「県民の警察官」に鑑識のスペシャリスト「必ず犯人の”資料”をとるんだ」広島県警 上田邦洋警部補
12/19(金) 18:40
地域の安全と安心を守る警察官に贈る『県民の警察官』。その表彰式が19日、行われました。
今年の「県民の警察官」に選ばれたのは広島南警察署に勤務する上田邦洋警部補(58)です。
「県民の警察官」はテレビ新広島と産経新聞が地域の安心・安全を守るために尽力した警察官を毎年、表彰しているものです。
上田警部補は、長年に渡り数多くの現場に臨場し、的確な鑑識活動を行って事件解決に貢献したことが評価されました。
「県民の警察官」はテレビ新広島と産経新聞が地域の安心・安全を守るために尽力した警察官を毎年、表彰しているものです。
上田警部補は、長年に渡り数多くの現場に臨場し、的確な鑑識活動を行って事件解決に貢献したことが評価されました。
【広島南警察署・刑事第一課鑑識第一係上田邦洋警部補】
「先輩から伝授された技術、自身が培ってきた技術を後輩に伝えることで次代を担う後継者を育成するとともに私自身もあすの広島を担う鑑識活動に尽力していくつもりです」
「先輩から伝授された技術、自身が培ってきた技術を後輩に伝えることで次代を担う後継者を育成するとともに私自身もあすの広島を担う鑑識活動に尽力していくつもりです」
長きにわたる県民への功績を表彰する県民の警察官。
鑑識係員として事件解決に貢献してきた今回の受彰者、上田警部補に密着しました。
「ここ(包丁)を見たら人の手の脂のようなものがついているよね。もしかしたら指紋がでるかもしれんけえ」
ベテランの鑑識係員広島南警察署の上田邦洋警部補です。
【上田邦洋警部補】
「取り調べする刑事さんは相手と相対して相手から言葉を引き出すじゃないですか。僕らはもの言わぬ物から話を聞くというか」
鑑識係員として事件解決に貢献してきた今回の受彰者、上田警部補に密着しました。
「ここ(包丁)を見たら人の手の脂のようなものがついているよね。もしかしたら指紋がでるかもしれんけえ」
ベテランの鑑識係員広島南警察署の上田邦洋警部補です。
【上田邦洋警部補】
「取り調べする刑事さんは相手と相対して相手から言葉を引き出すじゃないですか。僕らはもの言わぬ物から話を聞くというか」
鑑識とは「資料」と呼ばれる指紋や足跡から事件解決の手がかりを見つけ出すため、専門的な知識や圧倒的な経験が求められるプロフェッショナルの集団です。
一方で、事件に迅速に対応するためは全ての警察官が最低限の知識を身に着ける必要があります。
習熟のための研修会が頻繁に開かれています。
【上田邦洋警部補】
「やっぱり時間が経つ間に壁に触れてしまったり、椅子に座ったり、犯人の資料の上に他の汚れがつく、もしくは犯人の資料が落ちてしまうことがあるので、できるだけ早期に採取できれば1番いいので、広くみんなにそういった技術を、できるようになってもらいたいなと思っています」
一方で、事件に迅速に対応するためは全ての警察官が最低限の知識を身に着ける必要があります。
習熟のための研修会が頻繁に開かれています。
【上田邦洋警部補】
「やっぱり時間が経つ間に壁に触れてしまったり、椅子に座ったり、犯人の資料の上に他の汚れがつく、もしくは犯人の資料が落ちてしまうことがあるので、できるだけ早期に採取できれば1番いいので、広くみんなにそういった技術を、できるようになってもらいたいなと思っています」
現場には指紋や足跡がいたるところに残されています。
そのすべてを採取すればいいというわけではありません。
被害者に寄り添い現場で起きたことを想像しながら鑑識資料を採取する重要性を伝えます。
【上田邦洋警部補】
「自分しか採る人はおらんのんじゃけん、ゆっくり聞いて。お尻触られたけん、写真とお尻から資料取ってくれって言われるかもしれんけど、ようよう聞いたらね、こう掴んで触られとるかもしれんし、通りすがりで触られとるかも。よう聞いて必ず犯人の資料を取るんだという気持ちで採取してもらえればいいかなと思います」
そのすべてを採取すればいいというわけではありません。
被害者に寄り添い現場で起きたことを想像しながら鑑識資料を採取する重要性を伝えます。
【上田邦洋警部補】
「自分しか採る人はおらんのんじゃけん、ゆっくり聞いて。お尻触られたけん、写真とお尻から資料取ってくれって言われるかもしれんけど、ようよう聞いたらね、こう掴んで触られとるかもしれんし、通りすがりで触られとるかも。よう聞いて必ず犯人の資料を取るんだという気持ちで採取してもらえればいいかなと思います」
