健康基礎知識

【素朴な疑問シリーズ】Q.「ブラキシズム」って、なぁに?


●「ブラキシズム」とは…。
噛むための筋肉が何らかの原因で異常に緊張し、歯をこすり合わせたり、くいしばったり、連続的にカチカチと噛み合わせる運動のこと。いわゆる「歯ぎしり」や「くいしばり」で、ストレスが関与しているといわれています。

心哩的ストレスによって身体には色々な影響がでます。例えば、心配事が続くと胃がもたれたり、痛くなったりという話はよく耳にします。しかし、口やその周囲への影響については、あまり知られていません。でもちょっと思い出してみてください。「歯ぎしりをして悔しがる」「緊張すると口が渇く」という経験はありませんか。このように口の中は情緒の変化やストレスに反応がとても敏感な場所なのです。特に「歯ぎしり」や「くいしばり」は「ブラキシズム」と呼ばれ、歯や口に様々な影響を及ぼすことが指摘されています。

子どもの乳歯から永久歯への生え変わり時期に起こる「歯ぎしり」は、噛み合わせを調整する意味で必要ですが、注意したいのは、永久歯が生え揃ってからのも「歯ぎしり」が治らない場合です。

 
●ブラキシズムの種類
●気づきにくい「ブラキシズム」
「ブラキシズム」は、睡眠中や昼間に無意識に行われています。このため自覚している人は少なく、他人から指摘されて初めて気づくことが大半です。 中には「くいしばり」など音が出ないタイプもあるので、一層わかりにくいことがあります。 
●「ブラキシズム」の力
睡眠中の「ブラキシズム」をするときの力は、 普段思い切り噛んだとき以上の力になることもあり、奥歯では1㎠あたり約70~80kgの力が加わるといわれます。
●「ブラキシズム」の原因
「ブラキシズム」のメカニズムについては、まだ十分には解明されていません。ストレスがあったり歯の噛み合わせに異常があったりすると、「ブラキシズム」は増悪するといわれています。さらに、飲酒やある種の治療薬(パーキンソン病など)でも「歯ぎしり」が誘発されるという報告もあります。 
 
●「ブラキシズム」の影響
「ブラキシズム」は、歯に非常に強い力を加えるため、徐々に歯を支える骨が吸収し、歯が揺れてきます。歯周病のある方に「ブラキシズム」が合併すると、さらに重度の歯周炎に進行しやすくなります。また、最新の研究では、「ブラキシズム」をしている人は、していない人に比べて、2.5倍も顎関節症に曜患しているという報告もあります。さらに、「ブラキシズム」は睡眠障害をおこし、浅い睡眠と関連性があるともいわれています。
●「ブラキシズム」のセルフチェック方法
以下のチェック項目の3つ以上にあてはまる場合は、「ブラキシズム」の可能性が高いと考えられます。口の中の異常に気づいたら、かかりつけ歯科医院に相談してください。 
 
●自分でできる「くいしばり」へのアプローチ
●ステップ1 気づきましょう。
何かに夢中になっているときなどに歯を合わせたり、くいしばったりしていませんか。食事中や会話をするとき以外、上下の歯は1㎜程度の隙間が あるはずです。しかし、いつも歯を合わせていることが正常だと誤解し、常に意識してくいしばっている方や、習慣として無意識に歯を合わせている方がいらっしゃいます。これは「歯列接触癖」と呼ばれ、顎関節に悪影響を及ぼすことが指摘されています。「歯列接触癖」がある方は、自分の癖に気づくのが、まず第一歩です。 

●ステップ2 実行しましょう。
噛みしめに気づいても、癖というのは無意識にしてしまうので、なかなか止められません。 そこで、目につく場所にメモや力ラーテープなど目印をつけ、それを見たら思い出し、歯 を離すようにしましょう。 また、就寝前に「歯を噛みしめない、くいしばらない」などと 繰り返し唱えること(自己暗示療法)も就寝中のブラキシズム防止に効果的です。
【監修】広島県歯科医師会
◎広島県歯科衛生連絡協議会「メンタルヘルスからみた歯と口の健康」(https://www.hpda.or.jp/upload/a-n03.pdf)を加工して作成。

【素朴な疑問シリーズ】Q.「顎関節異常」と診断されました。


●まずは、かかりつけ歯科医に相談しましょう。
歯科検診で「顎関節異常」と判定されるお子様が、年々増加傾向にあります。しかし、歯科検診後、歯科医に受診されることが少なく、そのまま見過ごされていることが多いようです。放置しておくと、口が開きにくくなったり、顎関節部が痛くなったりすることがあります。そうならないためにも、かかりつけ歯科医療機関に相談されることをおすすめします。
成長期にある低年齢の子どもは骨格形成が盛んで、状況の変化に顎関節が柔軟に対応するため、顎関節の異常があっても症状が長続きせず、多くの場合、見逃されてしまいます。柔軟性があり、本人にまだ自己修復能力があるうちに、周囲の大人が気づき、適切な指導や治療につなげることが必要です。
●「顎関節異常」になりやすい生活習慣とは…。
成長期にあるお子さんの「顎関節異常」は、お口の周辺の癖や普段の姿勢が原因であり、それらを取り除くだけで症状がなくなることが多いと言われています。次のような生活習慣は、顎関節に負担をかけることにつながります。早期に気づいて指導の参考にしてください。

