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2018年12月04日(火)
ADHDと発達障害 我が子の発達障害を疑ったら
 近年、発達障害への認知が高まり、生きにくさを抱えている人々への理解や支援が広がってきました。その一方で、発達障害の拡大解釈とも言える誤解もあるようです。
 そこで今回はADHDをはじめとする発達障害への理解を深めるため、児童精神医学をご専門に子どもたちの精神発達を診て来られた桜クリニック院長の杉山信作先生にお話を伺いました。



ADHDとは?
 ADHD(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder)は日本語で「注意欠如/多動性障害」と訳されています。一般には、いつも動き回っていて落ち着きがない子というように理解されていますが、子どもであれば大なり小なり落ち着きはなく、元気いっぱいに動き回るものです。
 しかし、不注意や落ち着きのなさが極端で、それが原因で学校や家庭で問題を引き起こしてしまい、本人や家族、友人が困っているとしたら・・・?


【ADHD 行動による分類】
《不注意 よくある行動例》
・不注意なミスが多い
・一つのことに集中できない
・終わっていないのに次のことを始めてしまう
・段取りを考えるのが苦手
・忍耐力を必要とすることが苦手
・物をなくすことが多い
・忘れ物が多い
・ちょっとした物音でも気が散りやすい

《衝動性 よくある行動例》
・順番を待つのが苦手
・質問が終わらないうちに出し抜けに答える
・ちょっかいを出す

《多動性 よくある行動例》
・じっと座っていられない
・いつも動き回っている
・いつも体のどこかを動かしている
・静かに遊べない

必ずしも「落ち着かない子=発達障害」ではない
 ADHDの子どもでなくても、授業参観の日にはそわそわしたり、気になることがあって一つのことに集中できなかったりということは誰にでも起こります。特別な環境や体験、馴染まない人間関係の中に置かれれば、誰でも落ち着きを失うことはあります。
 
 杉山先生によればADHDという診断は、単に行動上の特性だけで確定されるものではないそうです。
 「ADHDの子は特段の理由もなく、親や周囲の人から見て落ち着かなさを感じさせるものです。飢餓感や不安・焦燥感に駆られて落ち着かないというような、心に問題を抱えている子どもの落ち着かなさとは別もの」とのこと。
 情緒障害や愛着形成に問題はないのに、ただ、落ち着きがないというような場合にはADHDが疑われます。

「心理的要因、環境要因など、その子の背景を丁寧に診て行かなくては正しい診断は出来ません」(杉山先生)
 杉山先生は子どもの置かれた環境や絡み合った子どもの気持ちに向き合って来られました。


ADHDは脳機能障害の一種
 脳は行動を司る司令塔としての役割があります。ADHDの子の“司令塔”は働きが弱いため、注意を維持したり行動をコントロールしたりすることが難しいとされます。
 これは情報伝達に関わる脳内のドパミン(ドーパミンとも言う)の作用不足によるもので、脳の発達に偏りがあることが原因とされています。

 ADHDに対しては周囲の理解が求められる一方、本人に対しては「心理社会的な治療」と「薬による治療」の両面からのアプローチが取られます。
 『ペアレントトレーニング』は心理社会的な治療の一つで、子どもの好ましくない行動を減らして好ましい行動を促せるよう、親の技能をトレーニングします。
 また、『ソーシャルスキルトレーニング(SST:Social skills Training)』は子どもが状況に合わせて適切な行動が取れるよう、対人関係、社会のルールやマナーなどを身に付ける練習です。

 医師の診断により服薬治療を行うこともあります。ADHDは脳内のドパミンが不足しているため、薬でドパミンの働きを活性化すればADHDの症状は改善されます。
 気になる薬物依存については、子どものADHDの場合、指定された量での服薬は依存性の心配はほとんどないとのこと。ただし、気になる症状(例えば多幸感など)が出た場合には薬を中止します。
 成長に伴ってADHD症状が落ち着いてくることもあり、子どもの方から薬の中止を希望する場合には服薬を止めることもあるそうです。
参考:ヤンセンファーマ株式会社制作リーフレット『ちょっと気になる子どもたちの理解と対応』

社会制度としての児童デイ 家族で取り組む自助グループ
 ADHD以外にも自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)など様々な発達障害があり、これらを支える社会制度の一つとして児童デイサービスの存在が挙げられます。

 児童デイサービスでは、遊びやゲームを通じて集団の中でうまく活動するためのスキルを身に付けるSST(社会技能訓練)などに取り組んでいます。医師の診断があれば費用は1割負担で利用でき、発達障害の子どもや家族を支える社会の仕組みとしてよく機能しています。

 また、ADHDの子どもを持つ家族同士が互いに支援し合うことを目的とした自助グループ(セルフヘルプ)もあります。プロのカウンセラーとして訓練を受けていなくても、同輩として悩みを共有したり、仲間同士助け合うことを目的に活動しています。

自助グループ:一般社団法人 クローバーの会(広島)
https://hiroshima-clover.jimdo.com/


私たちが忘れないようにしたいこと
 発達障害を持つ子どもが生きにくさを抱えていることを周囲は理解する必要があります。発達障害特有の行動パターンから失敗体験が多くなりがちで、ネガティブな経験から自尊感情が損なわれることがあります。自尊感情の低い子どもは行為障害や情緒障害、人格障害などへの発展を招きやすいとも言われています。
 そのため悪い自己イメージを肥大化させることのないよう、家庭を中心に社会で支えていく仕組みが必要です。多様性を大切にする社会の中でそれぞれの特性とうまく付き合いながら生きていけるよう、発達障害児に対する理解を深めていきたいものです。


【発達障害の診察を行っている医療機関は広島県内各地にあります】
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/62/iryoukikanrisuto.html



お話を聞いた先生

桜クリニック院長  
杉山 信作 先生

《資格》
日本児童青年精神医学会認定医、子どものこころ専門医
日本精神神経学会専門医・指導医、精神保健指定医
 
《専攻》
児童思春期精神医学、発達精神医学・精神療法、集団療法、家族療法、総合環境療法

1971年 岡山大学医学部卒業
1975年 広島市こども療育センター(前の児童総合相談センター)に着任
2011年 桜クリニック開設

児童精神科・精神科・小児科の診療をおこなう予約制の相談診療クリニック

子どもから思春期・青年期の様々な情緒障害や発達障害、家族の不安、子ども心に宿した困難の大人になってからの生きづらさ、関係者の心配や学びなど

広島市中区上幟町5-15-302

わんぱく大作戦プロジェクト2018 協賛
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