2025年7月14日(月)
水辺のレジャーを安全に楽しむために!海や川で命を守る基本対策と心得

夏は海や川でのレジャーが楽しい季節。でも、その楽しさの裏には、毎年多くの水の事故が潜んでいます。自然を甘く見ると、取り返しのつかない事態にもなりかねません。今回は、家族と水辺の時間を安全に楽しむために必要な心構えと具体的な対策を紹介します。大人も子どもも、しっかりと命を守る準備を整えてから、夏の思い出をつくりに出かけましょう。

毎年多くの命が水辺で失われている現実

水の事故は、決して珍しいものではありません。2024年には全国で1753人が水難事故に巻き込まれ、816人が死亡または行方不明となっています。つまり、発生した事故のおよそ半数が命に関わる重大事故となっているのです。
場所別に見ると、「海」での事故がもっとも多く、全体の約45%を占めています。次いで「河川」(35%)、「用水路」(12%)、「湖沼池」(約5%)と続きます。特に注意したいのが子どもの事故。中学生以下の死者・行方不明者の6割以上が河川での事故というデータが出ています。水辺のレジャーは油断をすれば、ほんの一瞬で悲劇に変わりかねないということを、まず心に留めておきましょう。

覚えておきたい!水の事故を防ぐ7つの基本ポイント

水の事故を未然に防ぐには、基本をしっかり押さえることが大切です。以下の7つは、大人も子どもも守るべき「命を守る習慣」です。
①立入禁止区域には近づかない
見た目では危険がわかりにくいのが自然の怖さ。「立入禁止」や「遊泳禁止」の表示は、安全を守るためのサインです。
②体調が万全でないときは水に入らない
少しの体調不良が、大事故につながることも。無理は禁物です。
③単独行動を避ける
事故に遭ったとき、一人だと発見が遅れます。行き先や帰る時間は必ず誰かに伝えておきましょう。
④ 子どもから絶対に目を離さない
どんなに泳ぎが得意でも、子どもは突発的な事故に弱い存在。体に合ったライフジャケットを着用し、常にそばにいるようにしましょう。
⑤お酒を飲んだら水には入らない
飲酒による判断力の低下は、自分自身だけでなく周囲の人にも危険を及ぼします。
⑥ライフジャケットを正しく着用する
ライフジャケットは命を守る最も有効な手段の一つ。サイズや着用方法に注意し、定期的な点検も忘れずに。
⑦連絡手段を確保する
防水ケースに入れた携帯電話を常備し、いざという時は「110番」「119番」、海での事故は「118番」へ。スマートフォンを使った映像通報「Live118」などの新サービスも活用しましょう。

海での事故を防ぐには環境と天候を見極めよう

日本は四方を海に囲まれ、海水浴や釣り、サーフィンなどのマリンレジャーが身近に楽しめます。しかし海には独特の危険もあります。まず、安全な海水浴場を選びましょう。ライフセーバーが常駐している場所なら、万一のときも安心です。遊泳禁止や立入禁止の場所には必ず従い、近づかないようにしてください。
天候の変化にも注意が必要です。波が高く荒れている日は泳ぐのを控え、事前に天気予報を確認して安全を最優先にしましょう。
また、クラゲやエイなどに刺されたりかまれたりすることもあります。刺された場合はすぐに海から上がり、患部を冷やして応急処置を行い、症状が続くときは医療機関を受診してください。自然の海を楽しむには、しっかり準備し、慎重に行動することが大切です。
自然の海を相手にする以上、十分な備えと慎重な行動が、安全なレジャーにつながります。

川遊びの落とし穴!見えない危険を知ることが鍵

川の流れや深さは場所によって大きく異なり、見た目では判断できない危険が潜んでいます。遊ぶ前にはその川の地形や掲示板の情報を確認し、安全な場所を選びましょう。
川で特に怖いのが、上流での雨による急な増水です。晴れていても、上流の天候には注意が必要。黒い雲や雷の音、流れてくる落ち葉やゴミ、水温の急な変化などがあれば、すぐに川から離れてください。
中州での遊びも危険です。増水すると一気に水に囲まれ、逃げ場がなくなる恐れがあります。草の生えていない河原は増水の証拠なので、そうした場所では特に警戒しましょう。
川遊びは身近で手軽に楽しめる反面、自然の変化に左右されやすく、想像以上のリスクが潜んでいます。「安全そうに見える場所ほど慎重に」。それが川でのレジャーの基本姿勢です。

レジャー別に知っておきたい安全ポイント

水辺のレジャーは、楽しみ方によって気をつけるべきポイントが異なります。それぞれのシーンに合った安全対策を押さえておきましょう。
もっとも身近な遊泳では、岸から沖に向かって流れる「離岸流」が要注意。流れに逆らわず、海岸と平行に泳いで脱出を図るのが基本です。泳ぎに自信がなければ無理せず、浮いて救助を待つ判断も必要です。
釣りは磯場や岩場で行うことも多く、足元が不安定になりがち。滑りにくい履物を履き、ライフジャケットを着用しましょう。立入禁止の場所には近づかないことも鉄則です。
サーフィンをするなら、自分の体力や技量を見極めることが何よりも大切。沖に出すぎたり無理な行動を避け、周囲の人との距離にも気を配りましょう。ウェットスーツの着用や単独行動の回避も有効です。
モーターボートや水上オートバイなどのプレジャーボートを使う場合は、事前の点検と装備の確認が命を守るカギ。大人も子どもも全員がライフジャケットを着用し、気象情報を確認のうえ、安全運転と周囲への配慮を忘れずに行動しましょう。

水辺で安心して楽しむために

水辺のレジャーには、自然ならではの魅力があります。その一方で、思いがけない事故につながるリスクも存在します。ほんの少しの油断や「これくらい大丈夫」という気の緩みが、重大な事故を引き起こしかねません。だからこそ、事前の準備と心構えが何より大切です。場所の特性や天候、体調などをよく見極め、無理のない範囲で安全に行動すること。基本的なルールを守るだけでも、大きな事故の多くは防げます。
自然と向き合うときは、謙虚な気持ちを忘れずに。命を守る行動をとりながら、今年の夏も思い出に残る時間を過ごしましょう。

<出展>
政府広報オンライン:「水の事故を防ごう!海や川でレジャーを楽しむために知っておきたい安全対策」
経済産業省:「思いっきり夏を楽しむために!プロにきく マリンレジャーの心得」