2001年、福山市明王台の住宅で当時35歳だった主婦が殺害された事件。
上田さんは、このとき近くの署に勤務していて、事件が起こってすぐ現場に臨場しました。
未解決だった事件が動いたのはその20年後。
犯人検挙の鍵を握ったのが、DNA型です。
【上田邦洋警部補】
「どの現場でもきちんと全部採取していかなければいけないと思うし、それを若い子たちにも必ず伝えていかなければいけないと思うし。どの事件でも絶対犯人の資料が現場にあるんだって思って、逃さず採取しなければならないなっていうのは特に痛感しますよね」
上田さんは、このとき近くの署に勤務していて、事件が起こってすぐ現場に臨場しました。
未解決だった事件が動いたのはその20年後。
犯人検挙の鍵を握ったのが、DNA型です。
【上田邦洋警部補】
「どの現場でもきちんと全部採取していかなければいけないと思うし、それを若い子たちにも必ず伝えていかなければいけないと思うし。どの事件でも絶対犯人の資料が現場にあるんだって思って、逃さず採取しなければならないなっていうのは特に痛感しますよね」
この事件に限らず、鑑識活動で採取した資料が容疑者逮捕の決め手になることは少なくないと言います。
【上田邦洋警部補】
「やはり早期に犯人が捕まるように資料を採取して早く捜査に活用できるように。被害者さんのために、事件を解決するための手助けをしたいなとは思っています」
【上田邦洋警部補】
「やはり早期に犯人が捕まるように資料を採取して早く捜査に活用できるように。被害者さんのために、事件を解決するための手助けをしたいなとは思っています」
素材や形、色など物の数だけ採取方法も無数にあります。
時代に合わせ道具や技を生み出すことも鑑識係の重要な仕事のひとつ。
その中で上田さんが取り組む新技術が、カキ殻を使った指紋採取の研究です。
【上田邦洋警部補】
「きっかけとしてはお正月にカキを家で焼いて、カキ殻がはじけて粉末が壁に引っ付いて取れにくいってことがあって」
通常業務の合間を縫って全国の鑑識係員たちは鑑識のための開発や研究を行っています。
【上田邦洋警部補】
「カキ殻なら廃棄するカキ殻の問題もありますよね。もしかしたら今ある白い検出材よりも安くできるんじゃないかなと。カキ殻の問題の一助にもなればなと」
時代に合わせ道具や技を生み出すことも鑑識係の重要な仕事のひとつ。
その中で上田さんが取り組む新技術が、カキ殻を使った指紋採取の研究です。
【上田邦洋警部補】
「きっかけとしてはお正月にカキを家で焼いて、カキ殻がはじけて粉末が壁に引っ付いて取れにくいってことがあって」
通常業務の合間を縫って全国の鑑識係員たちは鑑識のための開発や研究を行っています。
【上田邦洋警部補】
「カキ殻なら廃棄するカキ殻の問題もありますよね。もしかしたら今ある白い検出材よりも安くできるんじゃないかなと。カキ殻の問題の一助にもなればなと」
試行錯誤を繰り返し、現場で使えるようになるまで5年以上かかることもあります。
実用化に向けた研究が続いています。
【上田邦洋警部補】
「アイディアはいっぱい。それこそ夜の通販番組見よってもみんなで「あ、これ指紋取れるんじゃないん」とか。鑑識の人はそんな感じでみんな私だけじゃないです。みんな現場で苦労してできなかったって思ったら工夫して、いい指紋をとるいい足跡をとるためにはどうしたらいいんだろうってみんなで話し合って研究して」
実用化に向けた研究が続いています。
【上田邦洋警部補】
「アイディアはいっぱい。それこそ夜の通販番組見よってもみんなで「あ、これ指紋取れるんじゃないん」とか。鑑識の人はそんな感じでみんな私だけじゃないです。みんな現場で苦労してできなかったって思ったら工夫して、いい指紋をとるいい足跡をとるためにはどうしたらいいんだろうってみんなで話し合って研究して」
一番の理想は、犯人逮捕に直接つながる証拠が取れること。
しかし、現場できれいな指紋を取ることはなかなかできません。
それでも、指紋を採取することで得られる“情報”があります。
【上田邦洋警部補】
「例えばね、包丁から指紋を取りましたと。こういう持ち方でしたよ。右手左手があるし、逆手で持っとる(場合)、時代劇でよくあるよね、「父の仇」こっちの方が悪そうでしょ。もしくはこう持っとる。じゃけえ、指紋のついとる位置で犯人の意思が分かったりとか、目的が分かったり、そういうのもあるから、あんまりきれいな指紋じゃないなと思ってほっとかずに、指の流れがあったら、それは取っとけば。別の方向で役立つこともあります」
