運転手不足に悩むバス会社 攻めの姿勢で人材確保 「広島バス」地道な見学会実施で採用倍増

5/27(火) 18:58

運転手不足に悩まされ試行錯誤を続けてきたバス事業者。
深刻な問題の解消に向けた地道な活動を「ツイセキ」します。

【辰已麗キャスター】
「街中を走る路線バスなんですけれども、前側には『運転者急募』の幕がこちらにも、そしてこちらにもほとんどすべての車両に掲げられているということで、こういった部分からも深刻さが伝わってきます」

「赤バス」の愛称で親しまれている「広島バス」が毎月開いている「見学会」。

【広島バス 安全教育課・大西偉夫課長】
「1人でもバスの運転者の魅力を感じて参加してもらえればと思っています」
(どういう人が多い印象ですか?)
「だいたい転職の人ですかね」
(全く違う業種の人もいる?)
「ほとんどそんな人ですね」

人員確保に向けて運転手の仕事に興味を持ってもらおうと、広島バスが2022年11月から始めました。
まず仕事内容の紹介からです。

【広島バス担当者】
「『ありがとうございます』と笑顔で言っていただけると運転者のほうも気分は高まりますし、お客様に対しても優しく笑顔で対応できる」

27日、参加したのはバスの運転経験がない2人。
参加理由を聞いてみました。

【参加者は】
「日ごろから車を運転しているときに思っていてバスの運転手ってちょっといいかな。大型(二種免許)は持ち合わせていないのでこれから検討して(支援制度で)免許もとれるみたいなので」

実際の運転席に座り車体の大きさを肌で感じ取っていました。
見学会を毎月開き続ける背景には、減便をしてもなお続く危機的な人員不足がありました。
運転手の時間外労働の上限が規制されたいわゆる「2024年問題」の影響で、県内のバス事業者も人手不足による減便が相次ぎました。
広島バスも減便を余儀なくされましたが、「見学会」のほかに運転手の初任給を3万4500円引き上げたほか、平均2万3700円のベースアップを実施しました。

【辰已麗キャスター】
「ありがとうございます。よろしくお願いします」

【去年3月入社・室原健一さん】
「よろしくお願いします」

こうした状況の中で去年3月、広島バスに入社したのが室原健一さん。
高速バスの運転手から転身しました。
決め手となったのは新たな待遇面でした。

【広島バス・室原健一さん】
「転職してよかったと思います。(乗客が)ありがとうと言ってもらって降りていくのがよかったですね」

今では路線バス以外に空港のリムジンバスなどでも幅広く活躍しています。
乗客から直接感謝されることに働きがいを感じているといいます。
苦しい状況でも攻めの一手を打ち続けることで、広島バスでは昨年度、正社員の運転手の採用が前の年度に比べ倍以上に増加。
少しずつ状況が上向いてきていると言います。

【広島バス安全教育課・大西偉夫課長】
(実感としてもわかる?)
「そうですね。ここ最近では感じる部分もありますけど、まだまだ不足はありますので、もうちょっと継続してやっていきたいなと」

《スタジオ》

【辰已麗キャスター】
バス運転手の人手不足が叫ばれていますが、県内のバス運転手の年齢構成も課題なんです。
県バス協会によると40歳以下の運転手の割合は全体の1割ほどにとどまります。
56歳以上がおよそ半分を占めていて、将来を見据えたとき県内のバス運転手は若い世代の定着が求められています。

きょうの参加者で「数年後をめどに運転手として働いてみたい」という声もありましたが、バス会社からは技術を習得する上でより早い時期に運転手に転身をするほうがオススメということでした。