2025年7月16日(水)
【素朴な疑問シリーズ】子どもを守る「夏の虫刺され&感染症」対策

夏の外遊び、キャンプ、水辺のレジャー…。子どもにとって楽しいイベントが盛りだくさんの季節ですが、一方で忘れてはならないのが「虫刺され」と、それに伴う感染症のリスクです。特に7月から8月は、蚊やマダニなどの活動が本格化する時期。単なるかゆみだけではなく、感染症を媒介する虫への備えが必要です。家庭でできる予防と対処法を、改めて見直してみませんか?

虫が媒介する感染症とは?

厚生労働省によると、国内では蚊を媒介する「日本脳炎」、マダニによる「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」などの発症が毎年確認されています。こうした感染症は、重症化する場合もあり、特に体の小さな子どもは注意が必要です。
さらに、かゆみや炎症を放置すると「とびひ」などの二次感染につながるケースも。子どもがついかきむしってしまい、患部が悪化することも少なくありません。

虫刺されから守る!家庭でできる3つの対策

① 服装の工夫で「刺されにくい」環境づくり
肌の露出が多いと、それだけ刺されるリスクも高まります。なるべく長袖・長ズボンを着せること、そして淡い色の服を選ぶのがポイントです。黒や紺などの濃い色は虫を引き寄せやすいとされています。草むらや水辺では、くるぶし・手首なども覆える服装を心がけましょう。
② 虫よけ剤を正しく使おう
子どもには、低刺激の虫よけ剤を選ぶのが安心です。特に注目されているのが虫よけ剤に使用される「イカリジン」という成分。肌への刺激が少なく、乳幼児にも使用しやすいとされています。商品によって使用年齢や使用回数が異なるため、必ずラベルを見て確認しましょう。外出前に腕や足、首まわりにまんべんなく塗布し、汗をかいた後や水遊びの後にはこまめな塗り直しを忘れずに。
③ 身のまわりの環境を整える
虫刺されは、家の中でも起こります。特に夕方~夜間に活動する「蚊」への対策として、網戸の点検・窓の開けっ放しの防止が大切です。また、植木鉢の受け皿・たまり水・庭の草むらなど、虫が発生しやすい場所を定期的にチェック・清掃することで、発生源を減らせます。ベランダや玄関先に防虫スプレーをまく、ハーブを植えるといった工夫も効果的です。

刺されてしまったら正しいケアを

もし虫に刺された場合は、早めの処置が大切です。まずは流水で患部を冷やしながら洗浄し、抗炎症薬などを塗布しましょう。子どもがかきむしると傷が悪化し、そこから細菌が入ることで「とびひ」などの皮膚感染症を引き起こす場合があります。
特に注意が必要なのは、以下のような場合です。これらの症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
・腫れがどんどん広がる
・発熱や倦怠感など全身症状がある
・刺された場所が赤黒く硬くなる、血がにじむ

子どもと一緒に学ぶ「虫から身を守る力」

虫刺され対策は、「親が守る」だけでなく、子ども自身が予防の意識を持つことも大切です。「虫が多いところでは帽子をかぶろう」「帰ったら手を洗って虫よけを塗り直そう」といった行動の習慣化は、感染症予防だけでなく、自分の体を大切にする気持ちにもつながります。
刺されたらかゆいだけ。そんなイメージを変えて、子どもたちを守る「予防」と「ケア」を、今年の夏から取り入れてみませんか?外で思いきり遊び、自然に触れ、心も体も大きく育つ季節。だからこそ、“かゆくなる前に守る”視点で、虫さされ対策をしっかり行いましょう。

出典
厚生労働省「蚊媒介感染症」
厚生労働省「夏を安全に楽しもう! 感染症対策ガイド」
厚労省「蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5.1版)」