気になる○○事情

学校へ行きたがらない どうしよう・・・

■【座談会】中一ギャップと不登校を考える

  • 夏休みまでに、不登校児童や生徒が増えると言われています。特に、中学 1年生が顕著で、この現象を〝中一ギャップ〟と呼びます。そこで、中1のお子さんを持つお母さんと、わが子が不登校だった先輩お母さんで座談会を実 施。親の対応について考えました。
  • 〈イラスト:黒松晴美〉
  • 中村
  • この時期、中1の子どもは、どんなストレスを感じているで しょうか。
  • 森川
  • 小学校と比べて、かなり時間に追われる生活となりました。部活動をしているので、朝は5時半に起き6時半には家を出て、部活動を終えて帰ってくるのは夜の7時。そこから宿題をしていると、家でゆっくり 過ごすこともままならない状態です。わずか1カ 月間でこんなにも環境が変わるのですから、子どもはストレスになってい ると思います。
  • 石本
  • 中学校は、教科担任制なので、学級担任の先生との関わりが少ないことも不安では?また、わが家では部活動のほかに塾へも通っているので、追い立てるように 家から送り出していることも心配です。
  • 中村
  • 小さなストレスでも、たまれば重荷となることもあります。不登校のきっかけは何だと思いますか。
  • 森川
  • 女の子を持つお母さんからよく聞くこと は、友達とのトラブルや人間関係など。親の知らないところで、子どもながらに気遣っていて、それがこじれると、学校へ行けなくなるそうです。
  • 石本
  • 本人たちはいじめているという自覚がなくても、3人のうち2人が仲良くしていれば、もう1人は「あ、取り残されている」と感じ、だんだん周囲がみんな敵のように思えてくるそうです。
  • 中村
  • SOSのサインが読み取れますか。
  • 森川・石本
  • 分かりづらいでしょうね。
  • 中村
  • 「今日は学校を休みたい」と言ったとき、子どもは「誰かにすがりたい」「誰かに寄り添ってほしい」という思 いがあるものです。だからこそ、誰かがそばにいればいいのかも。実は私 の子どもも4カ月間ほ ど、学校へ行かないときがありました。「しばらく、そっとしておこう」 と家族内でルールを決め、信じて待つことにしました。そうしたら 、「中途半端はよくないよ」という、きょうだいのアドバイスがきっかけで、学校へ行くようになりました。子どもの気持ちをしっかり受けとめることや、家族で支える大切さを感じました。
  • 【中村家のルール】
  • (1)子どものプライドが傷つくようなことは言わない
  • (2)親は、子どもが学校へ行かないことを恥ずかしく思わない
  • (3)ご飯を一緒に食べる
  • (4)普段通りに接し、会話する
  • 中村
  • もし、「学校へ行きたくない」と言ったらどうしますか。
  • 石本
  • 「行きたくないなら、休みなさい」とは 言えないです。勉強についていけないのか、部活で何かあったのか、友達関係はどうだろうかなど、いろいろな場面を想像しながら、原因を調べ ます。本人の口から出ないとなると、ママ友の情報にも頼りますね。
  • 森川
  • 私も同じ。子どもの状態にもよりますが、 その日は学校へ行かせるかな?夫婦でも考え方 や見方は違うので、夫から今のわが子がどう見えるか、何か気付くことが あるか聞いてみます。
  • 石本
  • 私は、どうしても自分の視点だけで物を見てしまうので、夫婦が 同じように思っているかどうかを確認することが大切だと思っています。
  • 中村
  • 近くに祖父や祖母がいれば、その意見も聞き、家族共通の思いの下で、同じように子どもに接していくことが大切 かも。
  • 石本
  • でも、家で休んでいることが、心地よくなり過ぎないように、注意が必要だと思います。
  • 中村
  • 専門家に相談することも一つの方法ですし、家族で分からなければ学校に聞くなど、一人で抱え込まないことでしょうね。
  • ■森川陽子さん(左)・中村由利江さん(中央)・石本智香子さん(右)

    • 「子どもが学校へ行きたがらない、どうすればいい」をテーマに、5月25日にバ ルコムユーストリームスタジオ(西区大芝)で座談会を開催。中1のお子さんを持 つお母さんを代表して、森川陽子さん〈40歳・府中町、長男12歳(中1)、長女10 歳(小5)〉、石本智香子さん〈46歳・府中町、長男14歳(中3)、次男12歳(中1)〉。両 人とも、若竹保育園子育て支援センターのスタッフで府中町学校支援コーディ ネーターとしても活躍中

    ■中村由利江さん

    • このたびの座談会の進行役で先輩お 母さん。9年前に夫を亡くし、経済的 な苦労や、子どもの不登校など波乱 万丈の人生の中、3人の子ども(現在 、30歳前後)を育てあげました。現在 、広島県教育委員会「食・遊・読」アド バイザーや府中町学校支援コーディ ネーター、また命の大切さや家族愛 をテーマにした「紙芝居 夢屋」の 〝おっちゃん〟としても活躍中

    ■アンケート

    • 【不登校は、どの子どもも起こりうると思いますか】
    • そう思う 82%
    • そうは思わない 9%
    • 分からない 9%
    • 【もし、お子さんが学校へ行きたくないと言ったら、どうしますか】
    • 登校するよう強く促す 8%
    • 様子を見て登校を促す 45%
    • 無理に登校させず、子どもの気持ちの変化を持つ 31%
    • 学校を変えることを考える 4%
    • 分からない 7%
    • その他 5%
  • 【アンケート概要】
  • 不登校・アンケート
  • 調査期間 2011/5/7~5/19 広島リビング新 聞社グループサイトLICOで調査。
  • 男女186人の回答。内訳は、男性 40人(22%)、女性146人(78%)。
  • 子どもの年齢は乳幼児21.7%、 児童26.5%、中・高校生18.1%、 大学・社会人18.9%、子ども無し 14.8%
  • ■【座談会】中一ギャップと不登校を考える(つづき)

