西研 株式会社(広島県)
“磨く力”が世界を動かす!町工場の逆転劇
広島市の小さな町工場「西研」は、使い古されたドリルや刃物を研ぎ直し、再び命を吹き込む“再研磨”のプロ集団。たった2人で始まった工房は、やがて数多くの現場を支えるまでに成長しました。ところが、不況や安価な海外製品の台頭で経営は危機に直面。そんな中、「金属にまっすぐ深い穴を開ける」という“不可能な依頼”が舞い込みます。何度もの試作と失敗を重ね、ついに誕生したのは世界が驚くドリル「クレアボーラー」。日本をはじめ7カ国で特許を取得し世界に挑むまでに成長したカンパニー。今回は“磨く力”で未来を切り開いた小さな町工場のそ~だったのか!に迫ります。


製造現場で使うドリルや刃物などの工具を磨き直して蘇らせる「再研磨」を行っている「西研」。その磨きの技術は全国の工場から依頼が届くほど。町工場から始まったカンパニーは、会社を大きくするため、メーカーになる夢を掲げ、2002年、切削工具の製造に挑みました。当初は国内の多くの工場で使われる標準規格のドリルをつくっていましたが、同じような工具があふれる中で、カンパニーの製品はなかなか売れなかったのです。一方、海外製の安価なドリルが出回り始め、工具は磨き直すより、使い捨てる時代へと変わっていき、研磨の仕事も減少。さらに、リーマンショックが追い打ちをかけ、同業者の廃業が増え、カンパニーの経営も追い込まれてしまったのです。


2017年、カンパニーに大手鍵メーカー「ゴール」から共同開発の依頼がきたのです。その内容は、金属にまっすぐ深い穴をあけられるドリルづくり。通常、金属に深い穴をあけるには、ドリルの刃を何度も交換しながら、少しずつ慎重に掘り進めていくしかありません。「ゴール」は高い技術力を持つカンパニーとなら高性能のドリルをつくり出せると考えたのです。試行錯誤すること約3年、独自の溝を備えた新たなドリル「クレアボーラー」が完成。ドリルの先端のわずかな角度と独特なカーブを描く溝が、金属を削りながら、同時にクズを外へ押し出すという絶妙なバランスを生み出し、精度の高いまっすぐな穴を実現したのです。日本をはじめイスラエルなど7カ国で特許を取得。ヨーロッパやアジアの企業でも次々と使われ始めました。カンパニーは広島市内にクレアボーラーの生産拠点となる新工場を建設。2024年度には創業以来、過去最高の売り上げを記録しました。