子育てアドバイス

【よくある相談シリーズ】いじめや虐待、子どものSОSに気づくには?


たとえば、お子さんの様子が、口数が少なく、食欲もなく、元気がない様子であれば、親は「あれ?どうしたの?」と気づくことができます。しかし、そんな分かりやすい表現ではなく、SOSのサインを送ってくる子どもたちがいます。今回は、お子さんの出すSOSを小さなうちに気づいてケアできるよう学んでいきましょう。

●常日頃から、子どものストレス反応にめくばりを。
子どもたちのストレス反応は、大きくわけて4つに分けることができます。どれか1つのパターンだけではなく、重なるところも多く、子どもたちには複合的に現れます。
心身症と呼ばれる症状で、頭痛・腹痛・吐き気・身体のだるさだけでなく、実際に微熱が出ることもあります。また、食にも影響し、「食欲がない」、逆に「食べ過ぎる」といったことも。いつもと様子が違うなと感じた時には、立ち止まって子どもの様子を観察してみましょう。その他、睡眠についても「寝付きが悪い」「怖い夢を見る」「夜中に何度も目を覚ます」といったことも。私の出会った子どもたちにも「怖い夢を見るから目を閉じたくないの」と話してくれた子がいました。自然災害など何かショックな出来事があった後など、子どもがなかなか寝ようとしない時には、「早く寝なさい!」と頭ごなしに怒るのではなく、まずは何で寝たくないのか、お子さんに理由を聞いてあげましょう。
 
ストレス反応だとは気づかれにくいタイプで、「怒る」など逆に不安を高めてしまう対応をすると、長引かせてしまうこともあるので、注意が必要です。このような行動を見ると、ついつい「どうしてこんな悪い子になったの!」「困った子だ」と親は感じてしまいます。このストレス反応を行動に出している子どもたちは、「不安だよ」「怖いよ」「心配だよ」と困っている子どもたちなのです。この場合、怒る回数を減らして、ゆったりとした時間を親子で過ごすよう心がけましょう。旅行やお出かけなどではなく、日常の普段通りの生活を送るようにしてみてください。
 
小学校高学年くらいになると、勉強や宿題もせずリビングでゴロゴロしているお子さんの様子を見ていると、つい「なまけている!」と決めつけてしまうことがありますが、そんな子どもたちの中には、自分自身も困っている子がいます。スクールカウンセラーで出会う子どもたちの中にも、「勉強しなくてはいけないと分かっているけれど、どうしても家ではやる気になれなくて困っている」と相談に来る子どもがいます。長引くようなら、うつ症状である可能性もあるので、お医者さんに相談してみましょう。お近くに児童精神科がない場合には、相談にのってもらえる小児科もあるので一度電話で問い合わせをしてみてください。
 
大人に比べて子どもたちは論理的に客観的に物事を考えることは難しく、また、自分の状況を言葉で表現することもまだまだ未熟です。ストレス反応の原因になっている出来事についても「何でそんなことが起きたのか」状況を整理して考えることができず、思考を停止してしまっているように、ぼーっとして、何も聞いていないような、何も覚えていないようなことがあります。また、子どもたちなりに一生懸命考えて、「お母さんが病気になったのは僕のせいだ」「こんなことが起きたのは私が悪い子だったからだ」「お父さんとお母さんが離婚したのは私のせいだ」と誰にも言わず自分自身を責めている子どももいます。そんな子どもたちにはゆったりと安心できる環境で、何か一緒に「遊びながら」「絵を描きながら」「ゲームしながら」「お茶をしながら」などしている中で、子どもたちがぽつりぽつりともらしてくれた言葉を使って、肯定的な言葉がけを心がけて対話していきましょう。

●子どものSOSに気づくための大切なポイントは2つ。
子どもたちは「助けて」とSOSを出したくても、どう伝えれば良いのかわからない。また、それより以前に、自分の状況を言葉で説明することも難しい。そんな状況で、大人からは「困った子」と思われてしまう方法で表現していることもあるのです。

子どものSOSに気づくために、以下のことを心がけましょう。

1つ目は、日頃から子どもの普段の様子をよく見ておくこと。上記4つのストレス反応を参考に「あれ?いつもと違うぞ」と気づいた時には、ご家族や普段よく子どもを見てくれる学校の先生や養護教諭、またはスクールカウンセラーなどに相談してみましょう。

2つ目は、お子さんの好きなことや興味があることなど、少しの時間で良いので親子で一緒に対話する時間を作っておきましょう。この対話が子どもたちのSOSを出す力を育んでいきます。子どもたちのコミュニケーション力は一足飛びに上達する訳ではなく、そんな日々の積み重ねで少しづつ成長していくのです。

最後に、コロナ禍や自然災害など何が起こるか分からない現代で、気持ちに余裕がなければ子どもたちのSOSにも気づけません。子どもたちをしっかりケアするためには、皆さんご自身の心の安定も大切です。ご自身とご自身の時間も大切にお過ごしください。
土居和子
広島県教育委員会 スクールカウンセラー
広島県乳幼児教育支援センター 
保育ソーシャルワーカー
東広島市教育委員会 
スクールソーシャルワーカー
修道大学 非常勤講師
ココロトモニ(オンラインペアトレ講座主宰)代表
その他 
ペアレントトレーニング、NPプログラム、
BPプログラムなどの保護者向け子育て講座
ティーチャーズトレーニング、
事例検討会などの保育士や幼稚園教諭向けの研修会
小中学校教員向けの研修会など

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