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2021年01月20日(水)
【よくある相談シリーズ】うちの子、言葉づかいが悪くて、困っています…。

今回は、子どもの言葉遣いの悪さにどう対応するかについて。子どもたちの成長や発達、それを受け取るこちら側の状態についてまで、整理しながら考えていきたいと思います。

 

●子どもの言葉遣い、許す?許さない?許せない!?

私のやっているペアレントトレーニングの講座では、子どもの観察方法を学び、対応方法を考えます。言葉遣いについて考えると、「~しろ!」など威圧的・攻撃的な言葉は「好ましくない行動」と分類できるかもしれません。でも「死ね」「うざい」などは相手の心を傷付ける行動になり「危険な行動」と言えます。

「好ましくない行動」については取り合わず、好ましい行動が出るのを待って褒めます。例えば、「お茶をつげや!」と子どもから言われたとします。「好ましくない行動」なので、ここでは取り合いません。その後、何度も「お茶注げや!」と言っても反応しないママに対して「ママ、お茶を注いで」と言い直しました。ここですかさず「そうだね。そう言われると、ついであげたくなったよ」と肯定します。

「危険な行動」については、しっかりと注意したり、叱ったりしましょう。例えば、「ばばぁ、死ね」と言われたら。「そんな言葉遣いを年上に向かってしてはいけません」ときっぱりと言い切ります。もしくは「そんなことを言われるとママは悲しい」と気持ちを伝えるのも良いですね。

許すか、許さないかのポイントは、「それを言われて周りの人が傷つくかどうか」と言えます。では、許せない場合は、どうでしょうか。ここはちょっと自分の心をモニタリングしてみましょう。「子どもの言うことだから」と大目に見ることができない、必要以上に心がざわついて、ひどい暴言を子どもに浴びせてしまった、こんな経験はありませんか? それはもしかしてこれまで過去、あなたの中で、癒されていない心の傷があるのかもしれません。

例えば、子どもから「うざい」と言われた場合。Aちゃんが最近よく使う言葉なのは知っていました。テレビを見ていても、学校のことを話していても、「うざい」とよく言っています。でもいざ自分に言われると、ムカッっと嫌な気持ちが湧いて来て、必要以上にAちゃんが泣くまで責めたてて叱ってしまいました。ママは何で自分がこんなに必要以上に反応してしまったんだろうと考えました。そして思い出しました。中学校の頃、同じクラスの友達から「お前はうざい」とバカにされ、学校に行きたくない時期があったことを。

これは、例えばの話ですが、私たちは、これまでの人生で傷ついた経験やしっかり整理できなかった気持ちや出来事を抱えていることがあります。そんな私たちに、子どもたちは、過去の心の傷をきちんと整理し向かい合うチャンスをくれるのです。たかが「子どもの言葉遣いの悩み」だけど、私たちにとって大きなチャンスになるのかもしれません。
 

●子どもが良い言葉遣いができるようになるには?
 

私たちはついつい、悪い言葉遣いの時にどう対応したら良いのかと対策を考えようとします。子どもの躾や成長には時間がかかります。何度も同じことを繰り返し伝えていくことで子どもたちを育てていくのが躾です。その場限りの1度や2度の指示では子どもたちはなかなか変われないのです。大切なのは、良い言葉遣いをした時に、しっかり褒める(肯定する)ことです。

学校から帰ったB君、何だかとても機嫌が悪そうで、お母さんに「お前、これ買ってこいや!」と言いました。お母さんは驚き、「親に向かって何を言ってるの!」と叱り飛ばしました。B君はそれでも引きさがりません。とうとうB君とお母さんは言い合いになってしまい、「もういい!」とB君は2階に上がっていきました。お母さんは怒りもありましたが、とても悲しくなった自分の気持ちに気がつきました。

