株式会社 十字屋(山口県)
文房具店に最後に行ったのは、いつですか?少子化やネット通販の普及で、全国の文房具店はこの30年で4分の1にまで減少しました。そんな逆風の中、山口県には全国から人が訪れる一軒の文房具店があります。広い店内には約4万点の商品が並び、文房具だけでなく、インテリアやブランドバッグまでそろう、まさに“文房具店の常識”を覆す空間。しかし、その成功の裏には、人口減少やコロナ禍、そして「文具を使わない時代」という大きな危機がありました。窮地に立たされた3代目社長を支えたのは、亡き母から受け継いだ、ある一つの言葉。その教えが、地方の文房具店を「わざわざ訪れたい店」へと変えていったのです。今回は、地域とのつながりを力に、人が集まる店づくりを実現した文具カンパニーのそ~だったのか!に迫ります。


1945年創業の文具カンパニー「十字屋」。少子化やネット通販の普及、大型雑貨店の台頭により、全国的に文具店が減少。さらに、カンパニーがある山口県では人口減少も進み、客足の低下は地方の文具店にとっては避けて通れない課題でした。そこで、カンパニーが目指したのが「わざわざ行きたくなる文具店」。特別な違和感のある店づくりを模索していた時、ふらりと立ち寄ったバーで転機が訪れます。カウンター越しに商品の魅力を伝えるマスターの姿を見て、インクのボトルをお酒に見立てた接客用の「BARカウンター」を設置。さらに、沖縄県で目にしたトイレを参考に海外輸出用の万年筆を展示するギャラリーもつくりました。子ども向けという従来の文具店のイメージを刷新し、大人がゆったりと商品を選べる空間づくりに力を入れたのです。


2021年、カンパニーは「クロスランド山口総本店」をオープンしました。しかし、コロナ禍でオンラインやペーパーレスが進み、文具を使わない暮らしが広がっていったのです。そんな苦境の中、今本社長が思い出したのは「お客さまの顔と商品をしっかり覚えなさい」という亡き母の言葉でした。「ここに来れば何でも揃う」と思ってもらえる店を目指して集めた商品は、実に4万点。その中には、たった1人のお客さんのために仕入れている商品もあるのです。さらに、コロナ禍で苦しむ地元企業と共に元気になろうと、「やまぐち愛着プロダクト」を設立。6社とタッグを組み、地元愛あふれるオリジナルグッズ「JiMOCCHA」を開発しました。山口県でしか買えない特別感もあり、評判は口コミで広がり、県外からもお客さんが訪れるなど、新たな人の流れを生み出しているのです。