5歳の園児が川で溺れ死亡 両親と広島市の和解が成立 市が両親へ4000万円支払い

10/7(火) 18:57

3年前、広島市の保育園で5歳の園児が行方不明になり、川で溺れて死亡した問題をめぐる裁判で、市が両親に4000万円を支払うことで和解しました。

【寺西環江 弁護士】
「先ほど和解が成立しました。(保育園の)体制・設備に問題があった。過失が認められたうえでの判断」

【亡くなった男の子の母(40代)】
「毎年誕生日をお祝いしている。9歳になったときどうなったのか思いながらプレゼントを買う。プレゼントを買うときは本人がいないのでとても悲しい」

2022年4月、広島市の保育園に通っていた5歳の男の子が保育中に姿が見えなくなり、その後、近くの川で溺れて死亡。

男の子の両親は保育園を運営する広島市に「必要な注意義務を怠っていた」などとしておよそ8800万円の損害賠償を求めていました。

当時、園では2人の保育士が行方不明になった男の子を含む3歳以上の園児24人を担当。市は国の基準を満たした人数の保育士を配置していると主張する一方、遺族の心情を配慮し、早期解決を図るため和解勧告を受け入れる判断をしたということです。

【寺西環江 弁護士】
「保育士の人員配置は国の基準で決まっているとはいえ、それを満たしていれば大丈夫なのか一度振り返って考えていただきたい」

【亡くなった男の子の母(40代)】
「保育士の人数が少ないと事故が起こりやすい。改善していただけたら」

<スタジオ:解説>
保育士の配置基準とは職員の最低人数を国が法令で定めたもので、0歳児3人に対しては最低でも保育士1人が配置されています。
1歳と2歳児は6人、3歳児は15人、4歳と5歳児は25人に対して保育士1人が配置されています。

一方で、民間企業の調査では保育士自身が適切だと思う配置人数はすべての年齢で国の配置基準を下回る結果となっています。
つまりこの国が定めている配置基準では1人当たりの保育士の負担がまだまだ大きいということになってきます。

また「保育士の配置基準は適切だと思うか」の質問には半数以上が「不十分」と回答しました。
必要だと考える職員の数は「国の理想」と「保育現場」で深刻なギャップがあるようです。