2025年6月18日(水)
【素朴な疑問シリーズ】命を守るために知っておきたい「熱中症」とは

毎年、夏になると話題になる「熱中症」。しかし、単なる「夏バテ」とあなどってはいけません。高温多湿な日本の夏において、熱中症は命に関わる重大な健康リスクのひとつです。2024年4月からは、従来の「熱中症警戒アラート」に加え、より危険な状況で発表される「熱中症特別警戒アラート」が導入されました。今回は、熱中症とはどんな病気か、そして特別警戒アラート発表時に私たちがとるべき行動について紹介していきます。

熱中症とは?原因と症状を知っておこう

熱中症は、暑さによって体温の調整がうまくいかなくなり、体内に熱がこもって起こる障害です。初期にはめまいや立ちくらみ、こむら返りなどの症状が見られますが、進行すると頭痛、吐き気、さらには意識障害やけいれんといった重篤な症状に至ることもあります。
特に高齢者や乳幼児、持病を持つ人は体温調節機能が低下しているため、より注意が必要です。屋外はもちろん、屋内でも熱中症は起こるため、外出していない場合でも油断は禁物です。

新設された「熱中症特別警戒アラート」とは?

これまで発表されていた「熱中症警戒アラート」は、危険な暑さを予測した段階で注意喚起を行うものでしたが、2024年からは、それを上回る危険度の高い暑さが予想されるときに「熱中症特別警戒アラート」が発表されるようになりました。
このアラートは、命に関わるほどの異常な高温が見込まれる際に発令されるもの。暑さから身を守るひとつの指数にすると便利です。アラートは、前日の夕方(17時頃)または当日の早朝(5時頃)に発表され、環境省の公式サイトやニュースなどで確認することができます。

熱中症を防ぐために、今日からできる対策

では、実際にアラートが発表されたとき、どのような行動をとればよいのでしょうか?以下、大切なポイントです。
1. 暑さを避けることが第一
室内ではエアコンを適切に使用し、温度を28度以下に保ちましょう。扇風機やサーキュレーターを併用すると、空気が循環し冷却効果が高まります。エアコンのフィルター掃除も忘れずに。目詰まりしていると冷房効率が下がり、無駄な電力消費につながります。
また、外出はできるだけ避け、やむを得ない場合は、帽子や日傘を使い、こまめに日陰で休憩をとるようにしましょう。
2. 水分・塩分補給をこまめに
汗をかくことで体内の水分と塩分が失われます。喉が渇く前にこまめに水分をとることが重要です。1日あたりの目安は約1.2リットル。スポーツドリンクや経口補水液を取り入れると、塩分も補給できてより効果的です。
3. 高齢者や子どもへの声かけを忘れずに
高齢者は暑さに鈍感になりやすく、エアコンを我慢してしまう方もいます。日中だけでなく夜間もエアコンを使うよう促しましょう。子どもは自分で体調を伝えられないことも多いため、保護者がこまめに様子を観察することが大切です。

熱中症の危険度を見える化「暑さ指数(WBGT)」とは?

「暑さ指数(WBGT)」とは、気温、湿度、日射・輻射、風といった複数の気象条件をもとに算出される指標で、熱中症のリスクを数値化したものです。WBGTが28以上になると熱中症による救急搬送が増加し、31以上で危険な状態とされています。環境省のサイトやテレビのニュースなどで身近な暑さ指数を確認し、外出や運動の参考にしてみるとよいでしょう。

熱中症が疑われるときの初期対応と、いま私たちにできること

万が一、熱中症が疑われる人を見かけたら、初期対応が命を左右することを覚えておきましょう。まずは日陰やエアコンの効いた室内など、涼しい場所へ避難させ、衣服をゆるめて体を冷やします。水をかけたり、冷たいタオルを首や脇に当てるのも効果的です。意識がはっきりしていれば、自力での水分補給を促し、冷たい飲み物を与えてください。ただし、呼びかけに反応がなかったり様子がおかしい場合は、すぐに119番通報し、速やかに医療機関での処置が受けられるようにしましょう。
熱中症は、知っていれば防げる病気です。しかし現実には、毎年1000人を超える人が熱中症で命を落としています。その現実を受け止め、私たち一人一人が「自分ごと」として意識し、家族や身近な人たちと声をかけ合いながら対策をとることが大切です。
暑さが本格化する前に、今一度、対策を見直してみませんか?

出典
環境省「環境省熱中症予防情報サイト」
厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」