け先がなくなり、子どもだけで過ごす時間が増えてきます。そこで、子どもたちが健やかに成長してくために考えておきたいことや気を付けたいことを、学童保育機能を備えたアフタースクール「サポート託」を運営する、東條典子さんに聞きました。

お話は サポート託 東條典子さん
●習い事で専門性に触れ、イベントで多様な体験を
 学習指導要領が変わり、子どもたちが学校にいる時間は長くなっています。下校時間が遅くなり、友達と遊ぼうにも時間がなく、習い事で予定が合わなくて遊べないことも多いようです。また親が帰宅するまで、子ども1人で留守番をする時間が増えてきます。そこでお勧めするのが、習い事で専門性に触れるということです。学習塾なら進学に必要なハウツーを習得する、サッカーなら技術やチームプレーの大切さを学ぶ、水泳教室ならカリキュラムに沿って課題を挑戦し乗り越える楽しさを知るといったことです。習い事を続けて自信を持つことは、自己肯定感を高めることにもつながります。
 習い事選びでは、“自分がやりたいこと”を重視するとよいでしょう。子どもが納得して始めないと、続けることはできません。「友達が行くから」という理由で習い事を選ぶと、長続きしないようです。行った場所で新しい友達もできます。続けることを原則に習い事を決め、放課後に行く場所を決めます。その時、子どもだけで行き帰りできるか、親の手伝いが必要かどうかの確認もしておきたいところです。
 週1日は自由に遊べる日を決めておくとベスト。男の子の3、4年は、遊びの中で人間形成がされる重要な時期で、自由遊びはとても大切です。
 特に中学年は習い事を整理するタイミングです。下校時間が変わったり、塾通いが始まったりするので、スケジュールの見直しが必要になります。時間をどのように整理するか、何を続けて何をやめるのか、こどもと一緒に考えるとよいでしょう。
 また、地域の児童館も利用したい施設です。良質で安全な遊びの場を提供するとともに、さまざまな体験や異年齢交流による健全育成の拠点となっています。県や市の広報紙を見て、イベントやワークショップなどに参加するのもおすすめ。親も一緒に参加できるとよりいいですね。多様な体験ができます。
●外遊びもさせたいけれど…
 『「広島市における放課後対策について」報告書』によると、「女性の雇用労働や社会参加の一般化により共稼ぎ家庭や一人親家庭が増加したり、核家族の孤立化や少子化が進行するなど、子どもたちを取り巻く社会環境は大きく様変わりしている」とあります。また、子どもが犠牲になる凶悪な事件が後を絶たず、子どもの遊びが「室外から室内へ、動から静へ、集団から個人」と変化していると報告しています。
 学習指導要領が変わって下校時間が遅くなり、放課後の時間もあまりありません。共働き家庭が増えたことで、公園などで子どもを見守ることができる保護者も少なくなっています。また、親世代の子ども時代から見られる傾向ですが、予約をしないと遊べないという子どもが増えているように感じます。かつては、外遊びで異年齢の子どもたちと一緒に遊び、遊びの入り方や受け入れ方などを自然と教えてもらっていたのだと思います。
 放課後の外遊び(自由遊び)は難しい環境にありますが、その分、学校で外遊びにあたる時間がつくられています。ロング休憩などと呼ばれていますが、学年を超えたチーム分けや自由遊びをして異年齢と交流しながら遊べるようになっています。学校なら見守る目もありますし、ケガを処置する対応も整っています。
●家のルールをしっかり決めておく
 子どもだけで留守番をする場合、わが家のルールをしっかりと決めておくことが大事です。大人がいない時は友達を家に入れてはいけないとか、勝手に冷蔵庫を開けない、家の中のものを持ち出さない、などです。
 わが家の家訓は、「挨拶をする、靴をそろえる、働かざるものは食うべからず」の3つでした。おやつにおにぎりを出す時には運んでもらったり、お皿を洗ってくれたりする子もいました。中には「えぇ~うちは違うよ」という子がいるかもしれません。でも「わが家はそうなの」と貫いてください。紙に書いて張っておいてもいいかもしれませんね。
 電話、来客の対応のルールもしっかり決めておきましょう。また、問題が起こったときに連絡ができる、ママ友の存在も心強いです。電話番号を登録しておいて、子どもが困った時に大人の判断を聞ける方法を準備しておきましょう。
●ママ友の存在が心強い
 小学3、4年の男の子のママは、女の子ママとの付き合いがあるととても助かります。女の子は学校の様子を比較的よく話してくれるため、学校の情報を聞けるからです。この時期の男の子には“内緒”という行為が生まれます。発達段階なので、知っていても知らないふりをしてあげて。親も知らない、学校の先生も知らない、真ん中のことが増えてきます。そうはいっても、「もっと早く分かっておけば…」と後悔することもあるかもしれません。人づてに聞いた話は、話が大きくなっていることもあります。情報を持っておき、何かあったときに参考にするといいでしょう。
 少しそれますが、女の子はママへの反抗期を迎えます。ママは大変ですが、頑張って親の考えを通してください。子どもの前に立ちふさがり、それを乗り越えることで自我が芽生えます。しっかり反抗して乗り越える体験が必要です。
 子どもの話によく登場する友達のママと、懇談会などで連絡先を交換しておくといいですね。子どもが選んだ友達です。遊ぶ内容や考えることが似ているはずです。連絡できるようにしておくと、放課後の安心感も変わってきます。
●1日5分は向き合う時間を
 小学4年生になって、初めて一人でお留守番をする子どももいるでしょう。日常生活では、1日5分でいいので子どもと向き合う時間を持ってください。何かをしながらではなく、その子のための時間です。5分×子どもの人数ですから、忙しい方でもなんとか確保できる時間ではないでしょうか。自分のための時間という特別感が、子どもに安心感を与えます。「あなたが大事」という気持ちを、しっかり伝えましょう。
 学年が上がると、子どもも忙しくなります。子どもとの時間を持つことを意識していないと、うっかり何もしないうちに月日が経ってしまいます。私は週1回、子どもの病院の行き帰りの時間が向き合う時間でした。子どもの話を聞きながら、日中の様子を確認して、私自身が随分と安心したことを覚えています。
 子どもたちが安心して多様な体験ができる環境づくりを整えることが親の仕事。親は情報を提示し、子どもも自身が判断する機会を与えてやってほしいと思います。あとは、人に任せられることは甘えてお願いすることも大事。それが親子ともども、放課後をより充実したものにするコツだと思います。
東條典子さん
広島市立小学校に勤務、教員歴33年の経験を生かして、広島市初の学童保育機能を備えたアフタースクール「サポート・託」を平成21年4月にオープン。「広島市女性創業支援事業」の認定を受けている。学習指導や教育相談、公民館などで子育て講座の講師も務める。地域子育て支援センターや公民館で子育て支援のボランティアも行う。
広島市西区井口1-1-1-304 
TEL082-278-7089

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