  • 中村
  • 不登校や中一ギャップを早めに察知するには、日ごろからの会話が大切と言われます。お子さんとは、どのようにコミュニケーションを取られていますか。
  • 石本
  • わが家は、スキンシップでしょうか。「私の肩をたたいて」とか、「足の裏を踏んで 」と頼むと、嫌がらずにやってくれます。それをしながら、会話しています。
  • 森川
  • 子どもを怒った日でも、「おはよう」「いってらっしゃい」「おかえり」「おやすみなさい」という4つのあ いさつだけは、気持ちよくいつもの同じ語調で言おうと心掛けています。
  • 中村
  • 子どもが自立していくために、 親はどういう心構えが大切だと思いますか。
  • 石本
  • 上の子が中学校に入ったときに、とにかく何でも気になって、根掘り葉掘り聞いていました。私の母から「信用して子どもに任せ、失敗したら失敗したでいいではないか。見て見ぬ振りをしてやるのも大事だ」と 言われ、それからお互いが楽になりました。
  • 森川
  • 私も、相手から答えを聞き出そうとしているところがすごくあります。息子と夫は、野球という共通のスポーツがあります。そこに私はノータッチ。夫に任せていま す。こういう男同士の時間は、今まで以上に必要だと感じています。
  • 中村
  • 反抗期の子どもたちは、言葉が乱暴になるものですが…
  • 森川
  • 最近身近なところで耳にするのは「ウザイ」です。男の子も女の子も、悪気なく、よく使っていますね。
  • 石本
  • 3文字が多いですね。「キモイ」とか。短くして使っているんでしょうね。これで、意思が通じ合えるのでしょうか。
  • 森川
  • こうした言葉に、周りの大人も無頓着になっていますね。
  • 石本
  • 相手は全然悪気はないんだけれど、本人にとっては「え?」と思うようなことってありますよね。言葉の行き違いで誤解を招き、何でもないことからいざこざが起きることって多いの かも…。
  • 中村
  • その“ちょっと の誤解”が積み重さなると、「しんどいな。学校に 行くのもちょっとつらいな」ということに。そうした小さな出来事をそのままにせず、しっかりとお子さんと向き合うことかもしれませんね。
  • ■アンケート

    • 【不登校の要因として子どものコミュニケーション力が問われていますが、どう思いますか】
    • そう思う 75%
    • そうは思わない
    • 9% 分からない 16%
  • 【アンケート概要】
  • 不登校・アンケート
  • 調査期間 2011/5/7~5/19 広島リビング新 聞社グループサイトLICOで調査。
  • 男女186人の回答。内訳は、男性 40人(22%)、女性146人(78%)。
  • 子どもの年齢は乳幼児21.7%、 児童26.5%、中・高校生18.1%、 大学・社会人18.9%、子ども無し 14.8%
  • ■学校の取り組みは?

    • 不登校やいじめ、中一ギャップについて、広島市 の状況や各校の取り組みなどを広島市教育委 員会の星野和敏さんに聞きました。
    • 広島市教育委員会事務局
    • 学校教育部生徒指導課指導主事
    • 星野和敏さん
  • Q 不登校が長引かず、複雑化しないために、学校ではどんな対策をとっていますか。
  • A 子どもへの声掛けや観察、アンケート調査などを通して、早めに不登校の兆候を見つけ出す努力をしています。また、こうした取り組みが、どの児童生徒にも同じように行えるよう、システム化している学校もあります。例えば、 連続して3日の欠席があると、担任は家庭訪問を行います。また、登校はしても学級に入りにくい児童生徒のために、「ふれあいひろば」教室を各校に設置し、復帰へのサポートを行っています。
  • Q 不登校が増える時期は、いつごろですか。
  • A 中学1年生の夏休み前までに始まるケースが多く、不登校生徒の約3 8 %(平成20年度・広島市)を占めます。 小・中学校の環境の違いが、いわゆる〝中一ギャップ〟を生み出している可能性があります。
  • Q 小学校から中学校へ変わることによるストレスを軽減させるため、どんな取り組みをしていますか。
  • A 小学6年生を中学校へ招いて部活動や授業を体験させたり、入学間もない時期に野外活動を行って友達づくりを促したり、学校をオープンにして保護者や地域の人たちが学校へ来やすいように行事を組んだりと、地域性を考慮しながら、各校ごとに取り組んでいます。
  • Q 具体的な原因は何ですか。
  • A 不登校の原因としては、「精神的な不安定「集団になじめない」「無気力」など本人の心理に関わる要因が最も多く、次いで「友人関係の問題」「学業の不振」といった学校生活に関わる要因、 さらには、「親子関係をめぐる問題」「家庭の生活環境の急激な変化」など、家庭生活に関わる要因が多くなっています。
  • Q 最近、生徒による暴力行為が増えていると聞きますが…。
  • A 不登校の人数は横ばいですが、暴力行為は増えています。児童生徒のストレス反応が、不登校や問題行動につながる場合もあります。どちらも現れ方が違うだけで、児童生徒のコミュニケーション能力や、問題解決能力の不足が原因です。不登校と同様、周りの大人が、その兆候を早めに見つけ出すことが大切と思っています。
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