医療法人社団 湧泉会 ひまわり歯科(広島県)
140人が働く“町の歯医者さん”の真実
全国平均わずか4人といわれる歯科医院で、スタッフ140人という圧倒的スケールを誇る「ひまわり歯科」。その成長の裏には、かつてスタッフが次々と辞めていったという院長の大きな挫折がありました。どん底からの再出発、そして“誰もが輝ける場所”を目指した職場改革とは? 女性も若手も活躍し、医療の枠を超えて地域を支える“新しい町の歯医者さん”。その知られざるカンパニーのそ~だったのか!に迫ります。
現在、歯科医師45人・歯科衛生士35人など、スタッフ約140人を抱える全国的にも珍しい「ひまわり歯科」。1999年、診療台3台・スタッフ3人のごく普通の「町の歯医者さん」として開業しますが、スタッフは定着せず、次々と診療所を離れていっていました。その理由は、岡本院長が若い頃、先輩の技を目で見て盗むという日々を送っていた経験。「見て学べ」という職人気質の考え方が染みついていたため、院長の情熱とは裏腹にスタッフは「ついていけない」と去っていたのです。部下にどう教えたらいいのか分からないまま、開業から10年経った時、研修医の教育という役割を担います。新米の歯科医師たちに教えるという使命は岡本院長の考え方を大きく変え、スタッフが輝けること、苦手なことを知ることで、定着するスタッフが増えていったのです。
岡本院長は「スタッフが輝ける職場」にしたいという思いのもと、2010年、診療所を拡大。出産や育児をきっかけに、離職してしまう女性歯科医師を確保するため、女性の雇用に力を入れました。一度現場を離れてしまうと復帰が難しくなるため、どんな形でもいいので仕事に関わり続けられる働き方を改革。また診療所内に託児所を設置し、スタッフが働く間、子どもを無料で預かっているのです。さらに、スタッフの家族に仕事への理解と共感を深めてもらおうと、「家族参観日」を企画。こうした取り組みが実を結び、今では産休からの復職率は100%。ひとりひとり違う働き方を実現したことで、全員が再び職場に戻り、活躍を続けているのです。