巨大な橋脚、トンネルに残る岩盤…野川アナの鉄道遺構めぐり最終回 幻の鉄道「今福線」を歩く【てつたま】

3/18(水) 20:00

鉄道の魅力を熱くお伝えする野川キャスターの「てつたま」です。
広島と浜田を結ぶことを目指したものの、完成しなかった幻の鉄道『広浜鉄道今福線』の遺構めぐり。今回が最終回です。
それでは…出発進行!

島根県浜田市金城町の山中には、戦前と戦後、2度に渡って工事に着手しながら完成することはなかった広浜鉄道今福線の巨大な遺構が点在しています。

【今福線を守る会 岩崎 敏さん】
「新線はここで言いますと(あの建物が)2階建てですけど、ちょうどその半分くらいの高さ。今、我々が立っている所が旧線の路盤です」

前回はこの遺構を活かして地域の活性化を図る『今福線を守る会』の岩崎さんと一緒に、未成線・今福線の見どころを巡りました。
そして今回は、おろち泣き橋からおよそ3キロ。
今福第4トンネルからスタートです。

【今福線を守る会 岩崎 敏さん・野川アナ】
「ここは岩崎さんのおすすめスポットであるということでご案内いただきました」
「この今福線にはトンネルが12あります。そのうち、このトンネルが今福第4トンネル。こちらとウォーキング大会で歩いた第6トンネル。この2つしか中を歩くことはできません。80mありますけども、唯一の歩ける道。あるいは車が通れる道ということになります」
「ここ、車も通れるんですか?」
「通れます」
「すごい。美しい状態で残ってますね」
「そうですね。やっぱりアーチ橋ってすごいですね。鉄筋が全然入ってないですが、昔の人はよく考えて作られたと思いますね」

それでは、アーチ橋を渡って今福第4トンネルの中へ。

【今福線を守る会 岩崎 敏さん・野川アナ】
「向こうが見える位の長さのトンネルですけど、やっぱりちょっと空気がひんやりしますね」
「そしてここが珍しいのが、コンクリートを張ってないんですよ」
「ここは岩盤が残ってるんです。要するに強い岩盤であることから、コンクリートの節約ですね」
「不思議なくり抜かれ方をされてますね」
「そうなんですよ」
「これだけ固い地盤だったとすると、残したのも残したんでしょうけど、掘るのもなかなか大変だったでしょうね」
「大変だったと思いますよ」
「ここまで作ったのなら通してしまえばよかったのに、とも思いますね」
「そうなんですよ。そうなんですがやっぱり、戦時中の鉄の不足等々で叶わなかったんです」

「そして通り抜けると川のせせらぎが」
「通り抜けると、これが1連アーチ橋です」
「本当にここに路線が通っていて、それが旧線であれば、速さ優先というよりもゆっくり走るトロッコ列車でも走っていればねぇ…」
「もっとね、違ったと思いますよ」
「でしょうね。車窓からこの風や空気も直に感じれば、本当に美しいですよ」
「今からまた芽吹いてきますので。秋は秋でまた違う景色。非常にいいと思いますね。それで歴史を感じるのは、やっぱりこれです」
「本当だ、木が生えていますね」
「この橋ができてからもう85~6年。90年近くになりますので。ああいった物が歴史を感じますね」
「生えてくるんですね」
「生えてくるんです。植えたものではありません」
「あら、これはもうしっかり…」
「橋に生えてくるんですよね」
「すごいですね。その生命力と、そして経った年月の長さですよね。旧線は戦局の悪化・・・」
「そうですね」
「新線は国鉄、国の財政悪化。抗い難い理由でいずれも…」
「いずれも、ですね」
「いや、本当に惜しいですね、出来ていてくれれば」
「そうなんですよ」

遺構巡りの締めは、今福線の旧線で最も巨大な鉄道遺構です。

【今福線を守る会 岩崎 敏さん・野川アナ】
「ここが橋脚群といわれるところです。橋台が2つ、それから橋脚が4つあります。向こうの橋台からここの橋台までは90mあります」
「ひとつひとつ、まさに見上げる高さ・・・」
「そうなんですね」
「近くで見ると非常に迫力がありますね」
「ありますね」

橋を支える橋脚は、よーく見ると、形が2種類あることが分かります。

【今福線を守る会 岩崎 敏さん・野川アナ】
「真ん中の2つは、実は川の中にあります。陸上にあるのが四角いの。それから、川の中にあるのが丸い。川の流れ、(橋脚が)四角いと流速が落ちてしまいますので」
「丸い方が早く流れますもんね?」
「流れますね」
「ちょっと灯台のような、なかなか美しいフォルムです」

さらにこの場所には、地元の人たちが展望台を整備していました。
その景色というのが…

【今福線を守る会 岩崎 敏さん・野川アナ】
「視界が開けたと思ったら…ここに橋が架かる予定だったと。奥の方が広島側」
「広島側。画面の右側に向かって、曲がって行ってますね。いやー、ロマンですね」
「いやー、ここね。いいんですよ。眺めがね、非常にいいところです」
「ちょっとお弁当でも持って来てピクニックしたい位の素敵なスポットですよ、ここは」
「これだけの構造物が残っているというのがすごいですね」
「そうですね」
「ええ。約90年近く、こういった形が残っているわけですからね」

これだけの設備を建設しながらも、今福線が完成することはありませんでした。
負の遺産として忘れ去られようとしていた遺構は、地域の人たちの手により幻の鉄道として、いま、新たな歴史を刻んでいます。

【今福線を守る会 岩崎 敏さん・野川アナ】
「このウォーキング大会、私も堪能させてもらいましたけれども、今回で9回目。ここまで改めて振り返っていかがですか?」
「だんだんお客さんが増えて、これだけ広がるとは思いませんでした。ですからこの遺構を大事にしながら、我々の時代から次の時代に移っていくように地域おこしをやります、頑張ってね」