健康基礎知識

落ち着きのない子どもへの対応法

落ち着きのない子どもに接した時や発達障害を疑われた時など、どのような対応が望ましいのか、特定非営利活動法人きぼうの香川友秀さんに聞きました。

中枢神経(脳)の機能不全といわれる
 限られた中ですが、私が学んできたこと、経験上感じている事に基づいてお話しします。発達障害には、症状の現れ方によっていくつかのタイプがあり、「自閉症スペクトラム障害(ASD)」、「注意欠如多動症(AD/HD)」「学習障害(LD)」の三つが代表的です。これらに「知的障害(MR)」を加えた四つを発達障害の範疇とするのが世界的に最も一般的な考え方です。
 発達障害の原因はまだ確定されていませんが、どのタイプも、①中枢神経系(脳)に何らかの機能不全があると考えられる。②症状が乳幼児期に顕在化する。③症状は進行性ではなく、発達や介入によって変化する、という点が共通しています。私的な意見ですが、脳機能の障害と考えるのではなく、「生まれ持った個性」「学びの経路が違う」という見方がしっくりくるかもしれません。
育て方・しつけ方が悪いのではない
 親の育て方・しつけ方などの養育環境が根本的な原因で発達障害になるのではありません。よく「あなたの育て方が悪かった」と責められて傷つくお母様がいらっしゃいますが、ご自分を責める必要はありません。
 しかし、家庭や住んでいる地域にはそれぞれの事情があり、気になることがあっても、望ましい対応ができないこともあると思います。そのような環境では、もともと持っている個人要因の程度が強く出てしまう可能性は否定できません。
 大事なことは、「お母さんが孤立しない」「お母さんを孤立させない」ことです。
落ち着いて、ゆっくり、具体的に、一つずつ、そして褒める
 例えば、多動や衝動性が強い子どもの場合、何か目に入ったものが気になれば、それを確認せずにはいられないのです。周りを困らせてやろうとかそんなつもりではないので、「どうしてじっとできないの」と責められても、本人はどうしていいかわかりません。それでは、どう対応すれはよいでしょうか。
 まず、刺激の少ない場所に移動して、目線の高さを合わせて、穏やかな声で、ゆっくり、小さな声で話しましょう。自分が興奮してしまうと、伝えたい内容が伝わりません。問いかけるのも一つの手です。子どもが自ら言語化することによって、自分の気持ちや行動の整理ができます。その際、「~してはだめ。」という否定表現ではなく、「(いまから・これから)~します。」などの肯定表現を使って、どうして欲しいのかを「具体的に」「一つずつ」伝えると、理解しやすくなります。
 また、「どれくらいじっとすればいいのか」「じっとしていれば次はどうなるのか」という見通しをつけてあげましょう。見通しが持てれば安心します。そして、望ましい行動が出来たら、その場で褒めましょう。具体的に何がよかったのかも合わせて伝えましょう。
 一番良くないのは、その時の気分や状況に応じて対応が変わることです。仕方ないと甘やかしてしまうのもよくありません。そうした体験は「叱られるのをやり過ごせばいい」「泣けば望みがかなう」といった、間違った学習に結び付いてしまいます。通常の子育てにも共通して言えることですね。
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社会資源を利用しよう
 いわゆる発達障害の症状を見せる子どもは、昔から一定数現れています。自分の子ども時代を思い出しても、いわゆる問題児的な子どもがクラスに一人や二人いたものです。近年は「発達障害」という言葉が一般化して、理解が深まっている反面、自分の子どもがいわゆる「障害者である」と認めたくない葛藤も生じています。しかし、専門家のアドバイスを受けたり、私たちのような施設を利用したりすることで、親子とも気持ちが楽になるケースもあります。
 もしかして、と思った時には一人で悩まず、市区町の障害福祉窓口や子育て支援センター、児童相談所などに相談してみましょう。ただし、発達検査を受けたり専門外来を受診するには、かなりの待ち期間が生じていることを知っておいてください。

(参考:河野正樹著「発達障害コミュニケーション初級指導者テキスト」一般社団法人日本医療福祉教育コミュニケ―ション協会発行)
香川 友秀(かがわ・ともひで) 特定非営利活動法人きぼう 理事長
JAF公認C級コーチ、介護職員初任者研修課程修了
初級障がい者スポーツ指導員、発達障害コミュニケーション初級指導者、
特定非営利活動法人きぼうとして、児童発達支援と放課後デイサービスを運営。「児童デイサービス ステップ光町」では、ソーシャルスキルトレーニング、食育、工作・創作活動、学習支援、視機能訓練のほか、サッカー療育やリトミックもプログラムに取り入れる。4月からは、未就学児対象に体操も取り入れる予定

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