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2021年10月14日(木)
【よくある相談シリーズ】うちの子、友達ができないみたいです…。

「友達ができないみたい」という状況にはいろいろな場合が考えられます。友達と一緒に勉強したり遊んだりするなど、対面で共に行動することがない場合もあるでしょう。帰宅後には近所の子どもと交流することはないが、学校では仲の良い友達がいたり、クラスの子どもたちと一緒に活動したりしている場合もあるでしょう。一方では、友達との交流がないように見えても実際にはオンラインでつながっていることも考えられます。ラインでのゲームなどウェブ上での交流には、現実にそれなりの問題も起こっていますし、本題とは別の心配ごとが生じるように思います。ここではオンラインでのつながりもなく、学校でも自宅近所でも友達との交流がみられない場合を想定して話を進めたいと思います。

 


●介入しすぎていませんか?

おうちの人が子どもの一挙手一投足に干渉しすぎて、子どもの主体的な活動が拘束されていることはないでしょうか。もちろん子どもの興味・関心や活動に無関心でいることが良いわけではありません。が、子どもが何らかの興味・関心をもって友達とそれを共有しようとすることがあると思います。近所の公園でいっしょに遊びたいとか、友達の家に行ってみたいとか、自宅に友達を呼びたいとか、友達との交流に目が向くことがあるのではないでしょうか。友達と関わろうとするのは自立の証だと思います。そのような時、おうちの人から細々と注意されたり、規制されたりすると、子どもは一歩踏み出せなくなるでしょう。自分の意志で何かに踏み出そうとするとき、「勉強しなさい」「○○さんと遊ぶのは…」などと、主体的な活動意欲を頭ごなしに妨げられれば素直な子どもほど怖気づいてしまいます。おうちの人が心配されることは解りますが、友達と何かをしようとする時にブレーキをかけすぎると、友達と関わり合うことの価値観を歪めてしまうことにもなりかねないように思います。友達の話題が出れば前向きにそれを認め、交流を後押ししてあげることが大事なのではないでしょうか。

特に、小学校中学年から高学年にかけて、友達ができたり、付き合い方が変わったりする時期ではないかと思います。幼児期や小学校低学年までのような、自己中心的な他者との関わり方から、相手の気持ちや立場に配慮したり、自他の言動を気にしたりするなど、社会性のある人間関係へと意識が高まってきます。私は小学校に勤務していた頃、学級担任や教科担当で1学年から6学年まで6年間継続して同じ子どもたちと関わったことがあります。入学から卒業まで一緒に学校生活を過ごす中で、子どもたちに最も大きな変化を感じたのは3学年後半から4学年の頃でした。体の成長とともに、精神的な面での著しい変化がみられ、1学年・2学年のころの「幼児に近い子ども」から、ものの見方・考え方や言動が「大人びた子ども」へと確かな成長を実感させられました。第2次成長期に入るころですが、身体の成長とともに社会性が身についてきて、友達との関わり方も大人のそれに近づいていったように思います。もちろん子どもたち個々に違いはありますが、小学校中学年・高学年の時期を境に、自分を見つめ周囲の友達を見極めながら関わり合い方にも自分らしいものができてくるのではないかと思います。

そのような時期の子どもに対して、何かにつけて介入しすぎることに気を付けながら、友達との関係づくりにおうちの人が良き理解者になり、助言者になることが大事なのではないかと思います。自立しようとする子どもを信じて見守り、友達との交流を後押ししてあげたいものです。

 


●友達と交流する機会が失われているのでは…
 

スポーツ庁は毎年、全国の小学校5年生・中学校2年生の全員を対象に「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」を実施しています。ご存じと思いますが、学校で毎年1学期に体力・運動能力テストが実施されます。体力・運動能力テストとともに、運動習慣・生活習慣についてアンケート形式の調査が実施されています。そのデータがスポーツ庁で集計され、例年12月に調査結果の概要が公表されます。2020年度は新型コロナウィルス感染症対策のために調査が中止になりましたので、最新のものとしては、2019年度の調査結果が2019年12月に報告されています。小学校5年生の調査結果の一部を見てみましょう。

