健康基礎知識

【素朴な疑問シリーズ】その飲み方は危険かも!?正しく学ぶ「経口補水液」の使い方


経口補水液と聞くと、熱中症予防のために飲むものと思っていませんか。実はそれは大きな誤解です。経口補水液は、脱水症状を改善するための病者用食品であり、日常的な水分補給には適していません。誤った飲み方は健康を害するおそれもあります。スポーツドリンクとの違いやラベルの見方、使用時の注意点を押さえ、正しい知識を身につけましょう。

経口補水液は病気や脱水症状のときに飲むもの


経口補水液は、嘔吐や下痢、大量の発汗などで体から失われた水分と電解質(ナトリウムやカリウム)を効率よく補うための飲み物です。脱水症は体内の水分と塩分のバランスが崩れ、だるさ、頭痛、めまい、吐き気などの症状を引き起こします。重症化すると命に関わる危険があり、高齢者や乳幼児では特に注意が必要です。
世界保健機関(WHO)が推奨する経口補水療法は、点滴の代わりに口から水分と電解質を補給する方法で、医療現場でも広く用いられています。経口補水液はこの療法に基づいて開発され、感染症や発熱による脱水症にも使われます。
重要なのは、熱中症予防や喉の渇き解消のために飲むものではないということです。健康な状態で日常的に飲むと、塩分やカリウムの過剰摂取となり、高血圧や腎臓への負担など、健康に悪影響を及ぼすことがあります。

スポーツドリンクとの大きな違い


見た目や色、風味が似ているため混同されがちですが、経口補水液とスポーツドリンクは成分も用途もまったく異なります。経口補水液はスポーツドリンクの約3〜4倍の塩分とカリウムを含み、糖分は控えめです。脱水時に必要なミネラルを効率よく補うことを目的に作られています。一方、スポーツドリンクは糖分が多く、軽い運動時のエネルギー補給や日常的な水分補給を想定しています。
例えば、夏場の運動後に経口補水液を水代わりにがぶ飲みすると、必要以上の塩分やカリウムを摂取し、体調不良を引き起こす危険があります。逆に脱水症状があるときにスポーツドリンクを飲んでも、必要な電解質を十分に補えない場合があります。目安として、日常の水分補給や軽い運動時にはスポーツドリンク、脱水症状時には経口補水液と覚えておきましょう。

ラベルと許可マークを必ずチェック


経口補水液は国の制度で特別用途食品に分類されています。特別用途食品とは、赤ちゃん用ミルクや嚥下困難者向け食品など、特別な栄養管理を必要とする人のための食品で、国の審査を通過して初めて表示が許可されます。パッケージには許可マークが表示されます。このマークは、小文字のeの中に丸と三角が描かれ、人が腕を広げているように見えるデザインです。周囲には消費者庁許可や病者用食品といった文字が入っています。
また、ラベルには使用目的が明記されており、多くは感染性胃腸炎による下痢や嘔吐に伴う脱水状態に適するという表示になっています。中には熱中症による脱水状態に適すると記載された製品もありますが、すべてが熱中症向けではありません。購入時には必ずラベルを確認し、目的に合った製品を選びましょう。

正しい飲み方と注意点


脱水症状があるときに、少しずつこまめに飲むのが経口補水液を引用する基本です。一度に大量に飲むと胃腸への負担がかかり、かえって体調を崩すことがあります。腎臓病や心疾患、高血圧などで塩分やカリウム、糖質の摂取制限を受けている場合は、必ず医師や管理栄養士など医療関係者の指導を受けてから使用してください。避けるべき飲み方としては、喉が渇いたときに常用する、暑い日に予防目的で飲む、運動後の水分補給に毎回使うといったケースが挙げられます。これらはすべて誤った使い方です。
経口補水液はあくまで病気や脱水時の補給用です。見た目や印象だけで選んでしまうと、思わぬ健康リスクを招くおそれがあります。日常の水分補給や熱中症予防には水や麦茶、必要に応じてスポーツドリンクを活用しましょう。脱水症状が疑われるときは、ラベルと許可マークを確認した経口補水液を正しく使うことが、自分や家族の健康を守る第一歩です。

【素朴な疑問シリーズ】子どもを守る「夏の虫刺され&感染症」対策


夏の外遊び、キャンプ、水辺のレジャー…。子どもにとって楽しいイベントが盛りだくさんの季節ですが、一方で忘れてはならないのが「虫刺され」と、それに伴う感染症のリスクです。特に7月から8月は、蚊やマダニなどの活動が本格化する時期。単なるかゆみだけではなく、感染症を媒介する虫への備えが必要です。家庭でできる予防と対処法を、改めて見直してみませんか?

