高校生2人を含む新しい記帳者 原爆死没者名簿の風通しを見学 「一文字一文字、丁寧な思いで…」 広島

5/20(水) 19:45

平和公園の原爆慰霊碑に納められている「原爆死没者名簿」の風通しが20日、行われました。今年から公募で決まった死没者名簿の記帳者もその様子を見守りました。

20日午前、原爆慰霊碑に黙とうを捧げる人たち。
行われたのは、毎年この時期の恒例となっている「原爆死没者名簿」の風通しです。
毎年8月6日の平和記念式典を前に名簿の状態を確認し、慰霊への思いを新たにするために行われるもので、職員が名簿一枚一枚に風を通していきます。

名簿は広島で被爆し、去年8月5日までに広島市が把握した死亡者を含む34万9246人の名前が130冊に、登録されています。

毎年、その後新たに亡くなった被爆者の名前を記帳する作業が6月初旬から行われますが、これまで被爆者が担ってきたその役割を今年から高齢化などを理由に、初めて公募しました。

【広島市原爆被害対策部調査課・上本慎治課長】
「幅広い世代に記帳を通じて被爆者の思いや平和の尊さを実感してほしいと思います」

20日の風通しの場には、公募で選ばれた15歳から70歳の記帳者14人のうち12人が訪れその様子を見学しました。
参加者の中には高校生の姿も。

市内の高校に通う二人は中学1年生から書道部で活動しています。
2人は、一緒に平和活動も。

先月2人は、平和首長ユースとして外務省からNPT再検討会議に派遣されアメリカ・ニューヨークを訪れました。

【ノートルダム清心高校2年・林沙羅さん】
「核兵器の破壊力に対抗する最も強力な手段は軍事力の強化ではなく、互いに築き上げる信頼です」

ニューヨークでは、平和に関する発表を行うなど活動し、現地の同世代とも交流しました。

【石丸陽菜さん】
「他の国の方々も『小さな一歩でもいつか大きな力になる』というのを信じて活動しているということを聞けたので、それが私たちのこれからの活動にすごく後押しになる言葉だった」

こうした経験を重ねより強くした平和への思いも筆に込めたいと考えています。20日は風通しを見学後、記帳者の研修も行われました。

【被爆体験証言者・笹岡貞江さん(93)】
「火の玉になって落ちてきた。上空の温度は数百万度。地表面の温度は3000℃。から4000℃。人が死ぬのは当たり前です」

93歳の被爆者、笠岡さんの被爆証言に耳を傾けます。

【ノートルダム清心高校2年・林沙羅さん】
「12歳ときに被爆したという話を聞いて、私と年も変わらなくて大切な家族がなくなったという話を聞いて、それでも語り継いでいきたい思いとその思いを私たちに託してこれからも語り継いでいってほしい、伝えてほしいという思いを強く受け取ったことがとても印象的でした」

原爆資料館を見学するなど、被爆の実相を学んだ2人は、記帳に臨む決意を新たにしていました。
20日の研修には、これまで25年に渡り記帳をしてきた被爆者の中本信子さんも参加し見守りました。

【記帳者 被爆者・中本信子さん】
「本当に安心、託せる。意識をもって書こうとしている方がたくさんいらっしゃるので安心して託せる」

【ノートルダム清心高校2年・石丸陽菜さん】
「筆を使って一文字一文字、丁寧な思いを持ちながら文字を残せる記帳者になりたい」

新たな名簿の記帳は、来月初旬に始められる予定です。