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2018年09月04日(火)
子どものケガと湿潤療法について
 元気に駆け回る子どもたちはいつもケガと隣り合わせ。保護者の皆さんにとって子どもの健康と安全は最も気になることの一つではないでしょうか。
 子どもたちには大きなケガはして欲しくない。とは言え、小さなアザやキズは日常茶飯事のこと。
そこで今回は林クリニック院長の林克実先生にケガの治療方法の一つとして湿潤療法についてお聞きしました。


ケガをしたとき、まずどうしたら良いですか
 ケガにもさまざまな種類があります。例えば振盪症と呼ばれる打撲や脳震盪など外観からはすぐにケガの状態が分からないものや、皮膚表面に裂傷があり出血しているもの、あるいは火傷のように出血はなくても皮膚が破れたりしているなど、程度によって対処法はさまざまです。ここでは比較的軽度なケガや、病院を受診する前にしておく応急処置についてお聞きしました。

「軽いすり傷など大量出血がないケガであれば汚れを流水で洗い流してください」(林先生)
 まず傷口についた汚れを流水で洗い流します。

「もし出血があれば出血点を強く圧迫してください。大抵はこれで止血できます」(林先生)
圧迫して止血できるようであれば血が止まるのを待って病院に行っても大丈夫です。ただ、大量出血があり止血できそうにないときは救急車に連絡しましょう。

昔― 感染症を防ぐためには消毒、乾燥を重要視
 昔、ケガで最も恐れられていたのは感染症でした。中でも破傷風による死亡者は多く、破傷風を予防するために重度のケガは切断を余儀なくされることも少なくありませんでした。
もちろん、今でも破傷風にかかる可能性がないわけではありません。そのため、以前はケガをしたらまず流水であらい、さらにオキシドールなどの薬剤で消毒を行うのが一般的でした。
 また、衛生状態を保つために、当てているガーゼを毎日交換したり、入浴が禁止されたりしてきました。

「昔は感染のコントロールが難しかったため、それを防ぐ方法として消毒や乾燥が励行されていたのです。今は栄養状態も良くなり、昔とは事情が変わってきています」(林先生)
 破傷風は嫌気性菌のため、空気に触れることを嫌います。そこで消毒をして乾燥させることで破傷風にかからないようにしてきました。

ドレッシング剤に関する新しい考え方
 ドレッシング剤とは聞き慣れない言葉です。分かりやすく説明するなら、傷口を覆うものをイメージしてください。一般にはガーゼや絆創膏などもドレッシング剤です。

 ドレッシングの目的は次のようなものが挙げられます。
 ①感染の防止
 ②浸出液や膿などを吸収
 ③傷口の保護
 ④止血
 ⑤薬剤投与
 ⑥傷口を隠す

炎症は治っていく過程。カラダが傷を治すために働いている証拠です。そのキズから細菌が入るのを防いだり、浸出液が出たりするのを吸収したりしながらキズを覆う役割をドレッシング剤は果たしています。

 その前提のもと、昨今ではドレッシングについて新しい考え方が広まってきました。
「損傷を治療せしめるための最適な局所環境を整えること。言い換えればキズを治すため、細胞培養(再生)に最適な環境を整えることがドレッシングの本来の目的です」(林先生)

 自分の体(傷口)で細胞を培養するためには、適度な体温・適度な湿度・適度な酸素状態が必要だと林先生は説明します。皮膚表面の組織が損傷すれば傷口の炎症の中で肉芽が育って傷口を埋め、表面の皮膚が再生していきます。
 感染をコントロールしながら、乾燥させず、細胞自らが増殖するのを助けるのが湿潤療法の考え方です。

消毒液を使うより、まずは流水でしっかり洗い流す
 ケガをして流水で洗い流した後、消毒をする人が多いのではないでしょうか。
「消毒液はバイ菌も殺しますが、傷口の自分の細胞も傷つけてしまいます。だから消毒すると痛いでしょう?」(林先生)