虫が媒介する感染症とは?


厚生労働省によると、国内では蚊を媒介する「日本脳炎」、マダニによる「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」などの発症が毎年確認されています。こうした感染症は、重症化する場合もあり、特に体の小さな子どもは注意が必要です。

さらに、かゆみや炎症を放置すると「とびひ」などの二次感染につながるケースも。子どもがついかきむしってしまい、患部が悪化することも少なくありません。

虫刺されから守る!家庭でできる3つの対策


① 服装の工夫で「刺されにくい」環境づくり
肌の露出が多いと、それだけ刺されるリスクも高まります。なるべく長袖・長ズボンを着せること、そして淡い色の服を選ぶのがポイントです。黒や紺などの濃い色は虫を引き寄せやすいとされています。草むらや水辺では、くるぶし・手首なども覆える服装を心がけましょう。

② 虫よけ剤を正しく使おう
子どもには、低刺激の虫よけ剤を選ぶのが安心です。特に注目されているのが虫よけ剤に使用される「イカリジン」という成分。肌への刺激が少なく、乳幼児にも使用しやすいとされています。商品によって使用年齢や使用回数が異なるため、必ずラベルを見て確認しましょう。外出前に腕や足、首まわりにまんべんなく塗布し、汗をかいた後や水遊びの後にはこまめな塗り直しを忘れずに。

③ 身のまわりの環境を整える
虫刺されは、家の中でも起こります。特に夕方~夜間に活動する「蚊」への対策として、網戸の点検・窓の開けっ放しの防止が大切です。また、植木鉢の受け皿・たまり水・庭の草むらなど、虫が発生しやすい場所を定期的にチェック・清掃することで、発生源を減らせます。ベランダや玄関先に防虫スプレーをまく、ハーブを植えるといった工夫も効果的です。

刺されてしまったら正しいケアを


もし虫に刺された場合は、早めの処置が大切です。まずは流水で患部を冷やしながら洗浄し、抗炎症薬などを塗布しましょう。子どもがかきむしると傷が悪化し、そこから細菌が入ることで「とびひ」などの皮膚感染症を引き起こす場合があります。

特に注意が必要なのは、以下のような場合です。これらの症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
・腫れがどんどん広がる
・発熱や倦怠感など全身症状がある
・刺された場所が赤黒く硬くなる、血がにじむ

子どもと一緒に学ぶ「虫から身を守る力」


虫刺され対策は、「親が守る」だけでなく、子ども自身が予防の意識を持つことも大切です。「虫が多いところでは帽子をかぶろう」「帰ったら手を洗って虫よけを塗り直そう」といった行動の習慣化は、感染症予防だけでなく、自分の体を大切にする気持ちにもつながります。

刺されたらかゆいだけ。そんなイメージを変えて、子どもたちを守る「予防」と「ケア」を、今年の夏から取り入れてみませんか?外で思いきり遊び、自然に触れ、心も体も大きく育つ季節。だからこそ、“かゆくなる前に守る”視点で、虫さされ対策をしっかり行いましょう。

【素朴な疑問シリーズ】命を守るために知っておきたい「熱中症」とは


毎年、夏になると話題になる「熱中症」。しかし、単なる「夏バテ」とあなどってはいけません。高温多湿な日本の夏において、熱中症は命に関わる重大な健康リスクのひとつです。2024年4月からは、従来の「熱中症警戒アラート」に加え、より危険な状況で発表される「熱中症特別警戒アラート」が導入されました。今回は、熱中症とはどんな病気か、そして特別警戒アラート発表時に私たちがとるべき行動について紹介していきます。

熱中症とは?原因と症状を知っておこう


熱中症は、暑さによって体温の調整がうまくいかなくなり、体内に熱がこもって起こる障害です。初期にはめまいや立ちくらみ、こむら返りなどの症状が見られますが、進行すると頭痛、吐き気、さらには意識障害やけいれんといった重篤な症状に至ることもあります。

特に高齢者や乳幼児、持病を持つ人は体温調節機能が低下しているため、より注意が必要です。屋外はもちろん、屋内でも熱中症は起こるため、外出していない場合でも油断は禁物です。

新設された「熱中症特別警戒アラート」とは?


