健康基礎知識

子どもの熱中症予防について

 熱中症は用心すれば怖くない病気ですが、重症化すると命の危険も伴うため、注意が必要です。子どもの熱中症を予防するポイントを、ますだ小児科の増田宏先生に聞きました。
熱中症とは体内の熱を外に出せなくなった状態
 熱中症は、高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調整機能がうまく働かなったりして、個人の体調による影響などが組み合わさると発生が高まります。屋外で活動している時だけでなく、室内でも発生します。
 人は体温を36度前後に保ち、低くなると眠くなったり動けなくなったり、冬眠のような状態になります。熱中症によって40度を超えると自分では熱をコントロールできなくなり、細胞が壊れて戻らなくなります。腎臓機能がダメージを受けて尿が出なくなり、命の危険を伴います。
水分がとれているか、尿が出ているかを確認
 熱中症には、体温や状態によって4種類に分けられ、熱射病、熱失神、熱痙攣、熱疲労があります(表参照)。夏の炎天下の車内に残された子どもが救急車で運ばれるケースは「熱射病」です。これは高熱で熱のコントロールができなくなり、非常に危険な状態です。夏に熱が出て「熱中症ではないですか」と小児科に来院される場合がありますが、高熱が出る熱射病であれば意識はもうろうとし、かなり危険な状態。熱があって体がだるい程度では、風邪による熱であることが多いです。熱よりも、水分を摂取できているか、尿が出ているかに注意してください。
急に暑くなった日、湿度の高い日にも注意が必要
 熱中症の発生は7、8月がピーク。梅雨時期の6月や残暑の9月にも見られ、特に多いのが梅雨明け後の連続して気温が高く晴れている日や、気温が高くないのに湿度の高い日です。つまり、急に暑くなった日、湿度が高い日は要注意です。
 湿度が高いと汗が出にくくなり、体温をコントロールできずに熱中症になりやすくなります。汗で服がしめった状態のままにしておくと、体と服の間の湿度が高くなり、汗が出にくくなります。汗をかいたらこまめに着替えさせましょう。
汗をしっかり出して水分補給
 熱中症予防は、暑さを避けること、汗をしっかりかくための十分な水分補給、無理をしないことがポイントです。
 子どもは大人に比べて身長が低いため、地面から受ける輻射熱は大人よりも高温です。乳幼児だと汗をかく機能が未熟です。暑い日中には外出を避け、涼しくなってから出かけるようにしましょう。日中に外出する場合は、水分を持って、帽子をかぶり、汗をかいたときの着替えなど準備をして出かけましょう。
 汗を出させるには、十分な水分補給が必要です。厚生労働省がすすめているのは、ドラッグストアなどで販売されている「OS-1」という商品名の「経口補水液」の摂取です。少ししょっぱいので飲みにくさを感じるようであれば、水やお茶でも構いません。炭酸飲料などは糖分を多く含むものもあり、これで水分摂取をすると食事が入らなくなるので控えめに。汗を出すことで塩分も失っているので、塩分摂取も必要です。クラブ活動など、暑さの中で激しい運動をする場合は無理をして頑張りすぎないことも大事です。
 子どもだけでお留守番をする場合は、エアコンや扇風機などを使って暑さを和らげるようにしっかりと伝えておいてください。車での長距離の移動では、車内にエアコンがきいていても直射日光があたると体温は上昇します。休憩をしながら水分をとり、余裕をもって目的地に向かってください。熱中症予防のポイントを押さえて、楽しく安全に夏休みを過ごしてくださいね。
増田 宏さん
医学博士、小児科専門医、広島大学医学部臨床教授。医療法人あおぞら ますだ小児科 理事長。子どもと子どもを囲む家族が健康な毎日を過ごすための情報提供ステーションを目指して小児医療に取り組む。臨床心理士、児童心理カウンセラーによる、子育ての悩みや子ども病気の相談に対応している。

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