しかし、現場できれいな指紋を取ることはなかなかできません。
それでも、指紋を採取することで得られる“情報”があります。
【上田邦洋警部補】
「例えばね、包丁から指紋を取りましたと。こういう持ち方でしたよ。右手左手があるし、逆手で持っとる(場合)、時代劇でよくあるよね、「父の仇」こっちの方が悪そうでしょ。もしくはこう持っとる。じゃけえ、指紋のついとる位置で犯人の意思が分かったりとか、目的が分かったり、そういうのもあるから、あんまりきれいな指紋じゃないなと思ってほっとかずに、指の流れがあったら、それは取っとけば。別の方向で役立つこともあります」
上田さんには大切にしているものがあります。
小学校の頃から愛してやまない、今に、つながるもの。
それは…。
【上田邦洋警部補】
こどもの頃住んでたアパートに必ずツバメが巣を作りに来てたの。巣立つまで見てたり」
野鳥好きが高じてカメラに触れるようになりました。
この日も「相棒」とともに野鳥の自然な表情を狙います。
【上田邦洋警部補】
「自然な感じで驚かさんようになるべく遠くで望遠レンズ使って近づきすぎない。羽広げた時に普段見えない羽の色が見えたりとか、あれはいいよね」
小学校の頃から愛してやまない、今に、つながるもの。
それは…。
【上田邦洋警部補】
こどもの頃住んでたアパートに必ずツバメが巣を作りに来てたの。巣立つまで見てたり」
野鳥好きが高じてカメラに触れるようになりました。
この日も「相棒」とともに野鳥の自然な表情を狙います。
【上田邦洋警部補】
「自然な感じで驚かさんようになるべく遠くで望遠レンズ使って近づきすぎない。羽広げた時に普段見えない羽の色が見えたりとか、あれはいいよね」
休みが取れれば遠くに赴き、野鳥を撮影します。
【上田邦洋警部補】
「これは鳥取県。うん、コウノトリかな。何の気なしに車走らせてたら「あれ?」と思って見つけたんで」
警察官という不規則な仕事を長年続けてきた上田さん。
“野鳥仲間”を作ることとカメラ機材を揃えることはこれからの楽しみの1つです。
「完全にこれは鳥を撮るためだけに買ったんです。鳥以外撮ってないです。もうこれ一本でやってる。まだそこまで、もう全部引退してからうふふ」
【上田邦洋警部補】
「これは鳥取県。うん、コウノトリかな。何の気なしに車走らせてたら「あれ?」と思って見つけたんで」
警察官という不規則な仕事を長年続けてきた上田さん。
“野鳥仲間”を作ることとカメラ機材を揃えることはこれからの楽しみの1つです。
「完全にこれは鳥を撮るためだけに買ったんです。鳥以外撮ってないです。もうこれ一本でやってる。まだそこまで、もう全部引退してからうふふ」
上田さんが鑑識の道に進んだ理由もまた、カメラでした。
「写真で声かけられたんで、「写真では恥かかないように」っていうことで、写真の技術はまず負けないように。写真がきれいとかなんとかいうんじゃなくってこの写真を見たら現場の状態が想像できる「なるほど、こういうことが起こったんだね、こういうことが行われたんだね」っていうのを訴える写真」
細工しない正確な写真。
上田さんの、譲れない思いです。
同時に、その思いと技術を継承していくことが、いまの大きな課題だといいます。
「写真で声かけられたんで、「写真では恥かかないように」っていうことで、写真の技術はまず負けないように。写真がきれいとかなんとかいうんじゃなくってこの写真を見たら現場の状態が想像できる「なるほど、こういうことが起こったんだね、こういうことが行われたんだね」っていうのを訴える写真」
細工しない正確な写真。
上田さんの、譲れない思いです。
同時に、その思いと技術を継承していくことが、いまの大きな課題だといいます。
【上田邦洋警部補】
先輩から教わったこと、自分が今やっている技術をまた全部若い子に、後輩ができるように、育てていく。全部伝えたい、もう知ってることは全部伝えたいですね」
上田さんにとって鑑識活動とは「捜査を支える」ということ。
被害者の無念を晴らすため、その思いと技術の全てを後輩たちに繋いでいきます。
先輩から教わったこと、自分が今やっている技術をまた全部若い子に、後輩ができるように、育てていく。全部伝えたい、もう知ってることは全部伝えたいですね」
上田さんにとって鑑識活動とは「捜査を支える」ということ。
被害者の無念を晴らすため、その思いと技術の全てを後輩たちに繋いでいきます。
