三原市、官民連携とAI活用をテーマにシンポジウム スタートアップとの協働で課題解決を加速

11/26(水) 17:00

11月21日、三原市で、同市のイノベーション推進とAI活用をテーマにしたシンポジウムが開催された。登壇したのは岡田吉弘市長、イノベーションコーディネーターの吉田知広氏、AIコーディネーターの今林広樹氏の3名と全国・首都圏から集まったのスタートアップ企業や大手企業の新規事業担当者たち。会場は満員・盛況で、シンポジウムでは市の地域課題の解決に挑む取り組みや、AI導入による働き方改革が語られた。
吉田氏は自身が持つ約700~800社のネットワークを活用し、これまで約30社を「イノベーションツアー」として三原市に招いた。担当課に加え市長や商工会議所のトップの前で1社40分の提案を直接行える手厚いスタイルは、他地域にはない取り組みとして成果を上げている。

岡田市長は、市長就任当初から「三原市内で新しいチャレンジが生まれる環境をつくりたい」との想いを持ち、外部企業の知見を行政に取り入れる取り組みを推進してきた。この岡田市長の想いをつないだ吉田氏が、三原市へイノベーションツアーとして企業を招聘。これがきっかけで共創した取組につながっており、この一部企業がシンポジウムで事例紹介を行った。登壇企業による事例紹介のほか、スタートアップ企業等との連携による具体的な実証例として紹介された消防VR訓練については「指示系統や連携を確認するコミュニケーション訓練として有意義」と評価。古紙回収ボックスのMEO対策についても、市民の利便性を確実に高める取り組みとして言及した。

一方で、AIを取り入れた市役所改革も進む。AIコーディネーターの今林広樹氏は、AIを「業務効率化の道具」ではなく、人間の知恵を引き出すための存在として位置づける。三原市職員は研修の場で高度な質問を投げかけ、自身の業務にどう応用できるかを積極的に考える姿勢を見せたという。今林氏は「三原市は意思決定のスピードが全国でもトップクラス」と評価し、そのポテンシャルを高く見ている。今林氏の取組も、岡田市長の想いをつないだもの。
 岡田市長は、AIを「極めて強力な秘密兵器」と表現し、「本当に使いこなしている職員は『AIで作った』とわざわざ言わなくなる。それほど自然に使える状態を目指したい」と期待を込める。市長自身が東京へPRに出向くなど、イノベーションを呼び込むトップセールスにも積極的だ。
 三原市は、分野を問わず外部からの提案を歓迎しており、課題のある場所にこそ新しいソリューションが集まると考える。市長は「三原から新しい価値が次々と生まれるようにしたい」と語り、官民連携の取り組みが、まちの未来を形づくる大きな推進力になりつつある。