【てつたま】京の街を走る京福電鉄「KYOTRAM」受賞記念 開発秘話第2弾 「京紫」こだわりの内装

9/9(水) 18:30

【野川諭生アナウンサー】
GKデザイン総研広島の快挙。

ブルーリボン賞受賞の第2弾です。

今回は受賞した車両の中を中心にお伝えしますよ。

【GKデザイン総研広島デザイナー 鈴木スバルさん・野川アナ】
野川)「この度は鉄道友の会・ブルーリボン賞受賞、おめでとうございます!」

2026年のブルーリボン賞を受賞したのが、GKデザイン総研広島のデザイナー、鈴木スバルさんが手掛けた『KYOTRAM』。京都唯一の路面電車・京福電鉄の24年ぶりの新型車両でした。

【GKデザイン総研広島デザイナー 鈴木スバルさん・野川アナ】
野川)「ここからは内装について伺っていきますが・・・。たくさんご用意いただいたものが、私たちの目の前に広がっているんです」

机に並べられていたのは、壁や床、椅子など、微妙に色や形、デザインが異なるKYOTRAM用の内装資材です。
これらを組み合わせて、車両の内装デザインを作り上げました。

【GKデザイン総研広島デザイナー 鈴木スバルさん・野川アナ】
野川)「まずはモケット生地から伺います」
鈴木)「今回、全部で7両しか作らない車両なので、あまりオリジナルの素材は使えないんですよ。でも、やっぱり特徴は出していきたいし、車両ブランドを作っていきたいと思っていたので。モケットは糸に染色していくので、例えばデザインした紙を出して作ってもらっても、色は結構ずれるし、実際のものにして検討していくのですが、これくらい試作を重ねています」
野川)「見ていくと細かく、細かく。ちょっとずつ色合いが違いますね」
鈴木)「そうなんです」
野川)「紫って、我々普段ひとくくりで言いがちですけど、こんなに色合いが違うんだなと」

【GKデザイン総研広島デザイナー 鈴木スバルさん・野川アナ】
鈴木)「そうですね。網代格子っていう伝統的なパターンなんですけど、竹細工で使われる柄ですね。嵐山は竹林が非常に有名なので、そういう意味も込めて、この網代柄をベースにして。
ポツポツポツと柄があると思うんですけど、これ今回KYOTRAMがデビューする時に合わせて作った新しいマークで、嵐電のシンボルマークなんですよ。
皆さんに覚えてもらいたいたかったので、座席にあまりうるさくない程度に。嵐小紋(らんこもん)という名前にしたんですけど、あしらって」
野川)「紋が…嵐小紋が、わっと浮き上がっているものもあれば、もうちょっとこう…」
鈴木)「さすが!この違いは結構大きくて、実はこちらの荒れている方をチョイスしているんですよ。柄は綺麗に見えるけど、ちょっと風合いというか。
座った時の感触がこっちのが柔らかいんですよ、毛が縮れていて。最終的に荒れた方を選んでます。その中で柄が一番見えるものをチョイスしてます」
野川)「ちなみに、この中から『これになったんですよ』というものをパッと選べるものですか?」
鈴木)「すごい。きょうイチの難題が…(笑)」

パーツごとに様々な検討を重ねて、出来上がった内装デザインがこちら。

モノトーンをベースに、随所にイメージカラーの京紫をアクセントとして配置。
落ち着いた空間の中に、京都らしい華やかさも演出しています。

【GKデザイン総研広島デザイナー 鈴木スバルさん】
鈴木)「優先席って目立つ色を使って、一般席の方に(会社の)ブランドのカラーを使うというのが一般的なんですけど、今回は京紫のブランドカラーを優先席に、あえて使ったんですよ。
ちょっと目立つんだけど、ブランドカラーなので空間に馴染んでいて、優先される方もドギツイ色のところに行くわけじゃなくて。
一番優先しているというのを表現したかったのと、空間を少し明るくしたかったんですよ。
割と落ち着きのある色で空間をコーディネートしたので、座席は明るくということにチャレンジしています。
天井も、色の話は先ほどあったんですが、これも断面が実は肝でして、側面に向かっていくところがカーブを描いているんです。
先頭の形じゃないですけれど、そういうのをテーマにしていまして、照明が広がるんですね。
ここに照明があって、広がっていくような設計になっているので、室内は明るくなります。
ちょっと細かいですけど、車内にある注意書きや、案内のためのもの、非常用のものも全てデザインしていまして、考え方としては壁色に揃えていくとか、非常用のものは目立つようにするんですけど。
なるべく壁色に合ったコーションラベルをつけていくようにしたりして、マッチングを考えています。

【GKデザイン総研広島デザイナー 鈴木スバルさん・野川アナ】
鈴木)この絵でいくと、例えばこういうところに出てくる案内は壁の色に合わせるとか、路線図とかもそうですね。貼り付ける壁側に色を合わせていく。
優先席等は座席の色と合わせて京紫で少し見えてくる、目立つ。
非常用のものは赤にするんですけど、なじみながら、それぞれの機能の中で目立たせ具合の差をつけていくというものにして。
結構シールがワッと(貼られて)、うるさくなるケースもあるじゃないですか。
どれを見たらいいのか分からなくなってしまうのをランク付けとか、なじませ具合の差をつけてやっています」
野川)「情報量がたくさんあるのにすっきりしているといいますか、そのあたりが統一感というところですか」
鈴木)「そうですね、気をつけたところです」

さらに鈴木さんは同じ京都を走る叡山電鉄の観光列車『ひえい』もデザインしていました。
2018年にデビューしたこの車両も、ブルーリボン賞に次いで名誉ある賞、ローレル賞を受賞しています。

【GKデザイン総研広島デザイナー 鈴木スバルさん・野川アナ】
野川)「ある意味、『ひえい』との兄弟感といいますか、そんなところも意識しているということですか」
鈴木)「おおもとの形はちょっと似ている。単車であることとか、同じ場所(京都)というのがあるんですけど、あちらも住宅街を走るし、でも観光も、ということで。
あちらは観光の比重を多くしましたけど、こちら(KYOTRAM)はもっと街に、ということで。
同じような形式でちょっと特徴が強いものと、こういったスタンダードになれそうなものという、その2つが僕の中で対になった存在でいますね」
野川)「そうなると鈴木さんのデザイナー人生において、KYOTRAM(モボ1型)はどういった立ち位置の車両ですか?」

【GKデザイン総研広島デザイナー 鈴木スバルさん・野川アナ】
鈴木)「この時はやっぱりやり切っているので、一番良かったと思うんですけど、いま思うと『こうしたかったな』というものはもう既に湧いてきたりして。『代表作です』というのもあるかもしれないですけど、でもいまの方がもっと良くできそうな気もする。ちょっと適切な言葉が浮かばないですけど、当時としては一番良くできた物だと思います」
野川)「改めてKYOTRAMにはここから10年、20年先、どんな車両になってほしいですか」
鈴木)「デザインが発表されてから、ファン、住民の皆さん、絵を描いてネットに上げてくださっていたり、走り始めてからは街にKYORAM形のプランターを地元の人が作って置いてくれていたりとか。そういうことが起きてくると『すごく育っていっているんだな』という気もして、『愛してくれているんだな』と思えるので、グッとくるんですけど。
そういうのがずっと続くといいなと思っていますね」

こうしてデザインされた車両は運行開始から既に1年以上が経過。

KYOTRAMは京福電鉄の新しいスタンダードとして、さらに京の都の風景として街に溶け込み始めました。
伝統の京紫に丸みを帯びたデザインで末永く愛される車両になることでしょう!