映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」105歳の父、今年も舞台挨拶へ「元気にやっちょります」

11/3(月) 18:35

認知症の母と高齢の父の暮らしを娘が記録したドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」今年で105歳を迎えた父親の良則さんが舞台挨拶に立ちました。

背中をそっとかいてあげる、母・信友文子さん。

【信友良則さん】かいかいかい。
【信友文子さん】長生きしたね。
【良則さん】長生きした。

耳が聞こえにくくなった父、良則さん。

【文子さん】ええ女房じゃね。
【信友直子さん】この薬をどうするん?
【文子さん】これを飲む。
【直子さん】さっき飲んだじゃん。
【文子さん】飲んでない。飲まんじゃろ。

文子さんは85歳のとき認知症と診断され、95歳の良則さんはこれまで手をつけることがなかった家事を始めました。

【信友良則さん】「こりゃいけんわ」

テレビ番組のディレクターを務める娘の直子さんは、両親の様子をカメラに収めていました。しかし、文子さんが脳梗塞を発症ーそして、静かな別れの時を迎えました。

【信友良則さん】
「長いこと世話になったな。わしもええ女房をもらったと思っています」

文子さんは、眠るように息を引き取りました。
認知症の妻を支える良則さんの姿を描いたドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』は多くの人々の心を動かしました。

文子さんが亡くなって5年。
11月1日、良則さんは105歳の誕生日を迎えました。
毎年、誕生日に行っている映画の舞台挨拶ー

【信友直子さん(63)】お父さんの誕生日で皆がこんなに集まってくれた。
【信友良則さん(105)】ありがとうございます。
【直子さん】元気?
【良則さん】元気にやっちょります。
【直子さん】どこも体の悪いところはないんよね。
【良則さん】医者に悪いところはないと言われる。
【直子さん】ちょっと年をとったね。
【良則さん】年をとりました。
【直子さん】けさお母さんの仏壇で顔を見ながら座っていたけど105歳になりましたよと報告していた?
【良則さん】おそらくそうじゃろ。
【直子さん】お母さんがいなくなって5年以上経ったけどさびしいですか?
【良則さん】さびしいです。まだまだ生きられそうじゃろ。

7年前に映画が公開されて以降、良則さんは娘の夢を応援しようと舞台に立ち続けてきましたが、直子さんは老いていく父の小さな変化を静かに感じとっていました。

【信友直子さん】
104歳までは自分の言葉でしゃべれていたけどもうしゃべれない。もう最後だと思う。私の狙いは父を日本最高齢男性にすること。あと5年か6年がんばります。ばいばいありがとう。