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2018年11月13日(火)
子どものコミュニケーション能力が気になるとき
~言葉で伝えるのが苦手な子どもとの関わり方について~
 高橋和美さんの息子さんには脳機能障害があります。看護師として仕事の傍ら、障害のあるお子さんを持つ家族やお子さんの支援活動も行っています。
 各種の発達障害ではコミュニケーションに影響が出ます。しかし、一般に健常児とされている子どもであっても(時には大人でも)、コミュニケーションが苦手な人は少なくありません。今回はコミュニケーションの課題を克服する考え方について、看護師でLOF教育センター広島校代表でもある高橋和美さんにお話を聞きました。

子どものこんな行動が気になることはありませんか?
1.泣く
2.手が出る
3.イライラする
4.癇癪を起こす
5.大声を出す
6.言葉に詰まる、固まる
7.笑ってその場を過ごす
8.すぐに「分かりません」という
9.声が小さい
10.話しかけても振り向かない
11.何度声をかけても気付かない
12.指示が通らない、話者の意図することが理解できない

これらは言語的なコミュニケーションが苦手な子どもにありがちな行動です。


相手の想いを汲み取ることもコミュニケーション
 「私自身、数年前までは言葉のキャッチボールが上手にできることをコミュニケーションスキルが高いことだと思っていました」(高橋さん)

 コミュニケーションが苦手という現象だけで、全ての子どもを一様にひとくくりにすることはできません。
 例えば、伝えたい言葉が出てこなくてうまく伝わらないという子。
 あるいは、聴覚過敏があるために、相手の話す言葉だけを選択的に聞き取ることが苦手な子。音として聴こえていても、周囲の音と混じってしまい相手の言っていることを正しく聞きとることができない子もいます。
 また、言葉の意味を理解しきれていないために、相手の求める回答ができない場合もあります。

 コミュニケーションの問題を解決するには、その背景を探る必要があると言います。
「子どもにありがちな語彙の不足によるものか、認知に問題があるのか、表現力に課題を抱えているのか、それぞれに取るべき対応は異なります。試行錯誤の中で『どうしてこの表現、この方法では伝わらないのか』と考え続けることや、子どもの言いたいことを汲み取る能力も、大人に求められるコミュニケーションスキルではないでしょうか」(高橋さん)
まさにこのような姿勢こそ、寄り添うことになると高橋さんは考えます。

我が子に思いが伝わっていなかった苦い経験
 高橋さんには、子どもへの思いがきちんと伝わっていなかった経験があるそうです。
 息子さんにはてんかんの発作があったため、元気で手がかからないと思っていた姉である娘さんに対しては出来て当たり前という思いが強く、正論でがんじがらめにしていたと明かしてくれました。

 発端は、息子さんのための転居でした。転校生として教室に入った日から、娘さんはストレスにさらされることになりました。それでも親からの期待に応えたいと必死で頑張っていたようです。次第に学校に行くことがしんどくなり、不登校に。昔の友達を訪ねて家を出たこともあったと言います。
 家族との会話もスムーズに出来なくなりました。たわいもないお喋りは出来ても、核心に迫る話題になると口を閉ざし、LINEでメッセージをやりとりするだけになったりしました。
 弟に家族の意識が集中する中、一人で頑張り続けた娘さんは「自分は要らない子」と感じ、自己肯定感が低下していったようです。

 この時期、しんどい思いをしたのは娘さんだけではありません。高橋さんにとっても心が重く、夫婦で悩んだ時期でした。
 その後、家族カウンセリングを受け、これを機に娘さんは少しずつ立ち直ることができました。しかし、何より大きく変わったのは親の意識の方だったと言います。
 娘さんの立場で考えれば、彼女が苦しむのは当たり前のこと。親の期待を一身に背負っていた彼女は、その重荷に耐えきれなかったのでしょう。高橋さんはこの時を機に子どもを俯瞰して見る大切さを知ったと話します。

完璧な人間はいないと考える
 障害がない、健常な子どもでも全てが完璧ではありません。誰しも能力には凸凹があると考え、子どもの特性に合わせた対応が望まれます。
 発達の凸凹が目立てば診断を受けて障害があることを知ります。けれども、凸凹の程度が小さかったり、学習に影響していない場合には「個性的な子」「のんびりした子」と言われるにとどまります。