❶いつも同じ方向を向いて眠る・うつ伏せで眠る
眠っているときにいつも同じ方向を向いたり、うつ伏せでいると、同一方向から顎関節に異常な負荷がかかり、顎関節を痛めてしまうことがあります。


❷頬杖をつく
勉強中や家庭でテレビを見るときに頬杖をつく癖があると、顎関節に負担をかけることになり、顎関節を痛めてしまうことがあります。


❸眠っているときの歯ぎしりやくいしばり
睡眠時の歯ぎしりやくいしばりは「顎関節異常」を発症させることがあります。睡眠中は脳による制御の無い状態になるので、強い力で左右に顎をゆすって上下の歯をすり合わせたり、力いっぱいかみしめることになります。その結果、顎関節周辺に過度の負荷がかかって周囲の組織を痛めます。

❹下顎を突き出したり無理に左右に動かす
下顎を前に突き出したり、無理に顎を左右に動かすような習慣がつくと、顎関節に負担をかけます。

❺食事のときに片側だけでかむ
かみ合わせが悪かったり、むし歯などが原因で、両側でかむことができずに片側だけを長い間使用したりすると、顎関節の一方だけに負担がかかり、周囲の組織を痛めてしまいます。
 

❻姿勢が悪い
頭を常に前方に傾けた「猫背」と言われる姿勢を続けたり、イスに座っているときにいつも足を組んでいると、前後左右にねじれた力がいつも頸部にかかるようになります。その結果、咀嚼筋や頸部の筋にこりや痛みを引き起こし、「顎関節異常」の原因になることがあります。
 

❼楽器の演奏などで顎に無理な力がかかる
バイオリンを弾く際には肩と顎でバイオリンを挟んでおかなければなりません。長時間練習する場合には、 顎関節に強い負担がかかることがあります。また、トランペットやホルンなどの管楽器を吹く際にも、口の周りには強い緊張が必要です。また顎を後方に押し下げてしまう方向に強い力がかかり、顎関節に大きな負荷をかけることがあります。
 
●「顎関節異常」を予防するには…。
❶しっかりかんで食べること
硬いものを食べずに、柔らかいものばかりを食べると、顎の筋肉や骨の発達が不十分になります。 
❷悪い癖をやめること 
長時間にわたり顎関節に大きな負荷をかける生活習慣(前述)を改善しましょう。 
【監修】広島県歯科医師会


◎広島県/広島県歯科衛生連絡協議会「顎関節異常対応マニュアル」
(https://www.hpda.or.jp/upload/gakkohoken_gakukansetsu_manyuaru.pdf)を加工して作成。

【素朴な疑問シリーズ】Q.「ファブリー病」って、どんな病気?


●「ファブリー病」とは…。
「ファブリー病」は、細胞内での糖脂質の分解に必要な酵素が生まれつき足りないために、全身の細胞に糖脂質が蓄積する先天代謝異常症です。この病気は、幼児期や学童期に鋭い手足の痛み、汗をかかない、おしりや陰部の赤紫色の発疹、頻回の腹痛や下痢といった症状があります。特に手足の痛みは、ストレス、高温や疲労で引き起こされ、痛みにより運動ができなかったり、不登校になったりすることもあります。これらの症状を放置しておくと青年期や中年期になって腎症状(蛋白尿、腎不全)、心症状(心臓の肥大、不整脈)、脳の症状(脳梗塞、脳出血)が出現し、年齢とともに症状が重症化していきます。 ※1
●症状が進行する前の、早期の診断が重要です。
「ファブリー病」が疑われる症状があるとき、男性は、酵素活性検査でα-ガラクトシダーゼの活性なしまたは活性が低い場合に「ファブリー病」と診断されます。女性は、酵素活性の低下がみられなくても、「ファブリー病」ではないと断定できないため、遺伝子検査で確定診断が行われます。 ※2 ※3

「ファブリー病」は、X連鎖劣性遺伝という形式の遺伝病です。患者さんのほとんどは男性ですが、女性でも発症することがあります。お子さんがこの病気と診断された場合、親御さんが「ファブリー病」の保因者の可能性があります。その場合、遺伝カウンセリングや遺伝学的検査を受けることができます。 ※1

