「絶対に核はいらない」被爆者・小倉桂子さんの5年間に密着 特別番組『彼女が世界に語る理由』あす放送

8/5(火) 17:40

TSSではあす80年目の8月6日午前、報道特別番組「彼女が世界に語る理由」を放送します。

去年12月ノーベル平和賞授賞式。
その関連行事の場で被爆証言をした1人の女性がいました。

【被爆者・小倉桂子さん】
「多くの被爆者が死ぬ前に、(核兵器を)どうにかしなければなりません。皆さんの助けが必要です。共に働きかけましょう」

被爆者の小倉桂子さん。もともとは専業主婦でした。

なぜ彼女が世界へ語っているのか。
【被爆者・小倉桂子さん】
「学者とか政治家だけではなく、ごくごく普通の市民が何かをやる。やりたい。という思いが何よりも大切だと思います」

年間およそ2000人に向けて英語で被爆体験を語る彼女にTSSは5年間密着し、1時間のドキュメンタリー番組を制作しました。

彼女と出会って、変化していく人々の姿を通して、継承の在り方を考えていきます。

【デヴェン・マイカリスさん】
「核兵器は戦争の終わりの道具じゃない。世界の終わりの道具です」

ナレーターは俳優の草刈正雄さんです。

【被爆者・小倉桂子さん】
「絶対に核はいらない」

英語で語り継ぐ被爆者がアメリカの若者につたえたこと「彼女が世界に語る理由」

【被爆者・小倉桂子さん】
「バトンを持って走り続けて下さい。次はあなたたちの番です」

<スタジオ>
あす8月6日、午前9時50分から放送のTSS報道特別番組の一部をご覧いただきました。

スタジオには番組の取材・構成を担当した石井ディレクターです。

【石井百恵ディレクター】
今回の番組を制作するにあたり考えさせられたのは、こちらの数字です。
86.13歳。今年、3月末時点の被爆者の平均年齢です。
今年、初めて86歳を超えました。

日本人の平均年齢、男性がおよそ81歳、女性がおよそ87歳ということも考えると、被爆者の声を直接聞くことができる今、その経験や思いを、どう残し、どうつなぐかとても今が、とても大切な時間であることが改めて考えさせられます。
そういった思いでいたところ被爆者の小倉桂子さんを5年間密着取材する中で、その手がかりになる出来事があり、番組を制作しました。

【加藤キャスター】
小倉さんというと英語で被爆証言をする被爆者として、この5年の間に、すごく活躍されていた印象です。

【石井百恵ディレクター】
2023年のG7広島サミットでは、核保有国を含む各国首脳に一人で被爆証言をしましたし、平和公園を訪れる世界の政治家に直接語りかける場面が多い被爆者というイメージのある小倉さんですが、一方で、一般の若い世代に地道に被爆証言をしてきました。年間およそ2000人に被爆の実相を語りかけてきたのです。

今回は、その中でも、核保有国アメリカの大学生と紙芝居を通した交流に注目しました。

大学という学びの場で、原爆被害の実相を知らなかった若者が変化をしていく様子から今後の被爆の継承の在り方のヒントがあると感じました。

小倉さんは8歳のときに被爆をしたのですが、大切なのは教育だと常々語りかけます。

それは戦前、日本が軍国主義となり、子供の教育現場でも教科書などを通し、軍国主義を植え付けられた小倉さんの経験があります。

その痛烈な過去をどう未来に生かしていくか、行動で見せてくださった様子を取材しています。

【加藤キャスター】
若い世代はもちろん教育関係者の方にも見ていただきたいですね。

【石井百恵ディレクター】
はい、小倉さんはおととい88歳になりました。

密着した5年の間に、背中も曲がっていき、一年一年老いを感じています。
それでも、精力的に伝えてこられました。

それは自分と同じ経験をもう誰にもしてほしくないというメッセージからです。
ぜひ番組をご覧になってそのメッセージを受け取っていただければと思います。

TSS報道特別番組「彼女が世界に語る理由」は、あす8月6日 午前9時50分放送です。