 コミュニケーションや知的発達に明らかな違いが見られれば早期に診断されるため、療育などの対応を考えることができますが、中には大人になるまで気付かれず、ずっと生きにくさを抱えてきた人もいます。
 子どもの人生を幸せで豊かなものにするために、状態に合わせた環境を作っていく活動・支援を高橋さんは行っています。

<各種の発達障害>
これらに該当しなくても、近い傾向を持つ子どももいます。 

コミュニケーションの発達を助けるために
 コミュニケーションスキルは家族を中心とする人間関係の中で育っていきます。乳幼児期から学童期においては言葉を獲得し、社会性の発達とともに非言語コミュニケーションを身に着けていきます。

 高橋さんご自身が働くお母さんです。一方、家庭にいる専業主婦(夫)であっても、常に理想的な子育てができるわけではありません。目まぐるしく変化する世の中で、誰もが忙しさを感じながら日々暮らしています。
 核家族化が進み、地域との関わりは希薄になりました。読み聞かせをする時間もなかなか取れません。つい、テレビやインターネットに子どもを預けてしまうこともあるでしょう。
 けれども、子どもは濃密な人間関係の中でコミュニケーションスキルを獲得していきます。コミュニケーションが苦手な子が多いと感じる背景には、時代の変化による影響があるのかも知れません。

 幼児期には「ままごと」や「ごっこ遊び」を通して他者との関わり方を模倣します。「泥遊び」「水遊び」は感覚を刺激し、豊かな感受性を育てます。毎日の遊びや生活を通してコミュニケーションスキルを身に付けているのだと考えれば、私たち大人が子どもに与えるべき機会とは何であるかが自ずから見えて来るような気がしませんか。
 
親だから、家族だから、できることがある
 発達の凸凹、子どもの得意・不得意など、それぞれの特性に合わせて伸ばしていくことが望ましいとすれば、具体的には何ができるのでしょうか。高橋さんはご自身の子育てを例に、得意なことからコミュニケーションスキルを伸ばす一つの方法を話してくださいました。
 
「コミュニケーションが苦手でも、本人の“好きなこと”を活かしてチャンスを作ることはできます。息子の場合、自分が欲しい腕時計を自分の力で買うために100円ショップへ連れて行きました。どうしたら欲しい腕時計が買えるか、自分で探してみて場所がわからなかったら、店員さんに腕時計はどこにありますか?って聞いたらいいよと教えました。スキルアップできる他のスキルにもつながることを経験させるために、お金の使い方も教えて、一人で買い物に行かせました」(高橋さん)

 どこに商品があるか分からなかったら店員さんに聞くこと。
 100円ショップなので1品が108円。110円出せば2円のお釣りがもらえること。
 高橋さんは息子さんが理解しやすいように説明してあげ、お金を持たせました。しばらくして彼はお店できちんと目的の買い物をして出てきたそうです。

 得意なこと、本人がやりたくて仕方がないくらい好きなこと。それをうまく活かしてやれば、チャンスは作れます。人と話すのが苦手な子でも、自分の好きなことなら頑張れます。
 小さな課題を一つずつクリアしていくことでできることが広がり、自信がつきます。
 「苦手なことでも、発達を阻害するものを取り除くという引き算をした後に、スモールステップで足し算のアプローチを入れるということをお勧めします。その子の限界は誰にもわかりませんから。」(高橋さん)

 コミュニケーションの問題は、脳の障害が原因で起こることもあれば、人間関係の希薄さがもたらす苦手意識が原因のこともあります。「コミュニケーションが苦手」とひとくくりには出来ないということも伺いました。
 家族だからこそ気付く小さな違和感を見過ごさないことの大切さ、その違和感が何によるものであるかを理解するための試行錯誤と日々の観察の重要性を感じさせられます。

高橋 和美さん

LOF教育センター広島校 代表
食べトレインストラクター
看護師

広島県尾道市で発達障害児支援を行っています

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