有限会社 スイコウ(広島県)
広島名物「あなご飯」。その味を陰で支えているのが、あなごに特化した水産卸のカンパニーです。小さな鮮魚店から始まり、職人の技で鮮度の高い“活シメあなご”を全国の飲食店へ届けてきました。しかし、海水温の上昇などの影響で、広島の海からあなごが姿を消すという大きな危機に直面します。そこで打ち出したのは、業界の常識を破る決断。海外での独自仕入れや輸送体制の構築など、前例のない挑戦を重ねていきます。さらに今では、加工の難しい「あなごの刺身」にも挑戦し、新たな価値を生み出しています。今回は、広島の食文化を支える水産卸の挑戦と、その“そ~だったのか”に迫ります。


日本全国の魚を扱い、買い付けから加工まで手掛ける「スイコウ」。アナゴに特化した水産卸の業態をとっていて、一晩で2500匹ものアナゴを捌いています。入荷したアナゴは活シメアナゴとして冷凍加工され、抜群の鮮度と高い品質で主に飲食店や企業へ販売。多い時で売り上げの7割を占める看板商品となっています。1967年、町の小さな鮮魚店として創業したカンパニー。宮島近海でとれたアナゴを「あなごめし」の名店などに卸し、アナゴの鮮魚店として厚い信頼を得ていました。しかし、アナゴの大量注文に応え続けるためには、町の鮮魚店では、まかないきれない状況に。そこで、小売業から水産卸へと業態を転換させ、アナゴに特化した水産卸として歩むことを決意したのです。


アナゴの卸として歩み出した矢先、広島の海では海水温の上昇や生態系の変化により、アナゴがとれなくなっていました。そこでカンパニーは、世界屈指のアナゴ漁獲量を誇る韓国に目を向け、市場に頼らず安定して仕入れられる独自ルートの構築を目指します。しかし、当時は市場経由が業界の常識。海外取引の実績も信頼もない鮮魚店が韓国の大手企業と直接取引を行うのは前代未聞の挑戦でした。釜山へ渡り商談を進める中で、信頼の決め手となったのは「アナゴの取扱量」。毎日多くのアナゴを捌き、お客さんに届けてきた実績が評価され、無事に取引が実現。その後、対馬海峡の漁師とも直接取引を行い、国内外から安定して仕入れる仕組みを築きました。さらに、管理が難しい繊細なアナゴを運ぶため、自社で活魚車を導入。失敗を重ねながらも輸送ノウハウを蓄積し、今では2台の活魚車を九州に走らせるなど、アナゴの安定供給を実現させています。