健康基礎知識

えっ!子どももなるの!? 関心が高まりつつある子どもの歯周病

子どもの口内ケアとして、う歯(虫歯)と合わせて注意しておきたい歯周病。子どもの歯周病発生の現状や、その予防方法について、大原駅前歯科院長の湯浅賢一先生に聞きました。

生え変わり期に増えてくる子どもの歯周病
 歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。歯と歯肉(はぐき)の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞(歯垢が蓄積)し、歯肉の辺縁が“炎症”を帯びて赤くなったり、腫れたりします。この時、痛みがないので、放置しておくと進行してしまいます。すると、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、最後は抜歯しなくてはならなくなります。
 子どもに見られる歯周病は、そこまで進行したものではなく、歯茎の炎症にとどまった“歯肉炎”がほとんどです。子どもの歯肉の炎症は、3〜4歳頃から見られ、歯の生え変わり期に増加し、12歳頃の永久歯が生えそろう頃に多く認められます。数年前に比べて増えているということはありませんが、口腔ケアへの関心の高まりから、う歯(虫歯)を有する子どもが減ったこともあり、歯周病にも関心が向けられるようになってきました。

フロスの併用と定期的な歯科受診が効果的
子どもの歯肉炎の主な原因は以下の通りです。
 このうち最も一般的なのは、「1」の磨き残しからくるものです。どうしても、毎日の歯磨きには癖が出るので、同じ箇所の磨き残しが続く状態になります。するとそこに、歯垢がたまり、やがて歯石になり歯周病に結びつきやくなります。家庭では、小学校低学年までは保護者の方が仕上げ磨きをしていただきたいと考えていますが、高学年になって本人任せになってから進行することもあります。
 生え変わりの時期は、歯列が不揃いなことも磨きにくい原因になります。また、小学校高学年くらいから生えてくる第二大臼歯は、それまで最奥まで磨く習慣がないため、磨き残しが多くなることもあります。
 きちんと磨く習慣を付けるためには、できる限り親が仕上げ磨きすること、市販の染色液などを用いて本人に磨けていない箇所を意識させることなどが有効です。また、歯間を掃除するフロスは、必ず併用することをお勧めします。毎日が難しければ、最低でもプラークが熟成する1週間に1度はフロスを使いましょう。
 それでも自分だけでは取りきることが難しいので、定期的に歯科医で検診とクリーニングを受けるようにしましょう。理想的なのは1ヶ月に1回、少なくとも3ヶ月に1回は予防歯科として、家族で歯科医を訪れる習慣を付けていただくことが望ましいです。

口呼吸の改善にも、よく噛む習慣を
 最後に、近年増えている“口呼吸”についても触れておきます。唾液の中には、殺菌作用のある成分が含まれており、歯茎の粘膜は唾液の力で守られています。口呼吸によって歯茎が乾燥すると、唾液のバリアーがなくなり、歯肉炎が起こりやすくなります。ポカンと口を開いている癖があれば、早めに直した方が良いでしょう。
 口呼吸は口の中の乾燥を招き、細菌の繁殖を招くため、歯周病だけでなく虫歯のリスクも高まります。細菌の繁殖により、口臭も強まります。また、舌も正しい位置でなくなってしまうため、顎の成長や歯並びにも悪影響を及ぼします。
 その他、見た目の印象が良くないのはもちろんのこと、粘膜の働きが弱まるので風邪や病気にかかりやすくなる、鼻呼吸に比べて酸素を取り込んだり脳を冷却する働きが弱いため集中力や学習能力が低下するなどの弊害が生じると言われています。
 口呼吸は原因によって治療法もさまざまですが、鼻やのどの病気がなければ、最も身近な改善方法は口の周りを取り囲む口輪筋を鍛えること。最近は食生活の変化もあり、子どもの噛む力が弱まっています。よく噛み唾液の分泌を促すことは、口呼吸だけでなく虫歯や歯周病の予防にも効果的です。大切なのは固いものを噛むことではなく、噛む回数を増やすこと。できれば1口30回、難しければ20回噛むことを意識してみましょう。
湯浅 賢一(ゆあさ・けんいち) 大原駅前歯科 院長
日本歯周病学会所属
アストラテックインプラントCertifying
歯周病再生療法ゴアテックスメンブレンCertifying
医療法人社団 優人会 理事長
大原駅前歯科
広島市安佐南区伴東7丁目59-1
082-849-0305
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