子育てアドバイス

うちの子、集中力がない?子どもの集中力をつけるには

 元気いっぱいの我が子の姿を見るのは嬉しいものです。しかし、その元気の良さが落ち着きのなさに見えると途端に心配の種に変わってしまうのですから、親の気持ちとは複雑です。
 今回は小学校教諭、教頭として子どもたちを見て来られ、現在は新採用の先生の指導を行っている土路生敏通(とろぶ としみち)先生に、子どもたちの集中力についてお話を聞きました。

子どもの集中力はどれくらい続くものなのでしょうか?
「子どもの集中力はあまり長くありません。小学生の家庭学習は学年プラス10分を目安に出されています」(土路生先生)
つまり、小学校1年生なら20分(10分+10分)、2年生なら30分(20分+10分)、3年生なら40分(30分+10分)と、集中力が続く程度のボリュームです。

 しかし、小学校での授業は45分間。子どもにとってやや長く、集中し続けるのは無理がありそうです。
「小学生のうちはまず、机につく習慣をつけることから始めます」(土路生先生)
 土路生先生が担当されている中学校区の小学校3校では、自分が選んだ学習に取り組む『つっくん(机につく、から作られた造語)』を宿題の一部に取り入れているそうです。自分で決めた自主学習なら量や内容に無理がなく、机につく習慣をつけられるというわけです。


集中力を発揮できる環境づくりとは?
 土路生先生は、小学生でも低学年のうちであれば学習机につくことにこだわらなくても良いと話されます。
 リビングや食卓のテーブルに宿題を広げ、家族の目が届くところで勉強することは悪くありません。分からないことがあればすぐに親に尋ねられますし、音読の宿題であれば家事をしながら聴いてあげられます。家庭では子どもがやりやすいところで無理なく学習に取り組むのが良さそうです。

 ただ、リビングで勉強をする時にはテレビは消します。子どもの意識は複数のことに向けるのが難しく、テレビの音や映像に気を取られて集中できません。ある程度、成長すれば音楽を聴きながら勉強することもできますが、小学生の間は短時間でも落ち着いて学習に取り組むようにしましょう。
 生活音に対して神経質になる必要はなく、「やる時はやる、遊ぶときは遊ぶ」とけじめをつけることがポイントのようです。


親の目が届くところで学習するメリットとは?
「ある教師が子どもたちを正しく指導するため注意ばかりしていましたが、子どもたちは一向に落ち着きませんでした。しかし、やり方を変えると、子どもたちが少しずつ変わり始めました。『△△さん、姿勢を正しなさい』と出来ていない子を注意するのではなく、『○○さんは良い姿勢ですね』と出来ている子を褒めるようにすると、子どもはどうすれば良いのか、どうすることが先生に褒められることなのかを理解します」(土路生先生)

 我が子がきちんと宿題をしているのか、文字を丁寧に書いているのかなど様々なことが気になります。疑心暗鬼になって確認するより、目の届くところで学習する姿を見ていれば安心です。
「字がきれいに書けているね」
「この前より間違いが少ないね」
我が子の良いところに目を配り、小さな褒め言葉をかけてあげてください。
 褒められれば楽しくなります。楽しいことには集中力が続きます。


体がグラグラ・・・ 体幹も集中力に影響するの?
 外遊びが中心だった昔の子どもたちは、わざわざ体を鍛えなくても日常の遊びの中で体力や筋力が付きました。
 しかし、最近の子どもたちは塾や習い事が忙しかったり、友達と遊ぶときでもゲームなど屋内遊びが中心になったりしています。そのため筋力が弱く、体がグラグラしてじっと立っていられない、真っ直ぐ座っていられないという子どももいるそうです。体がグラグラでは集中力が発揮できません。筋力が付き、体のバランスがしっかりしていれば、落ち着いて授業を聞けます。
 子どもの集中力に基礎体力や体づくりが関係しているとは意外な気がしますが、子どもたちにとっては外遊びも大事なのですね。


スポーツをすることで集中力はつくのでしょうか?
 スポーツをしている子は爆発的な集中力を発揮できると考える向きがありますが、果たして本当でしょうか。スポーツならではの緊張感や体づくりは大切なこととしながら、集中力を付ける方法はスポーツに限らないと土路生先生は言われます。
「スポーツ以外でも、何か夢中になれるものを見つけた子は集中力を発揮します」(土路生先生)

 例えば、自主学習『つっくん』では、興味のあることを見つけ、時間をかけて取り組んでいる子もいるそうです。地図に興味がある子は丁寧に日本の地図を書き写したり、歴史が好きなら自分で本を読んで調べたり、自分の好きなことのためなら長時間机につくことも苦痛とは感じない子どもたちがいます。
 スポーツでも勉強や芸術の分野でも、子どもたちは何か夢中になれるものを探しています。スポーツに限らず、有り余るパワーを注げる対象を見つけた子どもたちは今までにない集中力を発揮し、能力を開花させていきます。


基本的な生活習慣の重要性とは
 早寝、早起き、朝ごはんと言われます。子どもや家庭の事情によって、夜型の生活に傾いてしまう場合もあります。
 それでも、子どもの成長にとって睡眠はとても大切です。十分な睡眠を取ること、規則正しい生活習慣を身に着けることは健康のためにも、精神衛生のためにも心掛けたいもの。
「学校に来てからも眠そうにしていたり、お腹が空いていたりしては、授業に集中するのは難しいでしょう」(土路生先生)
 朝は心地よい目覚めから始まり、朝食をしっかり取ってから登校する。この基本的な生活習慣を身に着けることが、授業に集中し、学校を楽しむための第一歩になるようです。


 集中力というとつい、学習のことばかりに目が向きがちになります。しかし、子どもの能力は学習分野に限りません。スポーツや芸術などあらゆる方面に子どもの興味の可能性は存在し、それをうまく引き出してあげることこそ、子どもの集中力を発揮させる最善の方法なのかも知れません。


(広島市立畑賀小学校 児童が帰宅した後のグラウンド)

土路生 敏通 (とろぶ としみち)先生
畑賀小学校 教諭

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