次の日、B君は普段通り学校から帰って来ました。お母さんに「ママ、今度これ買っておいてね」と伝えました。お母さんは、本当は昨日どれだけ腹が立ったかを説教したくなりましたが、そこを堪えて「そんな風に優しくお話をしてくれるとお母さんは嬉しいよ。昨日のB君の言い方はママは悲しかったよ」と伝えました。するとB君は「ごめんなさい」と言えました。

その後、クラスに乱暴に命令してくる友達がいて、B君もたまに乱暴な言葉を言われていたことが分かりました。その後、B君が乱暴な言葉を使う度、お母さんは丁寧にB君に、嫌だった気持ちや悲しかった気持ちを伝えていきました。そんなある日、B君は乱暴に命令してくる友達に「そんな言い方はして欲しくない!」と言えたそうです。

ついつい私たちは、好ましくない言葉遣いを何とかしようと考えますが、好ましい言葉遣いが言える回数を増やすことで、好ましくない言葉遣いの回数を減らしていく。それが子どもたちの成長にも繋がる、遠回りに見えて、一番の近道な方法なのです。

さてさて、最後に、子どもの成長・発達についても整理しておきましょう。このコラムを読んでいただいているお母さんは、小学生の子育てをされている方ですね。小学生の低学年と高学年では、心の読み取りや想像力にも大きな違いがあります。低学年の場合、まだ「悪い言葉遣いで相手が傷つく」ことが感じ取れない子もたくさんいます。また、それが良くないことだと理解できていない子もいます。低学年の子どもたちには、具体的にやるべき行動を短く伝えることが大切です。「そんな時には、お友達に○○貸してと言ったら良いよ」とか「大人に向かって○○とは言いません」とか。中学年になると、相手の気持ち(自分以外の視点)で物事を考えることができるようになってきます。高学年であれば、その言葉遣いをされることで「お母さんがどんな風に感じるのか」を伝えてあげましょう。相手の気持ちを学べるチャンスです。もちろん、お互いに気持ちが落ち着いている時間に話してあげてくださいね。

 

●言葉遣いって、どこで学習しましたか?

私たちも国語や道徳の授業などで、敬語や他の人を敬う気持ちなどは学んできました。しかし、適材適所、違った態度をとらないといけない場面などで、言葉遣いに失敗した経験もありませんか? 子どもたちは何度も失敗を繰り返し、その都度、適切なやり方を教えてもらいながら成長していきます。また、子どもたちが日頃の生活で、一番参考にしているのは、周りにいる大人です。お父さんやお母さんが、年上のおじいちゃんやおばあちゃん、近所の人にどんな言葉遣いで、どんな態度で接しているのか、子どもたちはしっかりと観て学んでいます。

この前、ご近所さんから野菜をいただきました。その時、家には高校生の長男しかおらず、彼が玄関で対応してくれました。夜、お礼のメールをしたところ、長男が「いつも美味しくいただいています。ありがとうございます」と言っていたと教えてくれました。そんなことが言えるようになったのかとしみじみとメールを読みました。もちろん、普段の長男は、親から見て、そんな気の利いたことを言うようには思えない子です(笑)。ちゃんと親の姿を見ながら、私たちからは見えないところで、しっかり成長していたんだなぁと感動した出来事でした。

言葉遣いを含め、子育てはなかなか結果がすぐには見えません。ついつい心配になって焦ってしまいます。自分たちも子どもたちのお手本になりながら、子どもたちの力を信じて待つのも親のお役目。焦らずゆっくり楽しみましょう。

 

土居和子

広島県教育委員会 スクールカウンセラー
広島県乳幼児教育支援センター 
保育ソーシャルワーカー
東広島市教育委員会 
スクールソーシャルワーカー
修道大学 非常勤講師
三原看護専門学校 非常勤講師
その他 
ペアレントトレーニング、NPプログラム、
BPプログラムなどの保護者向け子育て講座
ティーチャーズトレーニング、
事例検討会などの保育士や幼稚園教諭向けの研修会
小中学校教員向けの研修会など

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