「1番若い被爆者として」記憶の継承に向け 胎内被爆者が被爆の実相を学ぶ 複雑な心境を抱く人も 広島

5/27(火) 19:00

母親のお腹の中で被爆した「胎内被爆者」たちが、被爆の実相について学び、多くの人へ発信することに役立てようと、広島市内でフィールドワークを行いました。
フィールドワークに参加したのは、胎内被爆者で作られる会のメンバー9人です。

【原爆胎内被爆者全国連絡会 三村正弘事務局長】
「1番若い被爆者ですから、被爆者としてやらなければならない活動をやっていきたい」

この活動は被爆の実相を学び、発信力を高めようと開かれたもので、27日は広島市西区の草津地区を訪問しました。

草津地区は爆心地から5キロほど離れていますが、被爆した寺や神社などが数多く残っている地域で、被爆後は市内中心部から多くの負傷者が避難してきた場所でもあります。

このうち、浄土真宗の寺「教専寺」の厚さ2センチの壁には、爆風により壊された跡が残っています。メンバーたちは爪痕が残る姿を肌で感じとっていました。

【胎内被爆者 二川一彦さん】
「今からどういう風に伝えていけばいいのか、手探りながら一歩一歩勉強していると思います。原爆のむごさ・ひどさを胸に刻んでおきたい」

この会では今後も定期的にフィールドワークを行い、被爆の実相を伝えていきたいとしています。
取材した山北陸斗記者によりますと、胎内被爆者の会は2014年に結成され、これまでに家族の被爆体験をまとめた本を出版するといった活動を行っています。

胎内被爆者も”被爆者”として位置づけられ、後世に記憶を繋ごうと奮闘していますが、直接、被爆体験をしていないため、公の場で証言をする依頼は少ないといいます。

ある胎内被爆者は「置き去りにされていないか」と複雑な心境を抱いていて、最年少の被爆者たちの思いも受け止められる、そうした制度づくりも課題となっています。