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2021年04月15日(木)
【よくある相談シリーズ】うちの子、口答えが多くて困っています…。

●子どもの口答えは「成長の顕れ」

大人は子どもの健全な成長を願って、様々な場面で助言や忠告を行いますが、素直に受け容れてくれることばかりではありませんよね。特に小学校低学年を過ぎる頃には、親の立場から見れば筋が通らないような言い訳(いわゆる屁理屈)や、親の言葉の揚げ足取りを繰り返す時期が訪れることもあります。子どもが健全に成長する過程で、様々な反抗行動が活発となる時期を一般に「反抗期」と呼びますが、第一反抗期(2~3歳)と第二反抗期(青年期前期)の間に挟まれたこの時期は、「中間反抗期」と呼ばれることもあります。

遠い記憶を遡れば、私自身にもそのような時期は確かにありました。
(母)「今日からお風呂掃除するって、約束したでしょう?」
(漫画に夢中な私)「今日からっていつー? 何時何分何秒―? 地球が何回まわった時―?」
思い出すだけで恥ずかしくなるような屁理屈ですが、心理学者として少しだけ当時の私の肩を持つならば、屁理屈のなかにも僅かばかりの「論理」のきらめきが感じられないでしょうか。

 

私たち大人の社会でも、約束は期限が訪れてから守ればよいことが一般的ですから、「約束した行為(風呂掃除)の期限が明確でないなら、いま現在の行為(漫画)の中断を求めることはできない」との論理には、多少の説得力があるようにも思えます。何を申し上げたいかと言いますと、大人から見れば屁理屈に映る口答えにも、子どもなりの「論理(の発展)」が打ち出されている場合があること、そして、それらを即座に表現できるようになったことは、紛れもなく子どもの「成長の顕れ」だということです。

親の助言や忠告を素直に受け容れているように見える幼児期にも、うまく表現できないだけで、大なり小なり苦々しい思いを感じることはあったかもしれません。これまでは受け容れるしかできなかったものが言い返せるようになっている、親の(子どもからすれば)指示や命令に対抗できていることは、当時の私にとっても痛快な体験であったように記憶しています。これまで手も足も出なかったゲームの敵(親)と、新しい武器(論理的思考力と表現力)で戦えるようになった、と考えれば、その楽しさが分かり易いかもしれません。「初めて歩いた」「初めて話した」時と同じく、まずは喜ばしいこと、興味を惹かれることと受け止められたらいいですよね。


 


●「楽しむ気持ち」が共感的、支援的な対応を引き出す
 

この「成長の顕れを楽しむ」という側面が意識されづらいと、子どもの「口答え」に対して否定的に抑えつけるような、懲罰的な対応が採られ易くなってしまいます。

「ゴチャゴチャ言ってないで、約束はしっかり守りなさい!」「じゃあ、もう約束していた漫画の新刊を買わないよ!貴方だって約束を守らないんだから!」大人が感情的に強権を振るえば、子どものささやかな「論理」など瞬時で粉々になります。

「目には目を」の厳しい制裁を加えた結果、「口答え」そのものは減少するかもしれません。ですが、「理不尽な扱いを受けた」「役に立たない武器(論理的思考力と表現力)なんて、もう要らない」「大人には、何を言っても無駄なんだ」「自分(の考え)なんて、どうでもいいんだ」子どもがこのように思い悩むとすれば、それは大人が望む姿とは程遠いものでしょう。何より、相手の「論理」に対して感情的、高圧的にやりとりを遮っている時点で、こちらの旗色は良くありません。子どもの「論理」に言葉で対抗できないことを、認めているようなものですものね。

小学生時期の子どもは、相手の言動に矛盾や間違い(要は「ツッコミ」どころ)があると、的確に指摘できるようになります。「口答え」を「成長の顕れ」と捉えることで、同じ子どもの言葉に対しても「面白い」「そういう反応ができるのか」と余裕を持って対応し易くなりますし、「何でそんなふうに思うのだろう」「じゃあ、どうしたらいいかなあ」と、子どもの言い分をきく姿勢が持ち易くなります。

自分と異なる存在である相手の話を、相手の立場に立って理解しようとすることは「共感的理解」と呼ばれ、カウンセリングにおける基本的態度の一つとされますが、子どもの「口答え」においても、まずは子どもの「論理」や「気持ち」に寄り添おうとする姿勢が示されることで、子どもも大人も「落ち着いて話し合う」雰囲気が生まれ易くなります。子どもの「口答え」に過度に攻撃的な言動が含まれているなら「叱る」ことも必要でしょうが、その場合も、一度子どもの「気持ち」を受け取ってから伝えたい内容を話した方が、反発も招きにくく、子どもにとっても受け容れ易くなるのではないでしょうか。

 


●「より良い話し合い」が論理的思考力、表現力を伸ばす
 

冒頭の「口答え」の定義に「目上の者にさからって、言葉を返すこと」とありましたが、相手が親であれ教師であれ、自分と異なる意見に対して言い返してはいけない理由はありません。ただ、そのやり方は口喧嘩ではなく、「話し合い(議論)」である必要があります。議論にはルールとマナーが伴いますので、親が率先して「より良い話し合い」を実践することで、子どもも議論のやり方や価値を学ぶ機会となります。時には、子どもの屁理屈に真剣に乗っかっても面白いかもしれませんし、子どもの言い分が理に適ったものであればその場で一緒に修正するのもよいかもしれません。

「ああ、確かに時間正確に決めてなかったね。じゃあ、明日19時00分00秒からお願いできる?」「地球の自転でいえば、いまからちょうど1回まわった時なんだけど」お互いの立場や前提の違いを擦り合わせる、逆の立場になって想像してみる、全く別の状況を仮定してみる―。一見難しそうに見えても、小学校中~高学年の児童であれば、大人と同じ土俵で議論することは十分可能ですし、大人が「より良い話し合い」を引き出すことで、子どもの論理的思考力や表現力は更に伸びていくことが期待できます。他者と議論して共通理解を積み上げていこうとする態度やスキルは、これからの社会を生きる子どもたちに強く求められているものですから、まずは家庭で楽しみながら実践できるといいですね。

 

五十嵐 亮(いがらし りょう)

安田女子大学教育学部児童教育学科 准教授。
京都大学教育学部卒業、九州大学大学院修士課程修了、同博士後期課程単位取得後退学。博士(心理学)。専門は、教育心理学に発達心理学、教育工学と、新しいことが「わかる」「出来る」「身に付く」メカニズムを探究し、学習者を支援する学問分野です。主に授業分析方法の開発や、教師や教職課程学生の学習過程、(「自ら学ぶ力」の形成過程や自己調整学習方略の獲得支援など)子どもの認知発達に関する研究を行っています。プライベートでは、6歳の娘と4歳の息子の子育てに、日々試行錯誤中です。

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