これまで発表されていた「熱中症警戒アラート」は、危険な暑さを予測した段階で注意喚起を行うものでしたが、2024年からは、それを上回る危険度の高い暑さが予想されるときに「熱中症特別警戒アラート」が発表されるようになりました。

このアラートは、命に関わるほどの異常な高温が見込まれる際に発令されるもの。暑さから身を守るひとつの指数にすると便利です。アラートは、前日の夕方(17時頃)または当日の早朝(5時頃)に発表され、環境省の公式サイトやニュースなどで確認することができます。

熱中症を防ぐために、今日からできる対策


では、実際にアラートが発表されたとき、どのような行動をとればよいのでしょうか?以下、大切なポイントです。

1. 暑さを避けることが第一
室内ではエアコンを適切に使用し、温度を28度以下に保ちましょう。扇風機やサーキュレーターを併用すると、空気が循環し冷却効果が高まります。エアコンのフィルター掃除も忘れずに。目詰まりしていると冷房効率が下がり、無駄な電力消費につながります。
また、外出はできるだけ避け、やむを得ない場合は、帽子や日傘を使い、こまめに日陰で休憩をとるようにしましょう。

2. 水分・塩分補給をこまめに
汗をかくことで体内の水分と塩分が失われます。喉が渇く前にこまめに水分をとることが重要です。1日あたりの目安は約1.2リットル。スポーツドリンクや経口補水液を取り入れると、塩分も補給できてより効果的です。

3. 高齢者や子どもへの声かけを忘れずに
高齢者は暑さに鈍感になりやすく、エアコンを我慢してしまう方もいます。日中だけでなく夜間もエアコンを使うよう促しましょう。子どもは自分で体調を伝えられないことも多いため、保護者がこまめに様子を観察することが大切です。

熱中症の危険度を見える化「暑さ指数(WBGT)」とは?

「暑さ指数(WBGT)」とは、気温、湿度、日射・輻射、風といった複数の気象条件をもとに算出される指標で、熱中症のリスクを数値化したものです。WBGTが28以上になると熱中症による救急搬送が増加し、31以上で危険な状態とされています。環境省のサイトやテレビのニュースなどで身近な暑さ指数を確認し、外出や運動の参考にしてみるとよいでしょう。

熱中症が疑われるときの初期対応と、いま私たちにできること


万が一、熱中症が疑われる人を見かけたら、初期対応が命を左右することを覚えておきましょう。まずは日陰やエアコンの効いた室内など、涼しい場所へ避難させ、衣服をゆるめて体を冷やします。水をかけたり、冷たいタオルを首や脇に当てるのも効果的です。意識がはっきりしていれば、自力での水分補給を促し、冷たい飲み物を与えてください。ただし、呼びかけに反応がなかったり様子がおかしい場合は、すぐに119番通報し、速やかに医療機関での処置が受けられるようにしましょう。

熱中症は、知っていれば防げる病気です。しかし現実には、毎年1000人を超える人が熱中症で命を落としています。その現実を受け止め、私たち一人一人が「自分ごと」として意識し、家族や身近な人たちと声をかけ合いながら対策をとることが大切です。

暑さが本格化する前に、今一度、対策を見直してみませんか?

