モリのパン(山口県)
山口市で100年近く愛され続けてきた小さなパン屋さんがありました。その店を長きにわたり守り続けてきたのは、92歳のおばあちゃん。しかし、年齢とともにパン作りを続けることが難しくなり、長い歴史は大きな転機を迎えます。そんな店に現れたのが孫の彩菜さん。最初は手伝いのつもりでしたが、店に立つうちに「このままでは店がなくなってしまう」と、4代目として店を継ぐことを決意。ところが待っていたのは、老朽化した設備や経営の課題など、百年続く老舗ならではの厳しい現実。それでもおばあちゃんから受け継いだ味と知恵を力に、新たな挑戦を始めます。今回は、百年の味と人の想いを未来へつなぐ老舗パン屋さんのカンパニーのそ~だったのか!に迫ります。


1926年創業の町のパン屋さん「モリのパン」。3代目の伊藤信子さんは現在92歳。中学生の頃からお店を手伝い、80年近くお店を守り続けてきました。しかし、年齢とともに足を悪くし、パンを焼き続けることが難しくなっていったのです。そんな中、孫の森彩菜さんがお店を手伝いにきたことをきっかけに、4代目としてお店を受け継ぐ決断をします。ところが、そこで見えてきたのはお店の現実でした。足を悪くした信子さんは、一部のパンを高額な発酵済み冷凍生地に頼らざるを得ず、その負担が経営を圧迫していたのです。お店を守るため、彩菜さんは人生で初めて事業計画書をつくり、銀行の融資を受けることに成功。生地からの手づくりにこだわることで支出の削減にも成功したのです。


お店を受け継いだ彩菜さんが次にぶつかった試練は、何十年もお店を支えてきたオーブンでした。温度設定は壊れ、庫内をのぞく窓も見えなくなっていたのです。しかし、信子さんからレシピとオーブンの癖を教わり、今ではこんがりと美しい焼き色のパンが焼けるようになりました。次に彩菜さんが取り組んだのは「また来たい」と思ってもらえるお店づくり。インスタグラムを開設し、パンの写真だけでなく、おばあちゃんと孫のほのぼのマンガを投稿し始めました。すると、昔ながらのパン屋さんとマンガという組み合わせが話題を呼び、県外から訪れるお客さんも増えていったのです。現在、信子さんはお店の“看板娘”としてお客さんをお出迎え。彩菜さんは得意なお菓子づくりと若い感性を生かし、パンのレパートリーを倍以上に増やして、新しい風を吹き込んでいます。