2025年5月21日(水)
【素朴な疑問シリーズ】「見えにくい…」と言われる前に!子どもの目を守る家庭ケア

スマートフォンやタブレットが身近な存在となった今、子どもの視力低下が大きな問題となっています。特に、小学生の近視が年々増えているのが現状です。成長期の目は非常にデリケート。放っておくと将来の視力に大きな影響を与える可能性もあります。今回は、視力低下の原因や具体的な予防策について、家庭でできるケアを交えて紹介します。

増える子どもの視力低下

文部科学省の調査によると、日本の子どもたちの裸眼視力1.0未満の割合は、この40年で大幅に増加しているそうです。もちろん、視力が1.0未満だからといって全員が近視というわけではありませんが、その8〜9割が近視であると報告されています。さらに、令和5年度の「児童生徒の近視実態調査事業」でも、多くの子どもが近視状態にあることが明らかになりました。しかし、「視力が悪くなってもメガネがあれば大丈夫」と思う保護者も少なくないでしょう。確かに、メガネで矯正すれば日常生活には支障が少ないかもしれません。しかし、近視が進むと将来的に目の病気のリスクが高まることがわかっています。特に、強度近視と呼ばれる重度の近視になると、網膜剥離や緑内障、黄斑変性症といった深刻な病気につながる可能性があります。

知っておきたい近視のこと

近視とは、目の中で光の焦点が網膜の手前に合うことで遠くがぼやけて見える状態です。特に小学生から中学生にかけては、目の成長が続く時期であり、眼軸(目の奥行き)が伸びやすい特徴があります。この眼軸が長くなるほど、近視が進行しやすくなります。小学校低学年で視力が低下し始めた場合、その後も悪化し続けるケースが多いため、早めの対策が重要です。

生活習慣がもたらす視力低下の原因

視力低下の原因には、主に次の3つが挙げられます。
・近くを見る時間が長すぎる
スマートフォンやタブレットを長時間使用は、多くの家庭でみられる悩みです。また、学校の宿題や読書の時間が長いと、どうしても近くを凝視する時間が増えてしまいます。特に、暗い場所で画面を凝視すると目が疲れ、ピント調整機能が低下し、近視が進む原因になります。
・外遊びの時間が足りない
外で遊ぶ時間が減り、屋内で過ごすことが多いと、日光を浴びる機会が少なくなります。実は、自然光は目の健康にとても重要で、特に屋外活動が1日2時間を下回ると近視のリスクが高まると言われています。オーストラリアの研究でも、屋外活動が少ない子どもは近視が進みやすいという結果が示されています。
・姿勢や環境の影響
勉強中に机に顔を近づけすぎたり、暗い部屋で長時間過ごしたりしていませんか?姿勢が悪いと、目に余計な負担がかかり、長時間の作業で視力が落ちやすくなります。特に、小学生は集中するとつい前のめりになることが多いので、周囲のサポートが欠かせません。

視力を守るために家庭でできること

日々の生活習慣を少し見直すだけで、目を守ることができます。無理のない範囲で、下記のような策を取り入れてみましょう。
・目を休ませる工夫
スマホや読書を続けるときは、20〜30分ごとに休憩を入れることが大切です。例えば、遠くの景色を眺める、窓の外を見て目をリフレッシュさせるなど、意識的に目の筋肉を休ませましょう。ブルーライトカットのメガネや画面の明るさを適切に調整することも効果的です。
・屋外活動を習慣化する
できるだけ外で遊ぶ時間を増やすことが大切です。1日2時間以上が望ましいとされていますが、難しい場合でも30分以上を目安に取り入れましょう。晴れの日だけでなく、曇りの日でも自然光は十分な効果があります。公園で遊ぶ、散歩するなど、日常に無理なく取り入れる方法を工夫してみてください。
・正しい姿勢を意識させる
読書や勉強をするときには、背筋を伸ばし、目と本の距離を30cm以上保つことを意識しましょう。机の高さや椅子の調整も忘れずに。部屋を適度に明るく保ち、スタンドライトを使う際も光が直接目に入らないよう工夫が必要です。

子どもの未来を考えて、視力チェックの習慣を

普段から、家庭で簡単にできる視力チェックを取り入れるのもひとつの策です。例えば、テレビ画面や遠くの看板など日常的に見慣れた場所が見えにくくなっていないかを確認したり、定期的に学校の健康診断の結果を振り返ることも有効です。少しでも異変を感じたら、眼科を受診しましょう。子どもの視力は、生活習慣に大きく影響を受けます。家庭でできる工夫を積み重ね、将来も健康な目を保てるようサポートが重要です。子どもたちが健康な視力を保てるよう、今日からできることを始めてみませんか?

出展
文部科学省「子どもたちの目を守るために知っておきたい近視の知識」
https://www.mext.go.jp/content/20240828-mxt_kenshoku-000037357_02.pdf