「体育の授業を除く1週間の総運動時間」を調査した結果、60分未満の子どもは、男子7.6%、女子13%でした。世界保健機構(WHO)は健康づくりのために「子どもや未成年者(5~17歳)は1日当たり60分の中~高強度の身体活動を毎日行うこと」を推奨しています。ところが、調査結果では一部の子どもたちに運動不足が認められ、健康づくりに影を落としているように思われます。運動しない子どもの体力・運動能力が低いことも明らかになっていますが、ここでは全国の小学校5年生の1割前後の子どもたちが1週間に60分も運動しないという実態に着目したいと思います。1日に10分も運動していないということは、友達と一緒に運動する機会もほとんどないということです。男子の1割強(11.1%)女子の1割弱(8.1%)が肥満であることも気がかりですが、運動不足の子どもたちは日常的にどのように過ごしているのでしょうか。

「テレビ、DVD、ゲーム機、スマートホン、パソコン等の映像の視聴時間」を見ると、小学校5年男子の15.4%、女子の9.2%が「5時間以上」と答えています。子どもたちの半数弱(男子44.4%、女子44.5%)は1~3時間の視聴ですが、特に男子の15%が5時間以上ということです。男子はゲーム機に向かう時間が多いのではないかと予測されますが、いずれにしても映像の視聴に多くの時間が費やされている現状がうかがえます。このデータから気になるのは、運動不足の問題だけではありません。ゲーム機での遊びをはじめ映像の長い視聴時間によって、友達と対面で関わり合う機会が奪われていることが容易に予測されます。オンラインにより友達と交流していることもあるかもしれませんが、対面で友達と関わり合っているとは考えにくい実態です。友達と同じ空間を共有しながら遊ぶことの楽しさを体験することができません。ここにも友達ができにくい要因があるのではないでしょうか。

現在はコロナ禍によって、このような傾向が一層拡大しているのではないか懸念されます。現状では友達と話すことさえ規制されていますが、通常の生活に戻った後は、対面で友達と関わり合う機会を拡大するうえでもゲーム機などの活用の仕方を工夫し、映像の視聴時間の削減を考えることが必要ではないでしょうか。
(調査結果は全て、スポーツ庁「令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果の概要について」令和元年12月23日によるものです。)

 


●学校で友達との交流を学んでいます

 

ご存じのとおり、学校では各教科の学習をはじめ道徳、外国語活動、総合的な学習、行事や学級会活動などの特別活動の授業で多くのことを学びます。各分野の授業で様々な資質・能力を培っています。その中心になる各教科の授業も知識・技能を身に付けるだけではありません。各教科の内容を学ぶことと同時に、クラスのみんなとの関わり合い方を身に付けることも目指しています。それは、社会人として必要な「ものの見方・考え方」や道徳的価値規範、人間関係の大事さや在り方を学び、コミュニケ―ション能力を養うことも大事な教育内容だからです。

国語の学習では、読むことや書くことと同時に、自分の考えを話したり、先生や友達の言うことを聞き取ったりする力を養います。その学習を深めていくためには独り勉強と同時にクラスの友達の考えを聞いたり、自分の考えたことを友達に伝えたりすることが求められます。どの教科の学習も同様に、クラスの友達との関わり合いによって学習が進み、深まっていきます。他者と関わり合うことや、自分の考えたことを相手に伝えたり、他者が言うことをしっかり聞いたりすることは、友達をつくるうえでも不可欠です。いま学校教育では、これまでの指導で不足していたといわれている表現力の育成が重要課題の一つに挙げられています。「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」を身に付けることとともに「学びに向かう力、人間性等」を培うことをねらいとし、それぞれの授業で子どもたち一人一人の「主体的・対話的で深い学び」を目指しています。

