【てつたま】京の街を走る!京福電鉄KYOTRAM開発秘話 祝!広島のデザイン会社がブルーリボン賞受賞

9/2(水) 18:40

鉄道の魅力を熱くお伝えする野川キャスターの「てつたま」です。

今年2月にお伝えした広島のデザイン会社、GKデザイン総研広島。
こちらがデザインした車両が、鉄道界で最も名誉ある賞『ブルーリボン賞』を受賞したということで取材してきました。

自動車業界でいうなれば、カーオブザイヤーにあたる賞なんですね。

この賞をとったということで行かないわけにはいかない、ということでデザイナーの方にお話を伺ってきました。

【GKデザイン総研広島 鈴木スバルさん・野川アナウンサー】
野川「失礼いたします。よろしくお願いいたします」
鈴木「こんにちは」
野川「この度は鉄道友の会ブルーリボン賞、受賞おめでとうございます」
鈴木「ありがとうございます」
野川「受賞が決まった時の気持ちというのは、いかがだったですか?」
鈴木「うれしかったですね。会社でその電話を受け取ったんですけど、社長に抱きつきに行きました!格別ですね。ローレル賞は取ったことがあったんですけど、ブルーリボン賞はやっぱりトップというのもあるし、一両だけの路面電車が受賞というのもかなり珍しいケースなので」

※ブルーリボン賞…鉄道友の会が前年に運行開始した車両から選び表彰。日本の鉄道界における名誉ある賞とされる

GKデザイン総研広島のデザイナー、鈴木スバルさん。
「嵐電」の愛称で親しまれ、京都市内を運行する京福電気鉄道の24年ぶりの新型車両のデザインを手がけ、見事2026年のブルーリボン賞を受賞しました。

【GKデザイン総研広島 鈴木スバルさん・野川アナ】
野川「『こんな車両を作ってほしい』というオーダーは、最初どんなところだったんですか?」
鈴木「その時は『嵐電のスタンダードを作りたい』というご依頼がメインだったと思います」
野川「その一言から『軸になる車両を作ってほしい』という願いが感じられますね」

それでは皆さんお待たせしました。

栄えあるブルーリボン賞を受賞した車両が、こちら。
前面の丸っこいフォルムにくりくりとしたライトが目を引く、何ともかわいらしいモボ1形。
愛称はKYOTRAMです。

実は、依頼を受けた当初は、全く違うデザインでした。

【GKデザイン総研広島 鈴木スバルさん・野川アナ】
野川「在来車に寄っている感じがありますね」
鈴木「そうです、そうです。2001型をベースに開発しようということは決まっていたんですよ。骨格をかなり残しながら・・・。
京福電鉄の社紋から発想したんですが、京都らしい柄というかマークだなと思ったので、雷紋のひし形を車両にという…」

正式にデザインの依頼を受けたあと、鈴木さんは京都の町を自分の目で見て回りました。
京福電鉄の新しいスタンダードにと行きついたのが、あの、丸いフォルムでした。

【GKデザイン総研広島 鈴木スバルさん・野川アナ】
鈴木「あれだけの観光地なので、特別感は出したかったんですよ。
でも日々の足でもあるということで、原点回帰というか。
京都らしい、嵐山らしい、というところは出したい。
街を歩いていると、この『京紫』が当たり前のようにいる。
住宅と住宅の間を通っていくし、ものすごく狭い駅があったり。
街との距離がめちゃめちゃ近くて・・・ということを見ていくと、現代的な、合理的に作られたインフラ的電車がこの街の姿に『マッチしているのかな』と疑問に思って。
もっとなじませたいし、距離を近づけたいと思ったんです。
本来的な路面電車の形というのを、こういう姿を見て思いつきました」

【GKデザイン総研広島 鈴木スバルさん・野川アナ】
野川「なかなか新しいスタンダードを作ってくれと言われて、あのKYOTRAMのフォルムになるのは、さすがプロフェッショナルのデザイナーさんだなと最終的に思いました。デザインをされていく過程というのは、まずフォルムから入っていくものなんでしょうか」
鈴木「嵐電さんがすでに『京紫』という象徴的な色を持たれていて、それで住民も認知していて。僕も街を見る中でとってもいい京都らしい色だなと思っていたので、それはしっかり使おうというのは思っていました。
でも新しく作る車両なので、白を多く使ったり、そこに合わせていく色は少し工夫したいなと思って計画しました。
ビジュアル的に見ると、『嵐電』で、もともと走っていた車両、実はちょっと丸くなってるんですよね。
今でも走っているポルトガルの車両とか、ちょっと建築的なんですよね」
野川「新しいようで、実は原点回帰になっている」
鈴木「そうです。それも京都らしいなと思ったんですよ。
京都って伝統的なものもあるし、かといって、それを守り続けている訳でもないじゃないですか。モダナイズしていって、どんどん新しいものも受け入れていくというような街だと思うので」

KYOTRAMは実際の運用に向けたデザインの変更や必要な装備が加えられ、デザインが完成に近づいていきました。

鈴木さんの『電車を町になじませようとする工夫』は随所に見ることができます。

天井のエアコン用コンプレッサーは丸いデザインを途切れさせない装飾パーツがつけられています。

そのこだわりは車両先端の丸さにも…。

【GKデザイン総研広島 鈴木スバルさん・野川アナ】
鈴木「進めていくにしたがって、ただ丸くすると、美しくないことに気づいて。
一つの丸じゃないんです。正面側の丸と、あともう少し大きなカーブで描いていってだんだんストレート。側面はやっぱり電車なのでストレートになるんですけど。
そこへ綺麗につながっていく様な、いくつかのカーブをつないでいって、組み合わさって…。」

【GKデザイン総研広島 鈴木スバルさん・野川アナ】
鈴木「ランプ。これも結構最初から丸くしたいなというのは当初から思っていたところなんですけど、ちょっとかっこいいだけじゃなくて、可愛くも見てもらいたいという思いもあって」
野川「キャラクター性を持つような感じですか」
鈴木「そうです。そうです。なのでこのランプは白目。白目というか、瞳に当たる部分が小さいとちょっと怖い目つきになってくるので」
野川「おっしゃっているのは、この部分ということですか?」
鈴木「その通りです、その通りです。それをいかに広くするかという事を考えていました。表情が随分変わるので。これはヘッドランプの部分です。
この白さを外側にもう少しLEDのユニットを増やして広げると。
外側の赤いのは尾灯とか、ストップランプ。それをちょっと薄くして、その分白い瞳の部分を大きくするというような調整をしています。
結構大変なんですよ、これ」
野川「確かに愛らしい、どこかキャラクター性を持ったような。一台一台、命があるような感じになっていますね」

まだまだ続くブルーリボン賞受賞、KYOTRAM開発秘話。
次回は内装のこだわりに迫ります。