小学校高学年頃から、子どもの心と体が、大人へと近づく変化が現れ始めます。どのような変化があるのか、保護者としてどのような準備や心構えが必要なのか。気になっていても、デリケートな問題は誰に聞いて良いかわからないことも多いものです。今月は男の子について、先月に引き続き、広島都市学園大学の養護教諭であり看護師の高橋尋子先生に聞きました。

　ほとんどの小学校では、小学3年時に性教育を取り上げ、精通についても学びますが、突然経験して「おしっこをもらした」と慌てることもあります。本人が驚いていたら、「心配しなくてもいいから、これからも汚れたらパンツを変えようね」と声をかけてあげましよう。もちろん、お母さんに言えない場合もありますので、洗濯時に下着を見て、成長に気付くこともあります。
　また、たまたま触ったり当たったりしたことで、自慰行為を覚えることもあります。隠しているようであれば、成長の証と思ってそっとしておいてあげましょう。どうしても心配な場合は、まずは父親に相談してみると良いかもしれません。むやみに騒ぎ立てると、かえって後々の性癖に関わることもあります。
　近年、心配されることは、悪質なアダルトサイトなどに巻き込まれること。これについては、インターネットを利用するようになった時から、個人情報が漏れたり、莫大な金額を請求されることのあるリスクを伝え、フィルタリングなどを活用しましょう。

　早い子では、小学校高学年から声変わりが始まります。風邪を引いたかな、という感じで声が変化し、半年から一年ほどかけて落ち着いていきます。声が出しにくく、カラオケなどで歌うことを嫌がったり、自分の声が嫌で、無口になり話さなくなってしまうこともあります。お母様によっては、かわいかった声が変化することにショックを受けることもありますが、これも成長の証と思い、本人にも気にしないように声をかけてください。
　また逆に、周りの友人の声が変わる中で、自分だけがいつまでも声が高いことにコンプレックスを感じるケースもあります。これらも個人差があるので、気にし過ぎないように配慮を。

　すね毛などの体毛が徐々に濃くなってきます。特にひげは目立ちますので、気になってきたらお母様の顔そり用のシェーバーなどで手入れしてあげると良いでしょう。
　また性器も変化してきますが、清潔に保つことは大切。まだ抵抗のない小さいうちから、お風呂に入った時は痛くない程度に性器の先を剥いてきれいに洗うように伝えておきましょう。
　ホルモンの変化によって本人も感情のコントロールが難しくなる時期です。男の子の場合、「くそはばあ」などの暴言は親離れの通過儀礼くらいに考えておくと楽だと聞いたことがあります。あまり振り回されず、上手に親離れ、子離れの準備を進めていけると良いですね。
　女の子のケースと同様に、お風呂に一緒に入るうちは、体の成長ついて話すいい機会でもあります。また、母子家庭などで、お母様が息子さんの成長に関して話しづらいことがある時は、学校の男の先生や保健室の先生に相談してみてください。