有限会社 山世水産(山口県)
山口市秋穂町で100年以上親しまれてきた名物饅頭。しかし、町唯一の和菓子店が店主の高齢化で閉店する事となり、その味は失われようとしていました。しかも、肝心のレシピは残されていませんでした。誰もが諦めかける中、立ち上がったのは意外にも一軒の水産会社。東京で和菓子職人として修業を積み、地元へ戻ってきた娘とともに、100年続く町の味をよみがえらせる挑戦が始まります。頼れるのは、わずかに残る資料と、昔の味を知る町の人たちの記憶だけ。父と娘、そして地域の人々は、消えかけた“ふるさとの味”を取り戻すことができるのか。今回は、地域の記憶を未来へつなぐ和菓子づくりのカンパニーのそ~だったのか!に迫ります。


山口市秋穂で100年以上にわたり親しまれてきた、町の銘菓のまんじゅう。しかし、それをつくってきた地元の和菓子店が店主の高齢化を理由に閉店することになり、伝統の味が途絶えてしまう危機を迎えていました。そんな中、地元の水産加工会社「山世水産」の社長の娘で、東京で和菓子職人として腕を磨いていた渡壁沙織さんが秋穂へ戻ることになったのです。幼い頃から親しんだ味をなくしたくないという思いから、沙織さんは職人として「自分にできることがあるなら」と、受け継ぐことを決意します。しかし、その矢先、味を伝授してくれるはずだった店主が倒れて入院してしまい、レシピを教わることができなくなってしまったのです。


まんじゅうを復活させるため、カンパニーはまず、会社の敷地内にプレハブの製造所を建てました。そして、受け継がれてきた型と、作業を見たことがある人の記憶を頼りに試作を開始。町の人の意見を聞きながら、白あんや生地の味を一つずつ改良していきました。さらに、沙織さんを最後まで悩ませた「しっとりした生地」の食感も、蒸気で温める工夫によって町の人々が納得する仕上がりになったのです。2018年、カンパニーは菓子部門として「菓秋やませ」を設立。まんじゅうの名前を「秋穂饅頭」へと改め、販売を始めました。そして沙織さんは、30年以上前に姿を消していたもう一つの町の銘菓「玉羊羹」の復活にも挑みます。町の人が地元の図書館で見つけてきた本にレシピが載っていたことで、それをもとに見事、再現を果たしたのです。