子育てアドバイス

【よくある相談シリーズ】うちの子、絵が下手なんです…。


●うちの子の絵を見て・・・。

教室や廊下に掲示してある絵を見て、「うちの子の絵、もう少しどうにかならないのか」「〇〇君のように上手にかけないのか」と思ったことはありませんか。

「絵が上手」と聞いてイメージする絵、あるいは「絵が下手」と聞いてイメージする絵は、どんな絵でしょうか。「形がとれている(とれていない)」、「対象に似ている(似ていない)」、「上学年(下学年)の表現のようだ」といったイメージでしょうか。

では、形がとれ、対象に似ていて、上学年のような表現を見たら、どのような感想を持つでしょうか。心がどう動くでしょうか。

 


にこだわってしまう大人

造形表現は、作品という形で目に見えるという特徴を持っています。ここに大きな落とし穴があり、目に見える形の作品、結果としての作品のできばえに目が向いてしまうのです。その子が、かいたりつくったりする過程に目を向け、どのような思いで、どのような考えで表現したのか、子どもの声を聞いてみることが大切です。

 

●高学年の絵の時間数をご存じですか?

高学年の図画工作の時間数は、年間50時間です。これは週あたりでは1.4時間しかありません。小学校学習指導要領には、工作に表す時間数と絵や立体に表す時間数がおよそ等しくなるよう計画することが示されています。ここから計算すると絵に表す時間数は年間10数時間といったところでしょうか。高学年では年間、2枚か3枚ぐらいの絵しかかけないということになります。このような状況なので、小学校の先生は指導の工夫が必要となります。

作品のに目が向くあまり、マニュアル化された指導法なるものに頼る先生がいらっしゃいます。マニュアル化された指導法というのは、パターン化した絵のかき方(かく順番や色の着け方)があり、それに従ってかくとみんな上手な絵をかき上げるというものです。みんな同じような作品になるので、掲示するととても奇妙な印象を受けます。

先生の指導の工夫は、個々の子どもがどのような思いや考えをどのように表現したいのか、子どもの声を聞いてみることから始めるべきです。

 

●絵手紙の魅力
 

絵手紙は、静かなブームが続いています。絵手紙には「下手でいい、下手がいい」というコンセプトがあるそうです。「下手でいいんだよ」「いやいや、下手の方がいいんだよ」と読み取れます。これは、絵に対する苦手意識を持っている者にとって、安心して取り組めるものです。

絵手紙がなぜ魅力的なのか。それは、相手意識を持ち、心を込めてかくことにあると思います。心を込めることは表現する上で最も大切なことであり、これは美術に限らず音楽的な表現や身体表現など様々な表現にも共通するものです。そして、生活の中に絵手紙を取り入れることができれば、まさに生涯学習としての美術教育の具現化といえるでしょう。

 

●では、どんな絵がいいのでしょうか?

思いつくままに、箇条書きにすると・・・
 

 

●大人のかかわりが大切

例えば「わたしのおひさま」というテーマで絵をかくとしましょう。どのような絵をイメージしますか。ニコニコした顔のおひさまでしょうか。でも、それを奨励してしまわないように。子どもにとってのねらいは自分のおひさまをかくことです。私たち大人は「あなたの考えでよい」「あなたの考えたおひさまでよい」というかかわりが基本です。そして、「子どもに任せること」「子どもが楽しんでかくこと」「かくことは楽しいと思うこと」が大切です。

絵に対する苦手意識は先達の研究では、写実的傾向が芽生える9歳(小学校3年生)ぐらいから発生するといわれています。しかし、それは一般的な傾向で、幼児教育の現場にも、すでに苦手意識を持っている子どもは少なからずいるのです。コミュニケーション能力の育成や自己表現力の育成が重要視されている今日、子どもの絵にどう寄り添い、それをどう受け止め、どう共感するのか、私たち大人の関わりが大きく影響することを再考しなければなりません。


 
藤原逸樹 安田女子短期大学 教授
博士(教育学)
小学校教諭として広島市立小学校において約18年間勤務しました。その経験を生かし、美術教育の研究を継続しています。美術教育は、乳幼児から大人までの生涯教育であり、自らものをつくりだす楽しさやそれらをみることの楽しさを味わいながら、生活や社会の中で形や色などと豊かにかかわる能力を高めることを目指しています。粘土塑像を中心としたて彫刻制作、作品発表も継続しています。何日かけても、納得の行く形はなかなかつくりだせません。しかし、昨日までできなかったことが、ある日「これだ!」と心動くことがあります。新しい自分に会えたような感動があることも。
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