周防大島町 なぎさ水族館(山口県)
小さな水族館が起こした大逆転
瀬戸内海に浮かぶ周防大島。その島の端っこにあるのが、日本最小クラスとも言われる「なぎさ水族館」。水槽は約30台、飼育員はわずか2人。来館者も減り、存続の危機に立たされていました。そんな小さな水族館が、ある日、世間の注目を集める快挙を成し遂げます。派手な展示も潤沢な予算もない中、支えとなったのは、飼育員2人の執念と、島の人々の温かな協力でした。限られた環境だからこそ生まれた、知恵と工夫、そして情熱。その積み重ねが、小さな島に大きな奇跡を呼び起こします。今回は、逆境を力に変えた、小さなカンパニーのそ~だったのか!に迫ります。


瀬戸内海に浮かぶ周防大島。ここに国内最小クラスの「なぎさ水族館」があります。1990年に町の目玉施設として誕生。屋内にある国内最大級のタッチングプールでは、カブトガニやシロザメなどに触れることができます。しかし、次第に入館者数が減少し存続の危機に。さらに、ベテラン飼育員が体調不良により退職することになり、その時に入社してきたのが、濱津芳弥さんと内田博陽さん。2人はこの水族館をもう一度輝かせるため、日本全国の小さな水族館を視察。そこで誕生した手書きのポップには、展示している魚の味や料理の紹介、毒にまつわる豆知識など個性豊かな情報が書かれています。また、展示している生き物は、2人が自ら採集してきたものや地元の漁師さんが無償で提供してくれたもので、地域一丸となって水族館を盛り上げているのです。


カンパニーのある周防大島の近海は国内最大級のニホンアワサンゴ群生地。飼育員の内田さんは自ら海に潜り幼生を採集し、4年の歳月をかけた2016年、ついに、ニホンアワサンゴの飼育と人工繁殖に成功したのです。さらに、もう一人の飼育員・濱津さんはわずか1センチほどのクラゲも見つけてしまうクラゲとりの名人。そんな濱津さんは、いつものように採集をしていた時、見慣れない7ミリほどのクラゲを発見。大学時代同期のクラゲ研究者に詳しい形態観察やDNA分析を依頼したところ、新種であることが判明したのです。「シトウズクラゲ」と名付けられた新種のクラゲは大きな話題となったのです。2人の働きが積み重なり、入館者数は右肩上がり。2022年には3万人を突破し、開館35周年となる2025年8月には、累計来館者数が100万人を越えたのです。