子育てアドバイス

【よくある相談シリーズ】うちの子、整理整頓が苦手なんです…。


先日、「うちの子、もう小学生なのに、机の中もぐちゃぐちゃ。ランドセルもぐちゃぐちゃ。プリントも出せないんです。これってどうやったらなおるんですか?」とご相談を受けました。今回は、整理整頓が苦手で、片付けができなかったり、忘れ物の多い子どもたちをどう育てていくのか、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。


 


●「整理整頓が苦手な子」
 というレッテルをはがしてみよう。


「整理整頓が苦手」という言葉、分かりやすいようで、実は子どもの状況を分かりにくくさせてしまう表現なんです。毎回このコラムでは、ぺアレント・トレーニングの考え方をベースに、ご質問にお答えしています。ペアレント・トレーニングでは、子育ての悪循環をどう断ち切っていくのかを学び、実践していきますが、子育ての悪循環に陥っている時、私たち親は子どもを「○○な子」とレッテルを貼って見る特徴があります。先程の話に戻ると、「整理整頓が苦手な子」のレッテル、色眼鏡を通して子どもを見ている可能性があるのです。

では、子どもをどんな視点から観ていけば良いか。子どもの性格や特徴を見るのではなく、子どもの行動をよくよく観ていきます。これがレッテルをはがす(色眼鏡をとる)方法です! さぁ皆さん、ご自身のお子さんを思い出してみましょう。「うちの子、整理整頓が苦手だな」と皆さんが感じた時、お子さんはどんな行動をしていますか?

 


●整理整頓に必要な支援をしよう。

 

例えば、散らかった部屋でAくんは考えています。ママに言われたけど、「整理するって何だ?」って。「この前は『机の上をきれいにしなさい!』って言われたから、机の上の荷物をタンスの上に動かしたけど、『これで片付けたと思ってるの!』ってまた怒られたしなぁ」なぁんて思い出しているかも。この場合、Aくんは「整理整頓が苦手な困った子」ではなく、「どうやって片付けて良いのか分からず困っている子」なのです。Aくんが育つのに必要な支援(子育て)は、Aくんと一緒に、どこに何を置くのが良いか考えてあげることです。カゴやラベルシールを使ったり、もっと丁寧にするのであれば、整理して欲しい状態の写真を撮って、その場に貼るなどの視覚支援(見たら分かりやすいヒント)を試してみるのも1つの方法です。お子さんに合った、やりやすい方法を一緒に見つけてあげましょう。

次にBちゃんはどうでしょう。「整理するって何だ?」と立ち止まった途端に、Bちゃんは、漫画が目に入り、つい手にとって、読み始めてしまいました。Bちゃんは何にでも色々なことに興味関心を持ち、ついついやってみたくなってしまう、子どもらしいチャーミングなお子さんです。「考えたいけど考えられなくて困っている子」のBちゃんが育つのに必要な支援(子育て)は、考えられる環境を整えてあげることです。環境の中には、私たち周囲の大人や、その声かけも含まれます。散らかった部屋で、どう整理すれば良いか、集中して考えられるように、対話をしながら一緒に考えていきます。話している途中でも興味関心がうつってしまうこともあるかもしれませんが、なるべくおおらかな気持ちで対話を続けていきましょう。

以上、AくんとBちゃんの例を挙げて考えてみました。レッテル貼りをせず、子どもの行動を観ていくことで、どこを育てていけば良いのか、必要な支援(子育て)が見えてきました。でもね、これで支援が完成した訳ではありません! 子どもたちのできることを増やし、好ましい行動を定着させていくためには、肯定的声かけが一番のキモ!! 整理整頓が少しでもできるようになるには、ここが重要なポイントなのです。

 


●肯定的な声かけをお忘れなく。

ぐちゃぐちゃの部屋で「どうやったら片付くかなぁ?」と親子が話をしています。子どもが答えられなくても、考えている(若しくは黙っている)のを見て、すかさず「おぉ!一生懸命考えてくれとるんじゃね」と、考えただけでも(もしくは考えていなくても)肯定的声かけを伝えると「ここにカゴ置いたらどうかな」と子どもも考え始めていきます。「おっすごい!良い案だね。よしやってみよう!」と肯定的声かけをすることで、ますます整理することについて、子どものモチベーションがアップしていきます。

