パニック起こして受診を断られる 障がいのある子供たちを支える歯科医 【シリーズ彷徨う居場所 第9弾】
7/21(月) 20:30
TSSライク!ではシリーズ「彷徨う居場所」と題して寛容さをなくしつつある社会に翻弄される人たちの声を継続的に届けています。
今回は、その第9弾としてパニックを起こすなどして歯医者の受診を断られた障がい者の治療に向き合っているある歯科医師の女性に密着しました。
歯の治療を受けているのは障がいのある人たち。
「どうもありがとうございました」
今回は、その第9弾としてパニックを起こすなどして歯医者の受診を断られた障がい者の治療に向き合っているある歯科医師の女性に密着しました。
歯の治療を受けているのは障がいのある人たち。
「どうもありがとうございました」
自閉症と知的障がいのある結都(ゆうと・12)くん。
母は息子の歯を治療してもらえる場所をようやく見つけました。
【三宅真弓さん(44)】
Q:地域の歯医者では治療が難しい?
「治療が難しくて病院嫌いで暴れちゃう子。不安があってまぎらわそうとしている。落ち着かない」
一般の歯医者では治療することが難しい人を対象にしている広島口腔保健センター。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「こんにちは。初めまして尾田と申します。よろしくお願いします。きょうすることを最初に話をする。歯をみがく。鏡で見る。結都くんできそう?」
歯科医師の尾田友紀さん。
結都くんの不安をやわらげるため、鎮静薬を注射します。
薬で眠くなっていきます。
鎮静薬は専門の歯科医師が取り扱う必要があり、一般の歯医者ではほとんど使われません。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「痛いことをされるのではないかと不安だから筋肉注射で気持ちをリラックスした状態で治療した方が本人にとって良いだろうな。これはつめて治りそう。大丈夫そうですよ」
「自閉症の人は思いもよらない過敏がある。音や光、歯を削る音、バキュームで吸う音、嫌な音で溢れている。歯医者のライトがストレスになる。苦手なものが凝縮されている空間。知的障がいがあればなんで自分がここに来ないといけないのか。なんで虫歯の治療をしないといけないのか理解することが難しい。分かってもらうための努力をしないといけない」
【患者の家族】
「福山市松永町から来ました。かかりつけの尾道市の歯科医院の先生から親知らずの抜歯は難しい。2時間で来れる」
母は息子の歯を治療してもらえる場所をようやく見つけました。
【三宅真弓さん(44)】
Q:地域の歯医者では治療が難しい?
「治療が難しくて病院嫌いで暴れちゃう子。不安があってまぎらわそうとしている。落ち着かない」
一般の歯医者では治療することが難しい人を対象にしている広島口腔保健センター。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「こんにちは。初めまして尾田と申します。よろしくお願いします。きょうすることを最初に話をする。歯をみがく。鏡で見る。結都くんできそう?」
歯科医師の尾田友紀さん。
結都くんの不安をやわらげるため、鎮静薬を注射します。
薬で眠くなっていきます。
鎮静薬は専門の歯科医師が取り扱う必要があり、一般の歯医者ではほとんど使われません。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「痛いことをされるのではないかと不安だから筋肉注射で気持ちをリラックスした状態で治療した方が本人にとって良いだろうな。これはつめて治りそう。大丈夫そうですよ」
「自閉症の人は思いもよらない過敏がある。音や光、歯を削る音、バキュームで吸う音、嫌な音で溢れている。歯医者のライトがストレスになる。苦手なものが凝縮されている空間。知的障がいがあればなんで自分がここに来ないといけないのか。なんで虫歯の治療をしないといけないのか理解することが難しい。分かってもらうための努力をしないといけない」
【患者の家族】
「福山市松永町から来ました。かかりつけの尾道市の歯科医院の先生から親知らずの抜歯は難しい。2時間で来れる」
障がい者の歯を治療できる専門の施設は全国的に少ないと言われています。
尾田さんが障がいのある人を専門に治療する歯科医師を目指したきっかけ。
それは・・・研修医の頃、初めて治療した障がい者との出会いでした。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「家族や本人に障がいがある困っている人たちができるようになる瞬間を見るときに口の中を見るだけではなく患者の人生と深く関わる歯医者でいたい」
小学1年生の下西あさひちゃん(6)。
自閉症と知的障がいがあります。
【下西悠子さん(41)】
「一般の歯科に行くと暴れる。見てもらうことが難しい。何をされているか分からないのが恐怖」
お姉ちゃんも近くで見守ります。
「ベッドに寝る。ゴロンしよ」
「ゴロンして」
あと一歩が踏み出せません。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「嫌か?お母さん待合室に戻りましょうか」
取り出したのは横になる場所が一目で分かる歯科治療用のシート。
「偉い。ゴロンできた。次は?」
尾田さんが障がいのある人を専門に治療する歯科医師を目指したきっかけ。
それは・・・研修医の頃、初めて治療した障がい者との出会いでした。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「家族や本人に障がいがある困っている人たちができるようになる瞬間を見るときに口の中を見るだけではなく患者の人生と深く関わる歯医者でいたい」
小学1年生の下西あさひちゃん(6)。
自閉症と知的障がいがあります。
【下西悠子さん(41)】
「一般の歯科に行くと暴れる。見てもらうことが難しい。何をされているか分からないのが恐怖」
お姉ちゃんも近くで見守ります。
「ベッドに寝る。ゴロンしよ」
「ゴロンして」
あと一歩が踏み出せません。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「嫌か?お母さん待合室に戻りましょうか」
取り出したのは横になる場所が一目で分かる歯科治療用のシート。
「偉い。ゴロンできた。次は?」
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「ニコニコだったのに上に上がろうとすると急に上がれない。何が引っかかって上がれないのか想像する。台が高いところに抵抗があったのかな」