【素朴な疑問シリーズ】「見えにくい…」と言われる前に!子どもの目を守る家庭ケア


スマートフォンやタブレットが身近な存在となった今、子どもの視力低下が大きな問題となっています。特に、小学生の近視が年々増えているのが現状です。成長期の目は非常にデリケート。放っておくと将来の視力に大きな影響を与える可能性もあります。今回は、視力低下の原因や具体的な予防策について、家庭でできるケアを交えて紹介します。

増える子どもの視力低下


文部科学省の調査によると、日本の子どもたちの裸眼視力1.0未満の割合は、この40年で大幅に増加しているそうです。もちろん、視力が1.0未満だからといって全員が近視というわけではありませんが、その8〜9割が近視であると報告されています。さらに、令和5年度の「児童生徒の近視実態調査事業」でも、多くの子どもが近視状態にあることが明らかになりました。しかし、「視力が悪くなってもメガネがあれば大丈夫」と思う保護者も少なくないでしょう。確かに、メガネで矯正すれば日常生活には支障が少ないかもしれません。しかし、近視が進むと将来的に目の病気のリスクが高まることがわかっています。特に、強度近視と呼ばれる重度の近視になると、網膜剥離や緑内障、黄斑変性症といった深刻な病気につながる可能性があります。

知っておきたい近視のこと


近視とは、目の中で光の焦点が網膜の手前に合うことで遠くがぼやけて見える状態です。特に小学生から中学生にかけては、目の成長が続く時期であり、眼軸(目の奥行き)が伸びやすい特徴があります。この眼軸が長くなるほど、近視が進行しやすくなります。小学校低学年で視力が低下し始めた場合、その後も悪化し続けるケースが多いため、早めの対策が重要です。

生活習慣がもたらす視力低下の原因


視力低下の原因には、主に次の3つが挙げられます。


・近くを見る時間が長すぎる
スマートフォンやタブレットを長時間使用は、多くの家庭でみられる悩みです。また、学校の宿題や読書の時間が長いと、どうしても近くを凝視する時間が増えてしまいます。特に、暗い場所で画面を凝視すると目が疲れ、ピント調整機能が低下し、近視が進む原因になります。

・外遊びの時間が足りない
外で遊ぶ時間が減り、屋内で過ごすことが多いと、日光を浴びる機会が少なくなります。実は、自然光は目の健康にとても重要で、特に屋外活動が1日2時間を下回ると近視のリスクが高まると言われています。オーストラリアの研究でも、屋外活動が少ない子どもは近視が進みやすいという結果が示されています。

・姿勢や環境の影響
勉強中に机に顔を近づけすぎたり、暗い部屋で長時間過ごしたりしていませんか?姿勢が悪いと、目に余計な負担がかかり、長時間の作業で視力が落ちやすくなります。特に、小学生は集中するとつい前のめりになることが多いので、周囲のサポートが欠かせません。

視力を守るために家庭でできること


日々の生活習慣を少し見直すだけで、目を守ることができます。無理のない範囲で、下記のような策を取り入れてみましょう。

・目を休ませる工夫
スマホや読書を続けるときは、20〜30分ごとに休憩を入れることが大切です。例えば、遠くの景色を眺める、窓の外を見て目をリフレッシュさせるなど、意識的に目の筋肉を休ませましょう。ブルーライトカットのメガネや画面の明るさを適切に調整することも効果的です。

・屋外活動を習慣化する
できるだけ外で遊ぶ時間を増やすことが大切です。1日2時間以上が望ましいとされていますが、難しい場合でも30分以上を目安に取り入れましょう。晴れの日だけでなく、曇りの日でも自然光は十分な効果があります。公園で遊ぶ、散歩するなど、日常に無理なく取り入れる方法を工夫してみてください。

・正しい姿勢を意識させる
読書や勉強をするときには、背筋を伸ばし、目と本の距離を30cm以上保つことを意識しましょう。机の高さや椅子の調整も忘れずに。部屋を適度に明るく保ち、スタンドライトを使う際も光が直接目に入らないよう工夫が必要です。

子どもの未来を考えて、視力チェックの習慣を


普段から、家庭で簡単にできる視力チェックを取り入れるのもひとつの策です。例えば、テレビ画面や遠くの看板など日常的に見慣れた場所が見えにくくなっていないかを確認したり、定期的に学校の健康診断の結果を振り返ることも有効です。少しでも異変を感じたら、眼科を受診しましょう。子どもの視力は、生活習慣に大きく影響を受けます。家庭でできる工夫を積み重ね、将来も健康な目を保てるようサポートが重要です。子どもたちが健康な視力を保てるよう、今日からできることを始めてみませんか?