ちなみに、「ファブリー病」は、国の社会保障制度で、「指定難病」および「小児慢性特定疾病(18歳未満)」に指定され、医療費助成制度等の対象となっていますので、助成費制度について詳しく説明を受けたい場合は、病院のソーシャルワーカー、医事課、医師などにお気軽に相談ください。 ※3
◎※1  国立研究開発法人国立成育医療研究センター「ファブリー病」
(https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/010.html)から引用。
◎※2  sanofi「ライソライフ ライソゾーム病といっしょに。」
(https://www.lysolife.jp/)から引用。
◎※3  国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院腎臓内科「ファブリー病について」
(https://www.hosp.ncgm.go.jp/s006/010/fabry.html)から引用。
◎公益社団法人日本眼科医会「目の健康啓発マンガ ギガっこデジたん!活用マニュアル」

(https://www.gankaikai.or.jp/info/giga_manual.pdf)を加工して作成。

【素朴な疑問シリーズ】Q.「ディスレクシア」かもしれないと不安です。


●「ディスレクシア」(発達性読み書き障害)とは…。
「ディスレクシア」は、学習障害のひとつのタイプとされ、全体的な発達には遅れはないのに文字の読み書きに限定した困難があり、そのことによって学業不振になったり、二次的な学校不適応などが生じる疾患です。1896年に英国のMorgan先生が最初に報告しました。知的能力の低さや勉強不足が原因ではなく、脳機能の発達に問題があるとされています。そのため発達障害の学習障害に位置づけられており、2013年に改定された米国精神医学会の診断基準(DSM―5)では、限局性学習症(いわゆる学習障害)のなかで読字に限定した症状を示すタイプの代替的な用語として「dyslexia(ディスレクシア)」を使用しても良いことになりました。読字に困難があると当然ながら書字にも困難があります。そのためわが国では「発達性読み書き障害」と呼ばれることもあります。以下に初期症状をまとめて示しましたので、参照してください。
※1

●文字が読めないわけではありません。
根底には音韻処理困難があり、表記された文字とその読み(音)の対応が自動化しにくく、それを司る脳機能の発達が未熟であるとされています。ここで留意しておきたいことは、「ディスレクシア」の子どもでは文字が読めないと表現されることが多いのですが、これが誤りであり、正しくは読むのが極端に遅いし、よく間違えるという表現になるという点です。1文字を読むのに時間がかかり、間違えることもあるといった状態では、読むだけで疲れてしまって、意味を把握する段階まで至りませんし、読書に対する拒否感が生じてしまうことになります。その結果、語彙や知識が不足して、学業不振が著しくなっていきます。さらには心身症や不登校といった二次障害の状態になってしまうこともあります。 ※1
●学齢期の初期に気づき、早く対応することが大切です。
「ディスレクシア」は、学齢期の初期に対応することで、症状を大幅に緩和することができます。「国立成育医療研究センター」のディスレクシア外来は、「ディスレクシア」の診断と治療を行う全国の国公立病院で唯一の専門外来です。全般的な発達の遅れはなく、文字の読み書きに困難がある小学生の診療を行っています。本が読めるようになって子どもが自信を取り戻し、登校しぶりがなくなるなどの成果を挙げています。予約は予約センター(03-5494-7300)でお願いします。

なお、「国立成育医療研究センター」のディスレクシア初診外来を受診する際には、以下のすべてにチェックが入ることが前提となっています。ご確認の上、これらを網羅した紹介状を受診時に持参してください。 ※1 ※2
◎※1  国立研究開発法人国立成育医療研究センター「ディスレクシア」(https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/007.html)から引用。
◎※2  「児童・思春期メンタルヘルス診療科」(https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/heart/hattatsu.html)から引用。
◎公益社団法人日本眼科医会「目の健康啓発マンガ ギガっこデジたん!活用マニュアル」

(https://www.gankaikai.or.jp/info/giga_manual.pdf)を加工して作成。

【素朴な疑問シリーズ】Q.すぐに病院に行くべきか迷ったとき、どうしたらいいですか?

夜間に子どもの急な病気やケガで、「救急車を呼ぶべき?」「今すぐ病院に行くほうがいい?」「翌朝まで待っても大丈夫?」など、判断に迷った時には、下記で電相談できます。
 
●「こども医療電話相談事業」【#8000事業】とは…。
夜間のこどもの症状にどのように対処したらよいのか、病院を受診した方がよいのかなど、判断に迷った時に、小児科医師・看護師に電話で相談できるものです。

この事業は、全国同一の短縮番号「#8000」をプッシュすることにより、お住まいの都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院などのアドバイスを受けられます。(看護師・保健師が対応し、状況によって小児科医師が対応します。)
 
◎厚生労働省「子ども医療電話相談事業について」
(https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html)および公益社団法人日本小児科医会「令和3年度#8000情報収集分析事業報告書」
(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001024731.pdf)
を加工して作成。
◎公益社団法人日本眼科医会「目の健康啓発マンガ ギガっこデジたん!活用マニュアル」

(https://www.gankaikai.or.jp/info/giga_manual.pdf)を加工して作成。
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