シートを治療台に敷けば上がれるはず…。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「さっきと一緒だよ。ゴロンして歯磨きしよっか。座ってみる?難しいかもね。終わりにしようか。お大事に」
「以前歯医者で口の中を見るために何人かで羽交い絞めにされた。それまで治療台に上れていたが上れなくなった。1回嫌な経験をすると払拭するのは大変。特に自閉症の方は記憶に刻まれる」
この日もあさひちゃんは歯科治療に向かいます。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「こんにちは。お母さんのその絵カードを見てもいいですか?」
【下西悠子さん】
「家で歯磨きをするときに使う」
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「きょうここで歯磨きしてお母さんが磨く。うがいをする。行こうか」
【下西あさひちゃん】「うがいをしよ」
治療台に座れました。
「ニコニコだったのに上に上がろうとすると急に上がれない。何が引っかかって上がれないのか想像する。台が高いところに抵抗があったのかな」
シートを治療台に敷けば上がれるはず…。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「さっきと一緒だよ。ゴロンして歯磨きしよっか。座ってみる?難しいかもね。終わりにしようか。お大事に」
「以前歯医者で口の中を見るために何人かで羽交い絞めにされた。それまで治療台に上れていたが上れなくなった。1回嫌な経験をすると払拭するのは大変。特に自閉症の方は記憶に刻まれる」
この日もあさひちゃんは歯科治療に向かいます。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「こんにちは。お母さんのその絵カードを見てもいいですか?」
【下西悠子さん】
「家で歯磨きをするときに使う」
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「きょうここで歯磨きしてお母さんが磨く。うがいをする。行こうか」
【下西あさひちゃん】「うがいをしよ」
治療台に座れました。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「ぐちゅぐちゅぺできた。偉い」
【下西悠子さん】
「一歩進みました。がんばったね」
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「あそこに座れたので、座った状態で今後は歯磨きできるかも。最初お母さんの絵カードを見て『うがい』と言っていた。うがいをしたいんだろうな」
【下西あさひちゃん】「うがいをしよ」
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「彼ら彼女たちが何を思っているか。何が好きなのか苦手なのか。なんで近くの歯医者でできなかったのか。想像しながらどこかにヒントがないかと思いながら患者を見るように親と話すよう気を付けています」
障がいのある人もない人も分け隔てなく歯の治療を受けられるにはどうすればいいのか。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「やめよう」
「待合室でウロウロしている人もいるし飛び跳ねている人も車椅子の人もいる。色々な人が地域の歯科医院にいて当たり前の社会になるのが理想」
患者一人ひとりに寄り添った工夫。
そして…相手をほんの少しの思いやりが何かを変えていくきっかけになるのかもしれません。
《スタジオ》
それぞれの考え方だとか、得意なこと、苦手なこと、好きなこと、怖いことがあって、そしてともに一歩一歩進んで行くという姿勢を感じましたね。
【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「ともすると今、効率とか生産性が最優先にされてしまう社会の中で、誰一人取り残さない社会の具体的な形をまさに尾田先生に教えていただいたような感じがしました。
その障がいに合わせたコミュニケーションの取り方。こういう病院がどんどん増えるのは現実的に難しいのかもしれないが、まさに相手に目線を合わせるとか、不安を取り除くということは、専門家でなくても私たちにももしかしたら心がけとしてできることなのかなとすごく勉強になりました」
「ぐちゅぐちゅぺできた。偉い」
【下西悠子さん】
「一歩進みました。がんばったね」
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「あそこに座れたので、座った状態で今後は歯磨きできるかも。最初お母さんの絵カードを見て『うがい』と言っていた。うがいをしたいんだろうな」
【下西あさひちゃん】「うがいをしよ」
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「彼ら彼女たちが何を思っているか。何が好きなのか苦手なのか。なんで近くの歯医者でできなかったのか。想像しながらどこかにヒントがないかと思いながら患者を見るように親と話すよう気を付けています」
障がいのある人もない人も分け隔てなく歯の治療を受けられるにはどうすればいいのか。
【広島口腔保健センター・尾田友紀歯科医師】
「やめよう」
「待合室でウロウロしている人もいるし飛び跳ねている人も車椅子の人もいる。色々な人が地域の歯科医院にいて当たり前の社会になるのが理想」
患者一人ひとりに寄り添った工夫。
そして…相手をほんの少しの思いやりが何かを変えていくきっかけになるのかもしれません。
《スタジオ》
それぞれの考え方だとか、得意なこと、苦手なこと、好きなこと、怖いことがあって、そしてともに一歩一歩進んで行くという姿勢を感じましたね。
【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「ともすると今、効率とか生産性が最優先にされてしまう社会の中で、誰一人取り残さない社会の具体的な形をまさに尾田先生に教えていただいたような感じがしました。
その障がいに合わせたコミュニケーションの取り方。こういう病院がどんどん増えるのは現実的に難しいのかもしれないが、まさに相手に目線を合わせるとか、不安を取り除くということは、専門家でなくても私たちにももしかしたら心がけとしてできることなのかなとすごく勉強になりました」