出展
文部科学省「子どもたちの目を守るために知っておきたい近視の知識」
https://www.mext.go.jp/content/20240828-mxt_kenshoku-000037357_02.pdf

【素朴な疑問シリーズ】長引く咳に注意!百日咳の基礎知識といま大切なこと


近年、百日咳の患者数が再び増加傾向にあります。特に10代後半から大人にかけての感染が目立ち、軽症で見逃されやすいため、知らぬ間に小さな子どもや乳児へうつしてしまうケースも少なくありません。乳児にとっては命に関わることもあるこの病気。かつてはワクチンの普及で激減した百日咳が、なぜまた増えているのでしょうか?今回は、百日咳の症状、原因、予防法についてお伝えしていきます。

世界と日本、百日咳は今も深刻


世界では毎年約1,600万人が百日咳に感染しており、その大半が発展途上国の小児です。年間約19.5万人が命を落としているという報告もあり、いまだに予防接種が十分に行き渡っていない地域では深刻な問題となっています。

日本でも、1950年にワクチンが導入されるまでは、年間10万人以上の患者が発生し、その約10%が死亡していました。しかし、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)三種混合ワクチンの普及により、1970年代には日本の百日咳罹患率は世界で最も低い水準にまで下がりました。

ところが近年、再び患者数が増加傾向にあります。2000年代後半から徐々に増え始め、2016年には15歳以上の患者が全体の4分の1を占めるまでに。また、コロナ禍以降の2024年中ごろから再び増加に転じています。その要因は、特にワクチン接種から年数が経った中高生や大人の感染と考えられています。大人は軽症のことが多いため、知らずに赤ちゃんや子どもへうつしてしまう構図が近年の流行の一因といえるのです。

3つのステージで進行する症状


百日咳の症状は段階を追って変化していきます。それぞれの時期に特徴があるため、見極めが大切です。

● ステージ1:風邪と見分けがつかない「カタル期」
最初は鼻水や咳といった軽い風邪のような症状から始まります。この時期は症状が目立たないものの、最も感染力が高いため注意が必要です。

● ステージ2:特徴的な咳が出る「痙咳(けいがい)期」
しばらくすると、連続した咳のあとに「ヒューッ」と息を吸い込む笛のような音が特徴的に現れます。夜間に多く、吐き気や顔の内出血などを伴うこともあります。乳児では無呼吸やけいれん、重症化リスクが非常に高いため、特に注意が必要です。

● ステージ3:長い戦いの「回復期」
咳は少しずつ減っていきますが、完全に落ち着くまでには2~3カ月かかることも。大人の場合は軽症で、長引く咳だけで終わることが多いため、見逃されやすいです。

どうやって診断?どうやって治す?


診断は、症状の経過や血液検査などで行います。白血球、特にリンパ球が異常に増えることがあり、医師が百日咳を疑う材料になります。

治療には、マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)が使われます。早期であればあるほど効果的で、治療から約5日で菌の排出も止まるとされています。赤ちゃんには、作用時間が非常に長い抗生物質アジスロマイシンが推奨されるケースもあります。

ワクチンこそ最大の防御


百日咳の予防には、ワクチン接種が最も有効です。日本では現在、DPT-IPV(百日咳・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ)の四種混合ワクチンが定期接種として導入されており、生後3カ月以降に計4回接種するスケジュールが組まれています。ただし、ワクチンによる免疫は時間とともに弱まり、接種後4~12年で免疫効果が低下するとされています。

そのため、赤ちゃんだけでなく、大人も含めたブースター接種も視野にいれることが必要です。12歳以上の追加ワクチン接種も推奨されています。

長引く咳はサインかも?学校での対応は?


百日咳は、学校保健安全法上「第2種感染症」に指定されており、特有の咳がなくなるか、5日間の適切な抗菌薬治療が完了するまで出席停止となります。感染防止のためにも、早期の受診と治療が大切です。

かつては「昔の病気」と思われていた百日咳ですが、今また身近な感染症として注目されています。特に症状が軽く見過ごされがちな大人が、ワクチン未接種の乳児へ感染させてしまうリスクは見逃せません。長引く咳は、百日咳のサインかもしれません。自身の健康を守るだけでなく、まわりの大切な人を守るためにも、ワクチンの接種や早期受診を心がけましょう。

出展
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ha/pertussis/010/pertussis.html?utm_source=chatgpt.com

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