株式会社 ベストオート(島根県)
島根・出雲市に、全国から人が集まるバイク店があります。並ぶのは最新モデルではなく、時代を走り抜けた“旧車”たち。一台が400万円でも、人が集まる人気店。しかし仕掛け人の三原さんには、20年続けた店を失った過去がありました。積み上げたすべてが崩れた絶望の中、救いの手を差し伸べたのは、意外な人物。そのご縁をきっかけに再起を決意し、常識破りの仕掛けで人を呼び込んでいきます。地方の小さな店は、なぜ全国から人が訪れる場所へと変わったのか。今回は、ご縁を力に新たな価値を生み出すカンパニーのそ~だったのか!に迫ります。


製造から長い年月が経ち、現行モデルにないデザインや構造を持つ「旧車」バイクを取り扱う「ベストオート」。店内には、1930~50年代に製造された国産初の大型バイクブランド「陸王」や、1970年代に発売され、当時の最先端技術が詰まった「カワサキZ750RS」など、国内でも滅多に出会えない名車が並びます。そんなカンパニーを率いるマネージャーの三原昇さん。前身の「三原商会」時代からバイク一筋で歩んできましたが、保証人になったことで約20年守り続けてきた店を廃業。しかし、そこで救ってくれたのは、かつてのお客さんでもあった地元企業の経営者。三原さんの確かな整備技術と、長年積み重ねてきた信頼があったからこそでした。こうして2007年、地元企業のグループ会社「ベストオート」として、再スタートを切ったのです。


「もう失敗は許されない」という覚悟で、旧車に特化したバイク店として再出発を決めた三原さん。その矢先に導入された「排出ガス規制」により、昔ながらの仕組みのバイクは新しく製造できなくなりました。しかし、それは「市場にあるものの希少価値が高まる」という、カンパニーにとっての追い風になったのです。一方で、業界全体が直面していたのが、バイク愛好家の高齢化。旧車マニアだけでなく、新たな顧客を呼び込むため、「ベストオート」の名前を広めることに。そこで、目を付けたのは、タイの三輪タクシー「トゥクトゥク」。イベントなどで登場させるとSNSで拡散され、地元を中心に知名度が高まり、売り上げも伸びていきました。さらに、地元の強みである「出雲大社」を生かし、全国のライダーを呼び込む“聖地化”を計画。ゲストハウスの設立やライダーの目的地となる「オートバイ神社」の誘致も実現させたのです。