 湿潤療法の考え方は、自分の細胞を培養してキズの修復を図るもの。傷口についた汚れや異物はしっかり水で洗い流す必要がありますが、湿潤療法では自分の細胞を殺してしまう消毒液は使いません。わざわざ痛い思いをしながら消毒して、キズを治すための細胞も傷つけてしまいます。
 浸出液が出てくる初期の炎症期間を過ぎれば、様子を見ながらキズが癒えるのを待ちます。


キズは乾かさないが、キズ周辺は乾かしておく
 擦りむいたりしてケガをしたところはジュクジュクになり、湿った状態になります。
 一方、健常な皮膚表面は乾いています。いつも湿った状態にしておけば皮膚はかぶれたり、ただ
れたりします。

 湿潤療法では細胞が再生増殖するのにふさわしい環境のために患部が乾かないよう維持します。
しかし、乾かないようラップを巻くだけでは、健康な皮膚は蒸れ、キズ周辺部分がかぶれてしまうでしょう。
 キズ部分は湿潤環境を保ちながら浸出液を吸収し、周辺の健常皮膚には空気が通るようにして乾燥を保たなくてはなりません。破傷風菌は嫌気性の菌であることからも、空気が通るようにしておけば感染を防ぐ効果があります。

感染症には注意が必要
 流水で洗った後は消毒をしなくて良い、放置しておいても良い、と言われてもキズが膿んだり悪化するのではないかと心配になります。
「熱感、発赤、疼痛。これらの症状があれば安易に素人判断せず、病院に行き抗生剤で感染治療を行いましょう」

 湿潤療法に限らず、感染予防はキズ治療の基本的な考え方です。土の中でザックリ・・というようなキズはすぐに覆わず、丁寧に流水で流しながら土や砂利などをきちんと取り除きましょう。


湿潤療法は自宅でできるのでしょうか
 最近、湿潤療法という考え方が普及しつつあります。
「湿潤療法では痛みが少なく、しかも早くキレイに治りますよ」(林先生)

 そこで、市販されているドレッシング剤を使って自宅でキズの湿潤療法が可能かとお尋ねしたところ、可能だけれども感染コントロールが難しいことがあると言われました。
 キズ周辺が熱を持ってきたり、赤く腫れてきたり、あるいはキズが疼いたりすれば感染症を起こしている証拠。湿潤療法を行っているつもりが逆に悪化させてしまうことがあるので気を付けましょう。

「湿潤療法のためのドレッシング剤も市販されていますが、素人判断は難しいかも知れません」(林先生)
 キズから出る浸出液(体液)は細胞の修復に必要不可欠。浸出液を閉じ込めることで湿潤環境を維持すれば、早くキレイに治ります。ただし、溢れる浸出液は外に出し、健常皮膚は乾燥させておかなくてはなりません。
 市販の湿潤療法用のドレッシング剤は完全に覆いをして塞いでしまうため、溢れ出るべき体液まで閉じ込めます。さらに、状態確認のためなどに剥がして交換する際、テープの粘着力が強すぎて培養された肉芽ごと取り去ってしまいがちです。そのため、治りかけた部分(新生上皮)を傷付け、逆効果の場合もあるとのこと。

 「当院の湿潤療法ではキズにくっつかないドレッシング剤を使用しています。出て来る体液を程よく吸収しつつ湿潤環境を保つ必要がありますから、そのあたりの判断は難しいのではないでしょうか」(林先生)
 林先生によれば、完璧に密封するのではなく、准じた方法として、傷口を洗ったあとにワセリンを塗ってくっつきにくいガーゼ(市販あり)で覆う方法が良いのではないかとのこと。その方法なら傷口は乾きにくく、余計な体液はガーゼが吸ってくれます。

林 克実(はやし かつみ)
林クリニック院長

林クリニック
消化器科、肛門科、内科、外科
内視鏡検査、痔の治療を行っています

広島市中区舟入南1-10-13
TEL 082-291-4555

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