体育の学習ではいろいろな運動を楽しむとともに、運動ができるようになっていくことを目指しています。本来、子どもたちは運動をすることが好きで、できるようになりたいと思っていますので、それを実現させてやることが体育科の目標の一つです。そして、健康の増進や体力の向上を図っています。運動を楽しみ、できるようになっていくためには、行い方を知ったり、工夫したりするとともに、仲間との関わり方を身に付けていくことが重要です。ボールゲームやリレーのように仲間とどのように関わるかが運動そのもののできばえにつながるものもあります。縄跳びや跳び箱運動のように一人で行うことができる運動もありますが、その場合も、競争したり、友達の行い方に学んだり、技能のポイントを一緒に考え合ったり、練習の仕方を工夫し合ったりすることで学習を深めていくことができます。ですからどのような運動でも子どもたち相互の関わり合いが学習の基盤となり、より良い関わり合いを育成しながら授業が進められています。

先に取り上げた「体力・運動能力調査、運動習慣等調査」の結果を見ると、体育が楽しいと思えるのは、いろいろな運動ができるようになったときや、うまくなったとき、そして友達と一緒に交流できたときです。「運動やスポーツが好き」という子どもほど「授業での助け合い、役割を果たす活動」をよく行っているという結果もみられます。「できなかったことができるようになった」きっかけやその理由は、1番に「友達に教えてもらった」、次に「先生や友達の真似をしてみた」です。「授業中に先生に個別にコツやポイントを教えてもらった」ことより、友達との関わり合いによる成果が大きいのです。

これらの調査結果からも子どもたち相互の交流が学びに如何に大きな影響を及ぼすかがうかがい知れます。これは体育科の学習に限ったことではありません。各授業で学ぶことが「わかる」ようになったり、「できる」ようになったりすることが楽しい要因となり、勉強が好きになると期待されます。「わかる・できる」ようになる背景には友達との関わり合いが大きな影響を及ぼしているのです。従って、学校では、子どもたち相互のより良い関わり合いを引き出し、一人一人の学習を深めていく取り組みが進められています。子どもたち相互の関わり合いが学習を深めていくことになりますし、共に学び合っていくことで必然的に友達関係もできてきます。

学校生活も授業も「友達と共に」が基本ですから、それぞれの活動にしっかりと取り組むことが、友達をつくっていくことにもつながるのではないでしょうか。学校では知識を習得するだけでなく、他者との関わり合いなども含めて多様な学びが進められていますから、おうちの人は広い視野で子どもの小さな変化をほめたり、励ましたりしてあげることが大事だと思います。

 


子ども一人一人の生活環境にも発達の状況にも特徴があり違いがあります。そのことを踏まえながら、これまでお話したことの中で参考になることがあれば受け止めていただきたいと思います。ありがとうございました。
(この原稿は本年1月に執筆したものです。)


 

徳永隆治(とくなが りゅうじ)

安田女子大学 教育学部 児童教育学科 教授児童教育学科長

●日本体育大学卒業、広島大学大学院学校教育研究科(前期)修了 修士(教育学)
●広島県立竹原高等学校教諭、広島大学附属小学校文部教官教諭、安田女子短期大学助教授、安田女子大学助教授を経て平成15年4月より現職、平成22年4月より児童教育学科長兼職。 
●専門は体育科教育、教師教育。『新版 初等体育科教育の研究』平成22年3月 学術図書出版、『体育授業を学び続ける~教師の成長物語』平成28年4月創文企画ほかを編著。論文・雑誌執筆等多数。文部科学省 学習指導要領等の改善に係る検討に必要な専門的作業等協力者 「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説体育編」、 文部科学省『学校体育実技指導資料第7集「体つくり運動」改訂版』(平成24年7月)改訂協力者、平成11年度~平成24年度文部科学省・教員研修センター主催「子どもの体力向上指導者養成研修」の講師、広島県内外各地での体育研修会や小学校・幼稚園での体育科授業研究会・実技講習会の講師、広島市教育委員会「子どもの体力向上支援委員会」委員長などを歴任。現在、「広島市乳幼児教育保育推進体制に関する懇談会」委員、広島県・広島市小学校教育研究会体育科部会スーパーバイザー。
●日本体育学会・日本スポーツ教育学会・日本発育発達学会・子どものからだと心連絡会議会員、全国小学校体育研究連盟副会長

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