深刻なマイクロプラスチックごみ問題 「海洋プラごみ」ゼロを目指すプロジェクトに密着 広島

2/19(木) 20:30

フューチャースマイルプロジェクト特集。
今回は海に漂流する『プラスチックごみ』を無くそうと、立ち上がったある取り組みについてお伝えします。

2年連続で過去最多の観光客数を更新した「宮島」。
宮島観光の定番と言えば食べ歩き!みなさん、宮島の幸を堪能しています。

そして、食べ歩きで出たごみは…。しっかりとごみ箱に捨てていますね。
宮島では最新の技術を導入したごみ箱を設置したり、清掃活動が定期的に行われたりと、環境美化が進められています。

しかし、こうした努力の裏側で…

【山北陸斗ディレクター】
「もはや砂浜と言えるような状況ではありません。ペットボトルなど様々なごみが漂着しています」

宮島の東側「包ケ浦」の海岸は大量のごみに溢れていました。
県の調査によると昨年度、県内の海岸に漂着したごみはおよそ11トン。
内訳を見てみると、漁業関連のごみが6割、生活由来のごみが3割と、ほとんどが自主的に減らせるものばかりです。
こうしたごみが増えると懸念されるのが…。

【山北陸斗ディレクター】
「海岸から少し離れた場所ですが衝撃的です。こちら小さくなった発砲スチロールが山のように積み重なっていて、こういったプラごみまである状況です」

ごみが小さく砕けた「マイクロプラスチック」の問題です。
「マイクロプラスチック」は自然に分解されにくく、環境に残り続ける可能性があります。
動物医療の専門家は「マイクロプラスチック」による生態系への影響は計り知れないと指摘します。

【宮島水族館 獣医師 滝導博さん】
「見えないレベルまで、ごみ・プラスチックが分解された結果、体の奥の奥まで、脳の方までいってしまうなど、今後悪影響が出るかもしれないという報告が出てきている。魚に限らず、食物連鎖の関係で食物連鎖ピラミッドの上にいる人間などは、より悪影響が出る可能性がある」

こうした「マイクロプラスチック」の被害を未然に防ごうと、去年の秋、宮島周辺である取り組みが始まりました。
その名も「ACTION FOR ZERO Miyajima」。
2050年までに瀬戸内海へ流出する海洋プラスチックごみをゼロにすることを目指し、その1つとしてプラスチックに代わる容器を官民一体で普及させています。

【広島県 環境県民局 環境保全課 秋山日登美 課長】
「宮島は観光客が非常に多い。それに伴ってプラスチックがかなり出ている。そうすると逆に何が起こるかというと、ポイ捨て・置き捨て。(ごみが)海に流れていって、海洋ごみに繋がる現状があった」

実際に開発された商品がこちら!
ドリンクカップや歯ブラシなど一見、普通の商品と変わりませんが…。

【広島県 環境県民局 環境保全課 秋山日登美 課長】
「実は環境の中で分解される生分解性のプラスチックになっている」

広島市中区にある「シンギ」環境に配慮した容器などを取り扱い、今回、特殊なドリンクカップを手掛けました。

【株式会社シンギ 河村伸枝さん】
「トウモロコシやサトウキビを原料とした植物由来のバイオマスプラスチックになっている」

このカップは、温度や湿度など一定の条件がそろうと、微生物などの働きで分解され、最終的に水と二酸化炭素へと、分解されます。

【株式会社シンギ 河村伸枝さん】
「従来よく使われているのはPETカップと呼ばれるペットボトルなどと同じ原料で使用されているカップだが、紫外線などで劣化することはあるが、分解されることはない。(新しいカップは)適切な処理をすることによって分解される商品なので、消費者の協力をいただいたうえでそういったことが実現できればマイクロプラスチックにはなりにくいと考えている」

こうした環境に優しい製品の導入が、宮島周辺で広がっています。
宮島口のフェリーターミナルすぐ横にある「宮島コーラルホテル」。

【宮島コーラルホテル 支配人 田村義和さん】
「こちらが従来のカップで、こちらが今回の事業のカップです。若干柔らかいが利用客には支障はない」

館内にあるカフェで新たなカップを使っているほか、ホテルのアメニティ、アルミ缶に入ったドリンクなどを提供しています。

【宮島コーラルホテル 支配人 田村義和さん】
「温暖化で夏場が暑い状況であるのも年々感じているので、その分少しでも手助けになればと思う」

今回の取り組みに意義を感じていますが、『事業者ならでは』の不安も抱いています。

【宮島コーラルホテル 支配人 田村義和さん】
「環境に良いといってコストが上がり、価格に転嫁してしまうと意味のないものになる」

今回の商品は希少性が高く、流通量も少ないため、いずれも従来品より費用が高くなっています。

【宮島コーラルホテル 支配人 田村義和さん】
Q:値段が上がることはどう感じる?
「この活動が広がれば(商品が)大量につくられ、流通コストが下がって、価格も下がってくると思うので、こういった商品を使うことで宿泊客が調べて、少しでも環境に対する意識が高まればいいと思う」

【広島県 環境県民局 環境保全課 秋山日登美 課長】
「負担が増える分については、導入支援をしている。ただ永遠に導入しているわけにもいかない。最終的には消費者の理解が必要だと考えている。ある程度値段が高くなっても環境配慮の商品を使う意識が社会に根付くことが大事」

環境配慮への努力は日々、進んでいますが、今、1人1人が最も大切にするべきことは…。

【広島県 環境県民局 環境保全課 秋山日登美 課長】
「まず買う時にはいるものを買う。リサイクルできるものはリサイクルルートにきちんと乗せる。そうでないものはきちんと決められたルールに従って処分する。1人1人がすることによって、最終的には大きな力になって、海洋プラスチック対策に繋がっていく。当たり前を守る」

1人1人の行動が、豊かな海を育むために求められています。