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2018年10月11日(木)
夢は国際人 世界の中で生きるということ ~オリンピックイヤーを前に
 オリンピックが2020年、東京で開催されます。海外からの観光客も今後ますます増えそうな予感。同時に、観光やビジネスで多くの日本人が海外に飛び立つ時代になりました。
 そこで今回はJICA中国・新川美佐絵さんから、青年海外協力隊での経験を踏まえ、国際化する社会におけるグローバルマインドについてお聞きしました。
JICA中国はひろしま国際プラザ(東広島市鏡山)の中にあります。


新川さんが青年海外協力隊に参加した理由
 中学生の時、湾岸戦争が勃発し、テレビで戦争の様子や黒い油にまみれた海鳥を見た新川さん。「自分にできることは何だろう」と考えたそうです。
 自分ひとりの力で戦争を止めることはできない。けれども、海鳥一羽を洗ってあげることならできるかも。大人になったら困っている人のいるところで、何か力になれるような仕事がしたいと新川さんは考えました。

 その後、時は流れ、大学を卒業して旅行会社に就職、添乗の仕事で西アフリカに行ったときのこと。そこで経済的に豊かとはいえない環境で、楽しそうに過ごす現地の人の姿を目にし、かつて中学生の時考えたことを思い出しました。
帰国後、タイミングよく青年海外協力隊の募集があることを知り、そこから新川さんの「今」が始まりました。


青年海外協力隊としてウズベキスタンへ
 青年海外協力隊に合格した新川さんは、旅行会社勤務の経験からウズベキスタンの観光を活性化する活動を行いました。現地ではウズベキスタンの観光業を盛り上げ、サービスの向上や観光案内の充実などを行うことになります。

 ここで少し、ウズベキスタンについて説明しておきましょう。ウズベキスタンは中央アジアに位置する国で、古くはシルクロードの交易路として栄えました。
 新川さんが協力隊としてウズベキスタンに行ったのは2002年からの約2年半。当時のウズベキスタンはソビエト連邦から独立して約10年。ソ連という大国から切り離され、生活レベルは低下する一方。社会主義の恩恵に授かっていた国民は自由経済への変化に戸惑っていました。
 
 ソ連時代には医療、福祉は全て無料でした。教育も無料で受けられるため識字率は100%。子どもたちは東のウクライナまでサマーキャンプに行ったり、大学を卒業している大人も少なくなかったりと教育水準の高い国だったといいます。 
首都サマルカンド。かつてシルクロードの交易地として栄えた日々が目に浮かぶようです。


 しかしソ連の解体とともに社会保障は崩壊、自由経済の名のもとに教育や福祉が有料化され、脆弱な経済力しか持たないウズベキスタンは疲弊していました。そこで外貨獲得に直結する観光業に目をつけ、JICAに観光業の強化・支援を要請。これを受けて新川さんらが派遣されたのでした。


言葉を超えて 異文化とつながるということ
 都市部ではロシア語が公用語として使われていましたが、地方では母国語のウズベク語が主流でした。ロシア語のトレーニングを受けて現地に発った新川さんでしたが、最後までウズベク語に悩まされたといいます。

「言葉以外にも相手の価値観や文化を理解する謙虚な気持ち、共感する力、と言うのでしょうか。そのようなものが求められていたと思います」(新川さん)

 初めは一途な使命感や倫理観から自分の良いと思ったことを強く勧めたそうです。しかし、現地の人に非現実的な理想論に思われ、拒否されることがありました。

「正しい、正しくないというのではなく、最後に選ぶのは彼ら自身であるということを感じました」
(新川さん)

ジレンマに苦しみながらも次第に、彼らには彼らの生活があること、変えたくても変えられない現実があることに目が向くようになりました。現地では支援先の人々の生活や価値観に対する共感、あるいは別の考え方として認めること、違うということすら楽しめること、そのようなマインドが必要だったと当時を振り返ります。


異なる文化や価値観を認め、受け入れる大らかさ
 日本にいると皆同じで、似通った生活、価値観の中にいるように感じます。しかし、そのことが逆に、皆が同じ価値観を持っているという錯覚をもたらし、LGBTや宗教的な違いに対して排他的意識が強く働くのではないかという懸念を新川さんは示します。
 実際、私たちの足元にも大小の差異は転がっています。そして近年は、海外からの観光客が多く訪れるようになりました。世界に出て行かなくても、海外から外国人が押し寄せる時代はもうすぐそこまで来ています。

「海外旅行に興味はない」「英語は嫌い」という人でも、日本に暮らしながら異なる文化や価値観が自然に入ってくる時代になります。皆違うのは当たり前として異文化に向き合うことが今後必要なマインドと言えそうです。


小さな勇気が日本の印象 広島の印象になる
 ウズベキスタンでの新川さんのように、言葉の壁はあっても何かしてあげたい、助けになりたいという思いは伝わります。

「自分が旅行に行ったとき助けてもらえたら、それがその国の印象になります。言葉は通じなくても地図を指で示したり、情報のある場所に連れて行ってあげることくらいはできますよね」
(新川さん)

 ちょっとしたことで日本の印象、広島の印象が変わるなら、一歩踏み出してみるという勇気も湧いてくるかも知れませんね。


JICAの活動について
 青年海外協力隊が派遣先で行うことは農業などの技術支援だけではありません。子どもの識字率や就学率を高めたい場合には教育支援が、経済力向上のためには観光支援など、先方のニーズに応じて多方面からの支援が行われています。
 JICAはODA(政府開発援助)を行う政府系団体として、世界の約4分の3を占める開発途上国を対象として、私たちの税金を使って各国に必要な支援を行っています。

 現在、新川さんはJICAの活動や開発途上国理解のための教育プログラムに携わっています。ODAやJICAの活動にあまり興味がないという人にも、自分たちの払った税金はどのように活かされているかもっと知ってもらいたいと言います。
 支援活動は一部のエリートのものではありません。日本の行う支援活動は長期的には海外における日本の評価や、災害に見舞われたときの支援となって戻ってきています。このような国際的な相互協力の一翼をJICAは担っています。
展示品である海外の楽器を手にする新川さん。

民族衣装の試着体験もできるので、親子で試着して写真を撮っても楽しそうです。

 JICA中国にはレストランがあり、ここではバイキング形式で珍しい各国料理などを味わうことができます。ランチは700円、夜は800円(小学生は昼・夜共に600円)とリーズナブルな価格ですので、気軽に足を運んでみては。

 この他、JICA主催の海外文化に触れられるイベントや、異文化理解のための各種プログラムなども行っています。JICAは日本と世界を繋ぐ一つの窓口になっているんですね。

<お話を聞いた方>
新川 美佐絵(しんかわ みさえ)さん

JICA中国 市民参加協力課 主事
東広島市鏡山3-3-1
TEL 082-421-6305

各国料理が食べられるバイキング形式のレストラン「ラコルト」
https://www.jica.go.jp/chugoku/office/shisetsu1F.html#dining
レストランへのお問い合わせは082-421-5800まで

わんぱく大作戦プロジェクト2018 協賛
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