子育てアドバイス

【よくある相談シリーズ】うちの子、話をあまりしなくなりました…。


これまで学校のことや友達のことなど、何でもよく話をしてくれていた子どもの口数が減って、あまり話をしてくれなくなったら、心配になりますよね。親としては原因が知りたくなって、「どうしたの?」「学校でいじめられてるの?」「先生に怒られた?」など、質問攻めにしてしまうことも多いようです。でも、子どもは「ううん」「別に」「普通」などあいまいな返事をするか、黙ってその場からいなくなるか、イライラして怒り出すかではないでしょうか。そして、返事をしない子どもを「態度が悪い」と怒ってしまい、後から、うまく対応できなかったと落ち込むこともよくあることと思います。

 

 

●急に話をしなくなった時は、まず観察してみましょう。

子どもが急に話をしなくなった背景に、何らかのストレスを抱えたり、友人関係のトラブルや、いじめや虐待・犯罪などの被害にあったりすることも否定できないので、注意深く観察しましょう。日頃の親子関係に問題がない場合、困った時にはきっと話してくれるはずと思いたいところですが、本当に困ったことが身のまわりに起きた時は、案外、子どもから親には話せないものなのです。「告げ口してはいけない」「仕返しなどが怖い」「口止めされている」「親に弱い自分を見せたくない」「親に心配をかけたくない」「親に怒られそう」など理由は様々です。このような気持ちの時にいきなり問い詰めても子どもは答えてくれません。子どものことを知るには、話を聞く以外にも、行動や表情を観察する方法が有効です。次のようなことはないか気をつけて観察してみましょう。

 

もし、こうした項目に該当する場合は、まず子どもに、親は子どもの味方であることと、心配していること、いつでも話を聞く用意があることを伝えましょう。その時、すぐに話してくれなくても、こうしたメッセージを繰り返し伝えて、話を聞くチャンスをうかがいます。特定の場所に行きたがらない時は、そこで何らかの被害を受けているおそれがあるので、無理強いしないようにしましょう。そして、学校の先生や、クラスメートや遊び友達のおうちの人から学校の様子、クラスの雰囲気などの情報をもらうなどしながら、見守りを継続しましょう。

 

 

●思春期の到来かもしれません。

親の前では無口でも、食欲はいつもどおりで、よく眠れていて、自分の好きなことは楽しめているようなら、口数が減る原因は、思春期の到来かもしれません。思春期を迎えると、これまで親に何でも話していた子どもが、親との距離をとって、親に内緒の自分だけの世界を持つようになります。それは自立に向かう成長のひとつのステップとして大切なことなのです。

うちの子はまだ小学生で甘えん坊だから、思春期なんてまだ先と思っていても、思春期は親には見えないところで、思いのほか早く始まります。9歳くらいからすでに思春期に突入する子どももめずらしくありません。「大人に言われるとおりにやるのは嫌だ」「放っておいてほしい」という思いと、まだ親に「甘えたい、かまってほしい」という思いが、日替わりで、あるいは時間毎に入れ替わってあるのが思春期はじめのころの姿です。

行動範囲も拡がっていきますが、一挙手一投足を把握しようとするより、同じ学校や近所の友人と一緒か、いつもの範囲(時間、場所)内の行動かなど大きな枠組みを持って見守る姿勢が有効です。この場合も親同士のネットワークがあって情報交換できると安心ですね。注意が必要なのはスマホを介するなどして、年齢や住む場所の離れた見知らぬ人とつながり、犯罪など危険にさらされることです。注意喚起するときに、「○○したらダメ」と親から一方的に言うより、「友達から相談を受けたら、教えてあげられるように知っておくといいよね」とか「親自身も気をつけようと思う」など工夫しながら情報提供すると、思春期の子どもにも受け入れやすいようです。

 

 

●話をしてくれる親子関係のための
 「アイ(愛&I)メッセージ」


親は子どものためを思って「○○しなさい」、「こうしたらいいよ」など指示を出したり、心配して質問をしたりしがちです。指示に従わない、質問しても答えてくれないと感じたら、指示や質問を控えてみましょう。そして、指示や質問の代わりに、「アイ(愛&I)メッセージ」を使ってみましょう。子どもとの関係を良好に保ちつつ、親の気持ちや考えを伝えることに役立ちます。

まず、1つ目は「アイ(愛)メッセージ」です。子どもは親から「注目」してもらうのは大好きです。そして、親は愛を持って子どもを見ていることを伝えるのが「アイ(愛)メッセージ」です。小さい子どもは親に「みてみて」とよく言いますが、少し大きくなって指示や叱責に反発する時期でも、親に注目してほしい気持ちは同じようにあります。ただ、大きくなるにつれ、親が子どもに注目するのは、宿題をしていない、きょうだいげんかをしたなど、親からみて問題がある時になりがちです。そして、注意や叱責の声掛けをすることになります。すると子どもにとっては親からの注目がネガティブな印象になってしまいます。

「アイ(愛)メッセージ」では、普段見過ごしがちな当たり前のことに注目し、それを子どもに伝えるのがポイントです。朝起きてきた、学校から帰ってきた、ごはんを食べた、どれも当たり前のことです。そういう時に、親から子どもに「〇〇ちゃん、おはよう」「○○ちゃん、お帰り」「全部食べてくれて嬉しい」など言葉にしてみましょう。名前を呼ぶこと、「ありがとう」を伝えること、「○○しているね」などで、親が子どもをポジティブに見ていることを伝えましょう。子どもに親から愛され見守られていることが伝わります。そして、それは困ったことが起きたときに相談してくれる親子関係の基盤にもなります。

2つ目は「アイ(I)メッセージ」です。親から子どもに、気になる行動を注意したり指示を伝えたりしたい時は、「○○したらダメ」「○○しなさい」ではなく、「私(I)はこう思う。あなたはどう?」「私(I)はこうしてくれるとうれしい」というように伝える方法です。子どもになにか訊ねたいときも同様に、「おとうさん(または、おかあさん、I)は、君が○○について話してくれるとうれしいな」と投げかけます。子どもがどうするかは子ども自身に委ねることになります。このような親自身を主語にしたメッセージが「アイ(I)メッセージ」です。指示に従わない時期の子どもでも、「アイ(I)メッセージ」で伝えられると、親に信頼されていることが伝わり、自分で考えて行動するようになりますし、親の考え方を理解することができます。

最近、子どもが話をしてくれないなあと感じたら、是非「アイ(愛&I)メッセージ」を試してみてください。

 
小畠由香
安田女子大学教育学部児童教育学科准教授
臨床心理士・公認心理師
児童相談所で児童福祉司・児童心理司として勤務し、子ども虐待対応や子どもの心のケアに携わってきた経験を活かして、子ども家庭福祉を担当している。

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