整理整頓についてのお悩みで多いのが、「片付けやすくなるように、カゴを準備してあげたのに、今ではまったく使わなくなりました」といった内容。ここで覚えておいていただきたいのは、用意したカゴは注意したり、叱ったりするためのカゴではなく、褒めるためのカゴだということ。だいたい最初はママたちも「おっ!ちゃんと使えているじゃない」など肯定的な声かけができていて、それに伴い子どもたちもきちんとカゴを活用できています。しばらくするとお互いに慣れていき、肯定的声かけをうっかり忘れ、できていない時に「また使ってないじゃない。ちゃんと使って」と声をかけてしまうようになっていく…。重要なのは、できていないことではなく、できたときに声をかけること! 「ママと一緒に考えたカゴを、上手に使ってくれてママも嬉しいよ」なんて声かけができるようになれば、あなたも肯定的声かけ上級者です。

この子どもたちに共通しているパターンとして、部屋が散らかっているので、忘れ物が多くなりがち。そんな中、もしあなたのお子さんが散らかった部屋なのに忘れ物が少なかったとしたら、それは記憶力が良い可能性が!! 「あの部屋できちんと忘れ物なく持って行けるあんたはすごい!!」 ここで間違えてはいけないのが嫌味ではなく、ユーモアを効かせること。レッテルの奥に隠れていた好ましい行動も拾って伸ばしていきましょう! 整理しやすい部屋になると、忘れ物も減っていきます。忘れ物については、また機会があればお伝えしたいと思います。



 


●苦手をカバーする術(すべ)を身につけよう。

 

私たち大人はこれまで、いつの間にか、自分自身で工夫して、自分の特技や長所で、自分の不得意や短所をカバーする方法を身に付けて来ています。

私の家では、お客さんが来ると「いつも土居さんちは片付いていてすごいねぇ」とよく言われます。私が整理整頓が得意だから? ではありません。苦手なので、隠す術を身に付けました。開かずの押し入れがあったり、2階のプライベートスペースは大変なことになっていますが、お客さんに見える範囲はいつも片付けるようにしています。

子育てで重要なのは、いずれ私たちの手を離れ、社会に出て生活する前に、子どもたちの苦手を「なおす」ことではなく、たくさんの良いところを見つけて、苦手をどうカバーするか「その術(すべ)や工夫を身に付ける」ヒントを一緒に見つけていくことです!!

「なおそう」と思うと焦りが出ます!! 焦ると、親も子も息苦しくなっていきます。それよりも、「どんな術(すべ)を身に付けると良いかな」「どんな工夫ができるかな」と考えていくと、子どもの良いところ(好ましい行動)や、できるようになったことが目に入る(観える)ようになり、親も子も楽に生活できるようになっていきます。楽にのびのび生活できるようになれば、子どもが一人で考えて動けるようになっていき、結果として力の発揮できる子に育っていきます。

最後に、今回のお題「整理整頓」でも、それ以外の事柄でも、ママご自身のできていること、これまで身に付けた術(すべ)をなるべくたくさん、日々の生活の中で見つけて、お子さんにも教えてあげてみて下さい! それから、できていることなどが見つかった時には、ママご自身を「私、頑張って来たんだな」「私、なかなかやるじゃない」と褒めて(肯定して)あげることもお忘れなく!! 焦らずのんびり楽しんで。


 
土居和子 広島県教育委員会 スクールカウンセラー
広島県乳幼児教育支援センター 
保育ソーシャルワーカー
東広島市教育委員会 
スクールソーシャルワーカー
広島文化学園短期大学保育学科 非常勤講師
三原看護専門学校 非常勤講師
その他 
ペアレントトレーニング、NPプログラム、
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ティーチャーズトレーニング、
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