高齢者の一人暮らしに寄り添った取り組みに密着 「つながる場づくりを」【老いゆく社会】広島

7/14(月) 20:30

シリーズでお伝えしている「老いゆく社会」の第11弾です。
少子高齢化が急速に進む中、内閣府の調査では、65歳以上の一人暮らしの高齢者は、800万人以上いるとされています。高齢者の一人暮らしに寄り添ったある取り組みに密着しました。

食料品などの日用品や弁当を配達するサービス。
広島県内をエリアに展開する「生協ひろしま」は、およそ600台の車で、食料品などの日用品や弁当の配達販売を行っています。
この支店では、夕食の弁当を1日、およそ550軒に、配達しています。

(生協ひろしま 夕食宅配パートナー・高畠絵美さん)
「こんにちは」
(利用者)
「もう3年くらい利用してます」
Q:便利ですか?
「便利です」

高畠絵美さん、この仕事を始めておよそ6年。
毎日、およそ60食の弁当を配達しています。

(生協ひろしま 夕食宅配パートナー・高畠絵美さん)
Q:利用者は高齢人が多い?
「大半が高齢者の人です。男性の方が多いかな」
Q:利用者が増えていますか?
「そうですね」

同じ担当者が同じ地域を担当することが多いため配達中に普段とは違う利用者の変化に気付くことがあるといいます。

(生協ひろしま 夕食宅配パートナー・高畠絵美さん)
「お客さんが入院して退院した直後で(配達した)弁当が食べられてなくて、電話をかけてもらったら(家の中で)倒れていた」

彼女たちの仕事は、弁当の配達だけに、とどまりません。

(生協ひろしま 夕食宅配パートナー・高畠絵美さん)
「県外に出ているお子さんたちから(様子を)見てくださいという感じで言われている配達員たちもいますし」

実際に、配達員の気付きが、活かされる場面は、度々あるといいます。

(利用者)
「この間心配してくれた時には私が(弁当を家の中に)入れていなかったから、そのまま(弁当)があった」
Q:何かあったのではないかと
「そうそう。そういう面では安否確認も兼ねてということがあるので、それはいいと思います」

生協ひろしまは、県内の全ての市や町と、連携しこれまでも、高齢者や地域の見守りを続けてきました。

(生協ひろしま・高浦美穂 専務理事)
「同じ担当者が、同じ組合員の所に、同じ曜日同じ時間に届けるので、とても親しくなりやすく、色々な悩みを聞いたり、きょうの体調を聞いたりできている。その内容によっては緊急連絡先の家族に連絡したり、行政に連絡したりしています」

高齢化が進む中、核家族化の影響で1人暮らしの高齢者が増加しています。

先月、大竹市内で開かれた料理教室。
名付けたその名前は「THE漢の料理教室」

(大竹市社会福祉協議会・浴 肇 生活支援コーディネーター)
「きょうはみなさん手際よくしなくていいので、だから漢(おとこ)の料理教室です」

大竹市の社会福祉協議会と生協ひろしまが初めて一緒に開催した高齢者男性対象の料理教室。

内閣府の調査では、現在、65歳以上の一人暮らしは全国で、およそ815万人。
そのうち、3割に当たる290万人ほどが、男性です。
政府は、2040年には、65歳以上の1人暮らしが全国で、1千万人を越え、男性の一人暮らしは、400万人を突破すると予測しています。
社会福祉に携わる専門家は、男性高齢者の特徴をこう指摘します。

(大竹市社会福祉協議会・浴 肇 生活支援コーディネーター)
「集まりの場に男性がいるんですが、女性は何もなくても話が盛り上がるんですが、男性は何かがないと隅の方でぽつんとしている人が多い、だから繋がり作りは女性に比べて苦手なのかなと感じます」

高齢化が進むニッポンで課題となっている「高齢者男性の一人暮らし」生協ひろしまと大竹市の社会福祉協議会がタッグを組んだ取り組みが始まりました。

(大竹市社会福祉協議会・浴 肇 生活支援コーディネーター)
「何か男性が集まれる場所、キッカケがある事で最初は仕方がないから行ってみようかもしれないけど」
(生協ひろしま・高浦美穂 専務理事)
「誰かが働きかけないと家から出してあげられていない現状があります」

料理教室の講師を務めるのは、食育マイスターと冷凍生活アドバイザーの資格を持つ、今村郁雄さん。生協ひろしまの職員です。
この日のメニューは、凍らせたトマトを使ったぶっかけうどんに、ミニトマトを使ったフローズンサラダなど、炒めたり、焼いたりせずにできる簡単メニューです。
料理ができる人、できない人もみんな、楽しみながら作ることができます。

一緒に料理を作っていくうちに、参加者同士が世間話や地域の話でも、盛り上がっていきます。

(参加者)
「たまにはこういう集まりもいいですよね。日頃人と会わない、出歩かないから」
「ここに来るメンバーの人が、それが1番心配だった。知った人が2人か3人いて」

Q:久しぶりに会えた?

「久しぶりです。近くの人も初めて(会えた)」

第1回の漢の料理教室は、盛況のうちに終了しました。

(大竹市社会福祉協議会・浴 肇 生活支援コーディネーター)
「料理教室で開いてみたのですが、結局、人と人との繋がりや、出会いの場で、近くに住んでいても会うことがないから、久しぶりに会えたという声も聞いたので、効果が大きかったと思う」

厚生労働省の予測では、2040年には、65歳以上の人が、人口のおよそ35%を占めると予測されています。

(生協ひろしま・高浦美穂 専務理事)
「広島県もあと30年間は75歳以上の高齢者が増え続ける。元気な高齢者が地域で超高齢者を支える仕組みがどうしても必要だと思うので、私たちはその場作り、つながるような場作りを応援していくというスタンスで、県内の全域に拡げていきたいと思います」

団塊世代が高齢者となり、これまでにないスピードで高齢化が進む中、課題を解決するには社会全体での取り組みが必要になっています。

<スタジオ>
【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「私の父は知らない人と話すより、家でテレビを観ている方が楽しいというふうになってしまって、最悪、自炊しなくてもいいと思うんですよね。もう、とにかく外に出る。家から出て人と話す。そういう機会を官民連携して提供していけるといいのかなと思います」